自然観察大学ブログ

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水辺のプレデターたち

小岩菖蒲園の続き…
管理の行き届いた公園とはいえ、やはり水辺は昆虫が多い。
やはり水は生命の源ということなのだろう。
この日めだったのは捕食性の昆虫だった。

ショウジョウトンボ
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雄は成熟すると真っ赤になり、まさに猩々緋。
このトンボは縄張り意識が強いらしく、池を巡回してはお気に入りの場所に戻るので、写真は撮りやすい。

ショウジョウトンボは、“赤とんぼ”と言われるトンボ科アカネ属とは別のショウジョウトンボ属で、厳密な意味での赤とんぼではないらしい。
これだけ全身鮮やかな真っ赤なのに、おかしな話だが、まぁ、本人たちにとってはどうでもよいことだろう。
本物は、画面で見るよりもずっと鮮やかな緋色なので、ぜひ野外で実物をご覧いただきたい。

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黄金に輝くこのトンボも、同じショウジョウトンボ。
羽化後、未熟なうちは黄金色だそうだが、これもまた格別だ。

時間に余裕のある方は 『ハグロトンボと昆虫の脚』 http://sizenkan.exblog.jp/11496411/ も見ていただけるとありがたい。

コハンミョウ
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池の周りではたくさんのコハンミョウが、しゃかしゃかと元気よく動き回っていた。
前翅の中央に鏡紋(写真では黒く見えるが強い光沢がある)があるので雌。なぜかここで撮った個体はすべて雌だった。
ハンミョウは超絶運動能力でアリを捕まえて食べる。
この日はさすがに、猛暑のためか地面の湿ったところをだけを選んで活動していた。

ハンミョウについては次の記事を見ていただけるとありがたい。
『また昆虫の脚-ハンミョウの脚:秘密の肉球?-』 http://sizenkan.exblog.jp/11597474/
『ハンミョウとアリとマーガリン-狩猟の名人-』 http://sizenkan.exblog.jp/11810832/

ナガコガネグモ
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巣網の中央で、堂々と獲物を待つナガコガネグモ。
わざと目立つようにしているのは、黄色と黒の体色が危険信号になっているので、鳥などが誤って網を破らないように注意を促しているのではないか、というのを聞いたことがある。
都会派のナガコガネグモに対して、自然派のコガネグモの縞模様のアピール度が強烈なのは、危険な野鳥が多いということかも…
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これは6/5のクモの観察会で観たコガネグモ。

しかし、危険信号を発するのはよいが、肝心の獲物が寄ってこないと思うのだが、昆虫と鳥では見え方が違うということなのか?

ムシヒキアブの仲間
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アオメアブ。金緑色の複眼に目が行くが、よく発達した脚と、力強く盛り上がった胸部に注目したい。

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こちらはシオヤアブ。
写真はハエを捕らえたところ。木杭の上で一息入れて、あっという間に姿を消した。
雄の腹部先端に白い毛を見て塩を運ぶ塩屋に見立てたというのだが、ほんとうだろうか。
顔はどことなく “釜爺” に似ている。(宮崎アニメの千と千尋… に登場した、あの風呂釜の番人です)

飛翔能力の高いハエを空中で捕まえるのだから、ムシヒキアブはすごい。
箸でハエをつかむ宮本武蔵のようだ。
強大な胸板と狩猟用に発達した脚で、トンボや甲虫類も捕らえて食べる。
釜爺のような愛嬌のある顔の、髭の下には恐ろしい口針を隠し持っているらしい…
力と技とスピードのすべてを身につけた、強力なプレデターだ。

ちょっと怖いが、気になるので今度よく観てみたい。

2011年7月26日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-26 18:46 | 昆虫など | Comments(0)

植物の雌と雄を観る-3

セイバンモロコシはやっぱり雑草だ

7月10日の日曜日には、突然携帯メールが鳴って “熱中症注意報” というのが届いた。
送り主は葛飾区で、その時の気温は30度。緊急地震警報のようなメールでちょっと驚かされた。
その日以降、30度超の猛暑が続いたにもかかわらず、注意報のメールは送られてこない。
このことだけ見ると、どうも気まぐれでやっているように思えてならないのだが…

それはさておき、夏の代表的な雑草、セイバンモロコシを観てみよう。
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穂のもとの方はまだ十分に展開していないので、この穂は出穂したばかりの若い穂だ。

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赤いブラシのようなのが雌しべ。雄しべは黄色い葯の頭を覗かせている。
セイバンモロコシは前々回に観たキキョウとは反対で雌しべが先に出る、いわゆる雌性先熟とされている。
(余談だが黒い虫はアザミウマ)

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ところが、全体では雌しべと雄しべの両方が同時に出ているように見える。
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出穂したばかりだと思うが、ほとんどがこの状態で、雌雄両性が成熟しているのだ。

この枝穂は先端は赤味がかった雄しべがきれいに出ていて、雌しべはしぼんでいる。
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もとの方にある雌しべは赤ではなく白。

セイバンモロコシは雌性先熟ではあるものの、例外が多いということらしい。
雌しべ雄しべもいろんなタイプがある。
キキョウと違って画一的でないところが、雑草たる所以なのだろう。
人間の都合で型にはめてもらっては困る、と言いたいのかもしれない。

最近のテレビを見ると、ニューハーフとか、女装家とか、性別のあやしい “ヒト” が活躍している。
人間の雌雄も例外が多くなっているようだ。

2011年7月22日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-22 13:33 | 植物 | Comments(0)

植物の雌と雄を観る-2

ヒメガマ

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ガマの穂。
穂の先に伸びたのは雄花穂で、すでに軸だけになっている。
ガマ類の中で、成熟した雌花穂と雄花穂の間隔が開くのがヒメガマだそうである。
ガマ科ガマ属の仲間の独特な花穂(かすい)だ。

近くに、まだ花期のものがあった。刈られた後の再生で今ごろ開花したらしい。
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上部が雄花穂(ゆうかすい)で、下部が雌花穂(しかすい)になっている。
雄花穂が変形して波打っているのは苞葉(?)によるものだろう。

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雄花穂には大量の花粉。
この花粉は蒲黄(ほおう)と言って、古くから血止めに利用されていたそうだ。
“いなばの白うさぎ” に登場するのはもともとこの蒲黄だったのが、いつのまにか熟した穂綿に置き換わってしまったらしい。

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ハナアブ(おそらくシマアシブトハナアブ)がやってきた。
これだけ花粉があれば腹いっぱいになるだろう。

次は雌花穂。
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ガマの穂特有のビロード状。これのどこが雌花なのか?
よく観ると、透明な糸状の1本ずつが雌しべの柱頭らしい。
文献でも確認できた。
私にとって、新発見だ。

雄しべと雌しべとの、よけいなものをなくしたシンプルな潔い形。しかもなんという大量!
合理性と数に圧倒され、ある種の感動を覚えた。

これだけの進化した繁殖システムを持ちながら、地下茎でも増えるというのだから、実にたくましい。

余談ですが…
かつてヒメガマの果実を撮ろうと、茶色の穂(上の2つめの状態)を持ち帰ったときのことである。
乾燥して綿毛になるのを待つつもりで、部屋の隅に置いたまま数か月が過ぎ、すっかり忘れてしまった…
ある日突然、部屋じゅうにガマのワタが敷き詰められていて驚愕したことがある。

2011年7月19日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-19 12:34 | 植物 | Comments(2)

植物の雌と雄を観る-1

キキョウ

関東地方が梅雨明けになった7月9日、10日。
少しでも涼しいところを探して水辺に近づいた。江戸川沿いにある “小岩菖蒲園” だ。

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おなじみのキキョウ。
強烈な暑さの中で、涼しげな色を見せてくれている。

花を一つずつ観てみよう。
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中心に観える粉は花粉。
雄しべが包み込んだ中心に雌しべがある。

次はもう少し生育時期の進んだ花。
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雄しべはしおれたが、中心の雌しべは元気。
まだ固く閉じている。

次はさらに成熟した花。
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雌しべはやっと柱頭(ちゅうとう)を開いた。

キキョウは “雄”⇒“雌” と時期をずらして成熟させている。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)と言って、同一の花での自家受粉を避けるためのうまい仕組みだ。
植物には雌雄同体の両性花(りょうせいか)が多いが、それぞれいろいろな工夫をしている。

(植物の雌と雄を観る-2 につづく)

2011年7月14日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-14 19:24 | 植物 | Comments(0)

平面ミノムシ

6月26日の見沼での自然観察大学観察会のこと。
見ることのできなかった人が多いと思うので、ここで紹介させていただく。

参加者のある女性 (お名前は不明、仮にFさんとさせていただく) が、不思議な形の樹皮片(?) を発見した。
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Fさんのすばらしかったのは、これを発見したことと、
もうひとつ、昆虫ご担当のS木先生に知らせたことである。

Fさんが樹皮片と考えたのは無理もない。
横から見ると平べったくて、ますます樹皮片のようだが、実は “マダラマルハヒロズコガ” という昆虫なのだ。
(蛾はご専門外にもかかわらず、現場で即座に名前が出るS木先生はすごい!)
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見ていると、左側に隙間が開いた。中でなにやら動いている。
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頭を出して外のようすをうかがい、また引っ込む。
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今度は反対側から頭を出した。体型は平べったい。
どうやら、中の虫は自在に反転したりできるらしい。
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外の安全を確認すると、グイッと一気に身を乗り出す。
体を伸ばしては、足場を固めて巣を引きつける。これを繰り返して移動する。
傾斜地でも、ちょいちょいと巣を糸で接着させることが可能。

マダラマルハヒロズコガ は、ヒロズコガ科に属する蛾。
分類的にはミノムシのミノガ科と近い系統らしく、糸を綴った巣からもうなずける。

漢字で書くと “斑丸葉広頭小蛾” となるのだろうか? 巣を丸い葉にたとえたものか?
別名でツヅミミノムシというのがあるが、鼓には似ていない。
あえて愛称をつけるなら “平面ミノムシ” とか “アイマスクミノガ” とかがふさわしいだろう。

みんなで作る蛾類図鑑http://www.jpmoth.org/Tineidae/Myrmecozelinae/Gaphara_conspersa.html では成虫のほか幼虫の全身も掲載されている。生態は解明されてないらしい。

私は以前、岡発戸でエノキの根際の樹皮上でこのミノを見たが、現場ではFさんと同様に “変な形の樹皮の破片” と思い込み、スルーしてしまったことがある。
後日、正体を知ってからは “観たい虫リスト” に挙げていたのだが、やっと見ることができた。
Fさん、S木先生、ありがとうございました。

2011年7月12日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-12 12:52 | 昆虫など | Comments(0)

テントウムシの共食い

このところ虫の話ばかりで申し訳ないが、今日も6月はじめに観た虫の話である。
まずはごくあたりまえの成虫。
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農業害虫を食べることもあり、昆虫の中では、普通愛されるタイプとされている。
色や模様には変異が多い。

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エノキのナミテントウの幼虫。
ナナホシテントウとは朱色の紋様の感じが違う。
『カラスノエンドウをめぐる虫たち』 http://sizenkan.exblog.jp/13454321/ のナナホシテントウと比べていただきたい。

テントウムシがたくさんいるので、餌になるアブラムシがいるはず、と探してみると、ごく少数のエノキワタアブラムシがいた。
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エノキワタアブラムシは、全身に綿毛をまとい、季節には有翅形が空を舞う。
数年前の都心で、 “こんなにたくさんどこから飛んで来るのか” と驚くほど、間断なく舞うエノキワタアブラムシを観たことがある。
よく観るとなかなかきれいな紋様があり、ワンポイントの赤目が効いている。ワタを取り除いたらさぞかしニヒルな二枚目のアブラムシだろう。

話をテントウムシに戻そう。
テントウムシはたくさんいるのに、アブラムシがほとんどいないという話だった。
すでに成長の早いテントウムシは蛹になっているが、まだ幼虫のまま餌を求めてウロウロしているテントウムシもたくさんいる。

蛹のそばでじっとしている幼虫がいたので、つついてみたら蛹がポロリとはがれた。
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幼虫は蛹を食べていたらしく、食事を邪魔され、ぼう然と大あごを開いている。
食われたほうは、先に蛹になって “一抜けた” と安心したのも束の間。油断も隙もない世界だ。

幼虫が幼虫を食うところにも遭遇した。
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食われた方は体を丸め背中が割れているように見えるので、蛹化直前で動けない状態だったのかも…
やっぱりテントウムシは獰猛な肉食動物だ。

多産型の昆虫は、条件が悪くなったときに共食いすることを前提としているのではないか。だからこそ幼虫はあまり広がらずにまとまって生活するのかもしれない
…という話を、Y崎先生からうかがったことがある。
生きるため、そして種の存続のためとはいえおそろしい話だ。

2011年7月7日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-07 18:49 | 昆虫など | Comments(4)

すごい虫がいた

虎のようなトラガ
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ものすごい顔。トビイロトラガと思われる。
じつはかねてから見たいと思っていた虫なのだ。
“鳶色虎蛾” の名前からすごい姿を予想していたが、実物は期待以上の迫力。
赤目や剛毛はむしろ御本家の虎をも圧倒するかも…

横から見た姿も紹介しよう。
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翅をひろげると鮮やかな黄色の後翅が観られるらしいが、じっとして動かない。
待ちきれずにちょっと突いたら、一瞬で飛び去ってしまった。残念。

帰ってから 『みんなで作る日本産蛾類図鑑』 で確認したら、幼虫はヤブガラシなどのブドウ科を食べる、とある。人気の蛾らしく、たくさんの写真がアップされている。
ほかにもヤガ科トラガ亜科というのがあって、みんな虎のようなツラガマエ。
それにしても虎蛾とはグッドな名前だ。
虫好き、蛾好きの方は、ぜひ『みんな…』を見ていただきたい。
http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Agaristinae/Sarbanissa_subflava.html

最強のシリアゲ?
もう一つすごい虫を観た。見沼田んぼの観察会の下見のときだ。
見沼の通船堀沿い、人家のウメの葉上で休んでいたもの。
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尻を上げているので、はじめはシリアゲムシと思った。
体長は2cm以上あり、シリアゲムシにしては頑強そうな堂々とした姿!
もしかして日本最大級の “お化けシリアゲムシ” ではないかと興奮した。
オオスズメバチにも似るが、果たして擬態なのだろうか。

しかし、あとで別のカットを見てみると…
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りっぱな平均棍がある。
…となるとシリアゲムシ(長翅目)ではないのか?
シリアゲムシがご専門のS木先生に写真をお送りして見ていただいたところ、
“たぶんホリカワクシヒゲガガンボ(雌)だろう” とお教えいただいた。

さっそくネットで検索すると、いろいろ出てくる。上の写真はメスで、オスは名前のとおり立派な櫛状のひげ(触角)があるらしい。

シリアゲムシではなくて残念だったが、ガガンボとしてみてもすごい。
立派なガガンボもいるものだ…

2011年7月1日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-07-01 19:39 | 昆虫など | Comments(2)

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