自然観察大学ブログ

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虱(シラミ)生物

6月のはじめ、虱の名が付く生物を観た。
自然界の美しい造形、合理的な造形、そして不思議な造形。
よく観るとごく身近な生物にも新鮮な驚きがある。

オヤブジラミ
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これはオヤブジラミの果実。
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果実を拡大して観ると、曲がったトゲがびっしりと着く。
このトゲで衣服にくっつくので “藪虱” の名があり、オヤブジラミは少し大きめなので雄藪虱ということらしい。
トゲは見た目よりは柔らかく弾力があり、触って痛いということはない。
くっつきやすい、絶妙の硬さだ。

クワキジラミ
クワの葉に付く不思議なもの。
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白い糸状のものは風にふわふわとはためく。

葉裏を反すと、こんな感じ。
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まだよくわからない。

もっと拡大してみよう。
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キジラミの一種でクワキジラミの幼虫。
カメムシ目(半翅目)キジラミ科で、系統分類上は虱(シラミ目)とは無関係である。
幼虫の形がシラミに似ているとも言えるので、そのあたりが “木虱” の名前の由来だろうか。
糸状のものはロウ状物質とされるが、何のためにこのようなものをはためかせているのだろう…
風に乗って移動するのか?
それとも捕食者への脅しか?
この時期(6月はじめ)にはどこにでもいる昆虫だが、考えてみるとつくづく不思議な生物だ。
白い糸は何かの意味があるのだろうが、どなたかご存知の方はご教示いただきたい。

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クワキジラミの成虫はこれ。
ごく小さなセミといった印象だ。

ご本家のシラミを紹介しよう
名前にシラミが付くので、ここでは “虱生物” と呼ばせていただいた。
ではシラミのご本家はどんな虫か? 現在は見ることの少ない虫だ。
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これはコロモジラミ。(写真提供:全国農村教育協会)
腹部内部の赤いのは吸血したためで、このあとどんどん膨らんでいった。
コロモジラミは皮膚の上で撮影しているが、誰の皮膚だったのか? 記憶にない。

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こちらはケジラミ。(写真提供:全国農村教育協会)
皮膚や毛髪との比較で大きさがイメージできると思う。

シラミが詳しく出ている本
シラミ類については 『衛生害虫と衣食住の害虫』(安富一男、梅谷献二、全農教) http://www.zennokyo.co.jp/book/gai/ei.html に詳しく紹介されている。
この本は保健衛生関係者のために作られた本だが、身近な家庭の昆虫図鑑として昆虫マニア必携の本である。
昆虫マニアたるもの、美麗種・希少種のみに心奪われることなく、身近な昆虫にも眼を向けようではないか。

余談ですが…
当時、撮影用にコロモジラミを提供いただいた某研究機関では、この虫を大量に飼育していた。餌は生き血なので、研究員の方はなんと定期的に自らの血を与える。その献血シーンは強烈だった。

フェルト状のマットにびっしりと付いたコロモジラミを飼育器から取り出し、マットごと自分の腕の上に載せる。

シラミがぞろぞろと乗り移ってきて、吸血する。

……… (じっと待つ)

腹いっぱい吸血したシラミは静かに腕を離れる。

… 書きながら鳥肌が立ってきた。
そのシーンの写真もあるのだが、やめておこう。

2011年6月28日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-28 19:42 | 植物と虫 | Comments(1)

ジャガイモの実がなった!

先日ジャガイモの実を初めて見ることが出来ました。
しかも、うちの畑で!
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子供の頃からジャガイモには実がなるとは聞いていたのですが、見たことはなく、どんなときになるんだろう? と思っていたのですが…
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「キタアカリ」に実がついていました。初めてみるのでちょっと興奮!
…青いミニトマト…みたいでした。(大きいもので2cmくらい)

義父が一房取って “これなあーんだ? って見せてみよう” と、親しくしているお隣さんに見せ、しばらく盛り上がっていました。
「珍しいんだなあ。初めて?」と思ったのですが、義母によると過去に1回だけ沢山なった年があったそうです。

「北海道では男爵にはたまになるらしいよ。澱粉用品種ではよくなるんだって。」
「じゃあ、今年は冬も春も寒かったので北海道の気候に近かったのでしょうか?」
…てな会話があったのですが、調べてみると、高温多湿では花が落ちやすいらしいです。
北海道では、天候が良いと「男爵」に実がなることがあり、「コナフブキ」「ホッカイコガネ」ではよく実がつき、「キタアカリ」「とうや」でも見られる、とありました。キタアカリは比較的実がつきやすいんだー。
…と思ったら、うちの男爵にも実がついているものがありました。
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しかし、北海道の天候が良いときと群馬の寒いときが同じくらいなんですねえ。

熟すと黄色っぽくなり甘くなって食べられるそうなのですが、それまでもっているでしょうか? さてさて。

………………………………………………………

今日はこれから玉葱の収穫、明日はまた梅をもぐ予定です。
それでは、また。

2011年6月24日 自然観察大学 群馬支局通信員 ミルフイユ
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by sizenkansatu | 2011-06-24 17:30 | 植物 | Comments(7)

ナヨクサフジとクマバチ

ナヨクサフジ
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ナヨクサフジという雑草が増えている。
花はクサフジによく似るが、赤味が強く派手な印象がある。
ナヨクサフジの漢字表記は “弱草藤” だそうだが、はたしてホントに弱いのだろうか?
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私は4年前に江戸川べりのある場所で、こつ然と現れたナヨクサフジの大群落を見た。
それがはじめてで、その後は街なかの造成地や皇居周辺の植えマスなど、頻繁に見かけるようになった。
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これはナヨクサフジの果実。ちょっと美味しそう。

ナヨクサフジは、ヘアリーベッチという名前で、もともとは農業の飼料作物や緑肥用として導入された植物らしいが、近年はカバープランツ(※)としても利用されていて、どうやらこれが逃げ出して雑草になったものらしい。

※ ヘアリーベッチのカバープランツについては、自然観察大学HP【バックナンバー】から2010年『農場の自然観察』をご覧いただきたい。 http://www.sizenkansatu.jp/index_8.html

蜜を盗むクマバチ
このナヨクサフジを訪花するクマバチを観た。
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クマバチはミツバチの仲間(ミツバチ科)のくせに、花粉を媒介しないそうである。
確かに筒状の花の側面に孔を開け、蜜だけを吸収しているらしい。

(黒いクマバチに露出(写真の明るさ)を合わせているので、ナヨクサフジは明るい色になっているが、ご了承いただきたい。)

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写真のように、斜め下からしゃくり上げるように口針を突き刺すしぐさが頻繁に観られる。ずるがしこいヤツだ。
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クマバチのほうも盗蜜ばかりしては申し訳ないと思ったのか、ときには正攻法で正面から吸蜜することもある。
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こちらはヒゲナガハナバチかあるいはミツバチと思われる。
なかなか蜜に届かないので、苦戦しているようだ。

余談ですが…
クマバチは体が大きくて黒いから “熊蜂” だと思っていたのだが、もしかすると蜜を盗むから “熊蜂” なのかも知れないと思った。だとすると、いにしえの命名者はそこまで詳しく観察していたことになる。
クマバチは翅音が迫力ある重低音で、野外で驚かされることが多いが、めったにヒトを刺すことは無く、仮にさされても毒はごく弱いらしい。(刺されたことが無いのでわかりません)

2011年6月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-20 19:04 | 植物と虫 | Comments(4)

名前の難しさ -トホシクビボソハムシで思う-

今日はまたまた文字が多くなるがご容赦いただきたい。
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これはトホシクビボソハムシの幼虫。クコの葉を食べながら自分の糞を背負っている。
糞に似せた擬態ではなく糞そのものだ。
この虫が今年5月15日の自然観察大学観察会(見沼田んぼ)で話題になった。
自然観察大学HP http://sizenkansatu.jp/index.html
これに関してひとこと言わせていただきたいことがある。

観察会で話題を提供いただいた自然観察大学講師のH井先生は、“クコハムシ” とか “クコドロオイムシ”と説明していた。正式な和名ではなく、別名を唱えていたのである。

たしかにそのほうがふさわしい気がする。
というのは和名の “トホシクビボソハムシ” は漢字で書くと “十星首細葉虫” なのだが…
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成虫の多くは上のように無紋タイプで、これでトホシクビボソハムシは確かに違和感がある。
そして下のように名前のとおり十星タイプは少数派なのだ。
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たしかに無紋タイプではクコを食べる “クコハムシ”、あるいは泥を背負った幼虫では “クコドロオイムシ” のほうがぴったりする。
無紋タイプが多いのは見沼田んぼだけではなく、H井先生の地元でもそうだし、私の近所でも無紋が多数だった。
和名が命名されたときには、何らかの理由で十星タイプが多かったのだろうか。

違和感のある和名の例としては、ワタアブラムシがある。
かつて日本でも栽培されていたワタにつくためにこの名が付いたのか、それとも英名の cotton aphid の和訳によるものかは不明だが、現在の日本にはワタはほとんど栽培されていない。
もう一つだけ例を挙げると、ミカンキイロアザミウマという農業害虫がいる。蜜柑につく黄色のアザミウマという意味で分かりやすい命名だが、当初発見されたミカンでは実際には少なく、ほかの果樹や野菜・花卉のほうが発生が多い。

イネドロオイムシのこと
東日本の稲作害虫でイネドロオイムシというのがいる。
イネドロオイムシは俗称で、和名はイネクビホソハムシ、またはイネクビボソハムシと濁る。トホシクビボソハムシとは近い関係の虫だ。
農業関係者向けの 『防除ハンドブック/稲の病害虫と雑草』(平井一男ほか、全農教)http://www.zennokyo.co.jp/book/bh/ine.html の該当ページは次の通り。
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この虫は農業関係者の間では俗称の “イネドロオイムシ” として認知され、農家はもちろん、JAの技術者や農水省のお役人まで、あまねくイネドロオイムシと呼んでいる。
農業の世界ではよくあることで、和名は昆虫分類学者が成虫を見て命名するのに対し、俗称は農作物(のうさくもつ)を食害する幼虫を見ているからだろう。
農業害虫のように人間に関係の深い生物は俗称や別名、方言名が多くなる。

ところで、調べている間に面白いものを見つけた。
農林有害動物・昆虫名鑑 増補改訂版2006』(日本応用動物昆虫学会編、日本植物防疫協会)を見ると、イネクビホソハムシ(別名:イネドロオイムシ)のそばに “ムギドロオイムシ” というのがリストアップされていた。実物を見たことはないがムギを食べる近縁種なのだろう。稲作で俗称となっている “泥負い虫” が麦作では正式な和名に採用されている。ややこしいことだ。

トホシクビボソハムシに話を戻そう。
この虫が世間ではどう呼ばれているか、ネットで検索してみた。ヒット数は次の通り。
・ トホシクビボソハムシ:5,930件
・ クコハムシ:4件
・ クコドロオイムシ:4件
やはり圧倒的多数で、正式和名が使用されている。
そしてもう一つ驚きの事実が判明した!
ネット上の別名はどうやら自然観察大学が原因らしいのだ!!

H井先生、Y崎先生、
和名がしっくりこないからといって、別名を普及するのはやめましょうね。

2011年6月16日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-16 12:53 | 昆虫など | Comments(0)

レンゲの話を聞いて思ったこと

ミルフイユさんの “レンゲは咲きはじめに鍬き込む” というコメントにはちょっとびっくりした。
農業の非情な面は解っているつもりだったのだが、あらためて現実を見せられた気がした。農業は産業なのだ。
ミルフイユさんありがとうございました。
※ ミルフイユさんのコメントはこちらから ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/13572321/

● ミツバチのこと
レンゲが開花前に鍬き込まれてしまうと、ミツバチが困り、養蜂家が困る。
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これは2年前に撮ったセイヨウミツバチ。田毎の月で知られる長野県の棚田に咲くレンゲだ。やっぱりミツバチとレンゲはよく合う。
ちょうどこのころ、セイヨウミツバチの大量死がニュースになっていた。
このときは数時間レンゲ畑にいたのだが、ミツバチが少ないと感じたのは偶然だろうか?
受粉昆虫がいなくなるというので、当時は農業生産や生態系への影響が危惧された。確かにセイヨウミツバチが激減するとたいへんなことになるのだろう。何とか食い止めたい。
(大量死の原因は諸説あって、いまだに明確な結論はないらしい)

この話のウラオモテを考えてみよう。
日本人は、セイヨウミツバチを導入し、在来のニホンミツバチを追いやった過去がある。いまさらセイヨウミツバチが減ったことで環境への影響云々を言うのは、ワガママが過ぎるのではないだろうか。
念のために言うが、セイヨウミツバチを敵視するつもりはないし、養蜂も魅力的な仕事と思う。
人間の都合で移住させられたセイヨウミツバチや、それによって生活を圧迫された日本ミツバチの立場で考えてみよう、ということである。
なお、大量死はセイヨウミツバチに限られ、ニホンミツバチは元気らしい。昨年11月にミツバチを観たときには、明らかににニホンミツバチの方が多かった。
※ セイタカアワダチソウの訪花昆虫(2) http://sizenkan.exblog.jp/12277727/

今回はウラとオモテを思いつくままに書かせていただく。

● 雑草のウラオモテ
雑草のオオキンケイギクは、かつては荒れ地や法面の緑化に利用されてきたが、それが今では在来種を圧迫する“特定外来生物”だそうだ。
岩瀬学長の言葉を紹介しよう。
<< 本来の植生・分布を無視して安易に植栽することは問題がありますし、外来雑草を除去するなというつもりはありません。でも、雑草には罪はありませんね。>>

● 微生物のウラオモテ
このところのコメントで、顔のカビが話題になっている。
“るいこ”さん“ミルフイユ”さん“りりねこ”さんら3人の令嬢(正体不明です)がコメントを盛り上げてくれているのだが、話が台所用除菌スプレーで顔を拭いたという危険な状態になってきた。
無茶はいけません!
微生物界にも善玉と悪玉があり、それらが拮抗してバランスされている。ヒトの皮膚も状況は同じだそうである。
たとえば細菌に対する抗生物質ペニシリンがアオカビであることはよく知られている。
また農業界では逆に細菌によるカビ(うどんこ病などの植物病原菌)の予防が微生物殺菌剤として広く実用されている。
ややこしいが、細菌と菌(カビ)は全く異なる微生物であり、大腸菌や乳酸菌は細菌(バクテリア)である。
たしかに顔にポウポウとカビが生えたらエライことに違いないが、除菌スプレーは危険。ここは信頼できる医師を頼るしかありません。

※ この話をアップしようとしたら、ミルフイユさんからも同様のコメントをいただきました。そちらもご覧ください。

●自然のウラオモテ
3か月前の東日本大震災では、自然の恐ろしさを見せつけられた。
一方で和みや感動を与えてくれ、観察対象として私たちをたのしませてくれるのも自然だ。
唐沢副学長の言葉を紹介しよう。
<< 自然を制御・管理しようというのはどだい無理なことです。想定をはるかに超えるのが自然ですから… 私たちは自然に対して謙虚になり、学ばせていただくという姿勢を持ちたいものです。>>

今回は文字ばかりですみません。

2011年6月13日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-13 13:03 | その他 | Comments(11)

通勤で観た虫

アゲハの幼虫
6月はじめのある日。
朝の通勤途上でアゲハの幼虫を見つけた。植物はカラスザンショウらしい。
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丸々と健康的な姿。就寝中なのか、じっとして動かない。
速足で通り過ぎる人々を横目に、のんびりと朝寝しているようだ。
一見して派手な紋様だが、葉の繁ったところでは、意外に目立たない。

そばに小さな幼虫もいた。
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小さい幼虫は鳥の糞に擬態しているのだが、5㎝以上に成長して、まさか巨大な鳥の糞のふり、というわけにもいかないのだろう。成長するとがらりと模様替えだ。
こう見えて、きっとアゲハたちも敵が多いのだ。

イチョウにつく虫
街路樹のイチョウのようすがおかしい。
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交通の邪魔にならないよう徹底的に剪定されたイチョウは盛んにひこばえを出すが、そのひこばえの先端が食われているのだ。
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葉裏を見ると犯人がいた。
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もう少し大きくなった幼虫がこれ、ヨトウガの幼虫。
体色は緑から褐色、黒色とさまざまな色がある。
俗称でヨトウムシと言われ、キャベツやハクサイをはじめ多くの農作物(のうさくもつ)を食べる害虫として農家のカタキとなっている。大形で大食いなのだ。
漢字では “夜盗蛾” で、昼間は地際に隠れ夜に農作物を食べるとされているが、昼間も結構活発に活動すると思われる。
樹上の枝が食われないのはそのあたりの生態によるものなのだろう。

実は昨年もこの街路樹のイチョウでヨトウガを発見し、注目していた。
H井先生に報告したところ “広食性だけに、ほかに食料がなくて、たまたまイチョウについたとも考えられます” という回答。
それではと、今年もずっと注目していたのだが、やっと現れた。
やっぱりイチョウで繁殖できるのだ。

おっと、感心している場合ではない。遅刻だ!

2011年6月10日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-10 12:43 | 昆虫など | Comments(1)

大町公園-5 谷津で観た虫(2)

上品なコミスジ
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コミスジは上品なモノトーンのチョウ。
飛び方がこれまた優雅で、数回羽ばたいて、あとは “すぃー” と滑空する。
飛ぶ姿をみたら、いっぺんでこの蝶のファンになってしまった。
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翅の表裏が同じ紋様なのも、素直な性格を思わせる。
ちなみにコミスジはタテハチョウの仲間で、脚は4本しか見えない。
参考:『セイタカアワダチソウの昆虫-1http://sizenkan.exblog.jp/12249177/

拡大して観ると胴体(胸部から腹部背面)には青緑色の金属光沢がある。
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目立たないところまで行き届いた上品かつ華麗な装いだ。
(ウィキペディアには “緑色の毛” とあるが、毛ではなく鱗片とすべきだろう)

キッカイなヒモワタ
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一見して不気味な姿。
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ヒモワタカイガラムシという虫で、今の時期の樹上で目立つ。
ふたのようなベージュ色の部分が本体で、白いのはロウ状の分泌物。この中にたくさんの卵を産んでいる。なんと合理的な形!
美麗昆虫だけに心を奪われないのが、自然観察大学の真骨頂だ。
でも、やっぱり不気味。

イスノキの虫こぶ
イスノキの葉がボコボコになっていた。
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昆虫の寄生によるもので、虫こぶ(むしこぶ)、虫えい(ちゅうえい)、ゴールなどといろいろな呼び名がある。
葉を一枚失敬して、こぶを切ってみた。
中にはアブラムシがいた。
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ヤノイスアブラムシの幼虫で、両肩に翅芽(しが)があるのがわかる。
アブラムシは虫こぶの中で安全に生活し、翅を持った世代が現れてコナラへ移動するそうだ。写真は5月中旬だったので、今頃はもう抜けた後かもしれない。

ところで、
虫こぶは症状であるいわゆる “虫こぶ” と、中にいる “虫” (この場合アブラムシ)で別々に名前がある。
虫こぶ名 : イスノキハタマフシ
アブラムシ : ヤノイスアブラムシ
本人たちにとってはどうでもよいことかもしれないが、名前がわからないといろいろ調べることができない。先人の積み重ねてくれた知識を得るためにも大事なのである。

参考図書①:『アブラムシ入門図鑑』(松本嘉幸、全農教)アブラムシの生態がよく分かる http://www.zennokyo.co.jp/book/musi/ab_nz.html
参考図書②:『日本原色虫えい図鑑』(湯川純一ら、全農教)イスノキの虫こぶが8種もあり、写真をていねいに掲載してあるのですぐに本種が分かった。値段がちょっと高いがいい本 http://www.zennokyo.co.jp/book/musi/cz.html

イスノキの虫えい(ヤノイスアブラムシ)は次でも紹介されている。
福原のページ http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/isunoki.html
福岡教育大学の福原先生という方のサイトで、昆虫だけでなくさまざまな生物写真が見られる充実した内容。おすすめです。


100回御礼
昨年の5月にこのブログを始めて以来、今回で100回目となりました。
たのしいコメントや声援をくださったみなさん、ご教示いただいた先生がた、そして読んでいただいたみなさん。本当にありがとうございます。

雨の多いこの季節、バックナンバーを見ていただくよい機会ですので、ぜひ!
コメントや投稿もお待ちしています。

2011年6月6日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-06 12:56 | 昆虫など | Comments(8)

大町公園-4 谷津で観た虫(1)

脚長黄金の土俵入り
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アシナガコガネ。湿地のノイバラに集まっていた。
薄緑色に観えるのは体表の鱗片。
花から花へいそがしく動き回っているので、ウロコがあるというのは写真にしてはじめてわかった。

ヒゲナガハナノミは二重人格?
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威嚇するような凶悪な顔はヒゲナガハナノミ。(拡大して見ていただきたい)
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全身も紹介しておく。この角度で見るとおとなしそうに見える。
はじめの写真をもう一度よく観ると、凶暴な大あごに見えたものは、どうやらヒゲらしい。ほんとうはやさしい性格のようだ。

ヒゲナガハナノミは今の季節(5月中旬)の大町公園ではよく見かける昆虫だ。
詳しく知りたい方は、次の林成多氏のサイトをどうぞ。
ナガハナノミのページ
http://www.green-f.or.jp/heya/hayashi/nagahananomi/nagahana.html
なお、残念ながら性格の善悪は解明されていない。

未熟者のナナフシ
今年はナナフシが少ない。さんざん探して、ようやく見つけたアヤシイ食痕。
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葉の裏を観ると…
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いた! 隠れるのはナナフシの得意技だが、食べ痕をそのまま残すとは…
未熟者め、ワシの眼はごまかせんぞ!

(たくさんいた去年のようすは、自然観察大学【トピックス】 http://sizenkansatu.jp/index_3.html の “ナナフシの近況”でご覧いただけます)

2011年6月3日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-03 18:42 | 昆虫など | Comments(0)

大町公園-3 アワフキムシと人間観察

この日(5月中旬)は絶好の天気で、大町公園ではたくさんの人々が散策をたのしんでいた。
池の岸辺では、カワセミを狙うカメラマン達が、ずらりと並んで大砲のような望遠レンズを据えている。
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これは私の接写用レンズで撮ったもの。 “カワセミがいました” という記録と考えてご勘弁いただきたい。

アワフキムシと上品な母娘
林縁の灌木でアワフキムシの泡を見つけた。
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この泡の中に生活するのがアワフキムシだ。
今の時期は普通に見られるが、この機会にじっくり撮らせてもらおう。
失礼して少しずつ泡を取り除くと、中から1頭の幼虫が這い出してきた。
意外に速い脚どり。驚かせてごめんなさい。
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セミと同じ仲間(セミ目)だから、姿かたちはどことなくセミの幼虫に似ている。
枝分かれした場所が落ち着くらしい。

ふと、後ろで女性の声がする。
「お母さん、ほら、あの人、何を撮ってるのかしら?」
「何か、虫を撮ってらっしゃるみたい。ずいぶん熱心ですこと…」
ひそひそと話す声が聞こえる。口調からすると上品な母娘なのだろう。お相手をしたいのだが、撮影は佳境。アワフキムシが泡を吹きはじめたのだ。
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腹部を伸縮させるのは、空気を入れて泡をつくっているのだろう。
ときおり思い出したように尻を立て、ゆっくりとポンプ運動をする。少しずつ泡が増えていく。
泡はアワフキムシの小便で、セミのオシッコと同じ。養分の少ない樹液なので、大量に吸って大量に排出するようだ。

母娘はこの間もずっと私を見ていたらしい。自然観察よりも人間観察に興味があるのだろう。観察されるアワフキムシの恥ずかしさが分かる気がした。
それにしてもなんと奥ゆかしい母娘だろう。

視線を感じながらもひととおり撮り終えた私は、輝くような笑顔(!)で背後を振り返った。
「アワフキムシという虫を撮っていたんです。ほら、お母さん、これです」
母親はおそるおそる泡に指を触れた。
「ア・ワ・フ・キ・ム・シ ですか。そういえばこんな泡をよく見かけるような気がします。ずいぶん小さな虫ですね。勉強になりました。ありがとうございます」
そばにいた娘さんが…
「母は98歳になりますが、生き物が好きで、よくお散歩に出るんです。私も77歳ですが、はじめて見ました、こんな虫がいるんですねぇ。どうもありがとうございました」

育ちのよさそうな、元気な虫好きの母娘であったが、泡が小便と知ったらどう反応しただろうか。

2011年6月1日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-01 19:03 | 昆虫など | Comments(0)

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