自然観察大学ブログ

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大町公園-2 ついにカビ観察。そして…

カビ観察
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鮮やかなオレンジ色の物体。これはカビだ。
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変形して膨れた植物はキツネノボタン。表面のブツブツは “さび病菌” らしい。
キツネノボタンさび病だ。

ブツブツを拡大してみると面白い形をしていた。
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これがいわゆる “さび胞子” なのだろうか。
まわりの白いものはなんだろう? ハルジオンの舌状花にも似ているが…

後日、植物病理学者の岸 國平先生に写真を見ていただいたところ、次のようにご意見いただいた。
………………………………………………………
さび病で間違いないでしょう。橙色のところにさび胞子がたくさんできていて、周りに散っているのが分かります。
周りの植物にはさびがないので、このさび菌の場合はキツネノボタンだけに寄生するのが分かりますね。
舌状花のようなものははっきり解りませんが、胞子を包んでいた膜がはじけたようなものではないでしょうか。
………………………………………………………
“キツネノボタンさび病”は正式に発表されてないということだ。この後さび胞子で他の植物に宿主を移す由だが、どこへ移るのだろうか。

自然観察大学では昨年の講習会で『カビライフ入門』 をテーマにしているので、そのレポートをご覧いただきたい。 http://sizenkansatu.jp/index_2.html
『カビ図鑑』(細矢剛ほか、全農教)にはさび病の生活史などが詳しく載っているので、そちらもぜひどうぞ。 http://www.zennokyo.co.jp/book/kagak/kb.html

うどんこ病とテントウムシ
こちらはトウカエデのうどんこ病。
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果実の表面が、名前の通り、うどん粉をまぶしたようになっている。翼が変形しているのはうどんこ病菌のせいだろう。
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果房全体にうどんこ病が出ているが、注目していただきたいのは、画面下の葉上の小さなテントウムシ。

このキイロテントウは、うどんこ病菌などのカビを食べる。
食べるところを撮らせてもらおうと、果実の上に移動していただいたのだが…
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満腹なのか、じっとして眠そうな顔。複眼にピントを合わせようとしても、ぼんやりしてうまくいかない。
仕上がり写真をチェックして解ったのだが、透明カバーのような構造があって、複眼はその下に隠れている。うまくできているものだ。
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やっと顔を出した。
おまけに見えてなかったヒゲもサービスしてくれた。
こんな立派なヒゲを何処に隠していたのか、特大のふっくらしたマガタマ型のヒゲだ。

先述の岸先生に、このテントウムシの写真も見ていただいた。
………………………………………………………
ほぉ、カビを食べるテントウムシがいるとは面白い。
うどんこ病菌だったらたっぷりと、腹いっぱい食べられるかもしれないね。
キイロテントウもいいところに目をつけたものですね。
………………………………………………………

多彩なテントウムシ
テントウムシはアブラムシなどを捕食するナナホシテントウ・ナミテントウなどの肉食性と、ジャガイモやナスなどの植物を食べるニジュウヤホシテントウ、今回紹介したカビを食べるキイロテントウなどがいる。
同じテントウムシ科というグループで 肉食、植物食、菌食に分かれるというのは面白い。

2011年5月30日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-30 12:35 | その他 | Comments(3)

大町公園-1

千葉県の市川市大町公園の一角に谷津の地形を生かした自然観察園がある。
湿地にはハンノキが大きく育ち、この谷津の歴史を感じさせる。
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ここでは木道が整備され、保護のため湿地への踏み出しは禁止されている。

谷津は丘陵地が浸食されてできた地形で、斜面林と湿地は多様な生物がくらすのによい環境だ。
関東では当たり前のような谷津だが、他ではあまりない地形らしい。以前土佐からの来訪者が珍しがっていたのを思い出した。

湿地で一番エラそうにしているのが外来植物のキショウブとオランダガラシ(クレソン)なのは残念だ。とくにオランダガラシの勢力はすごい。
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画面手前のほうにあるのがオランダガラシ。一面を覆いつくす所もあった。

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この日はエゴノキが満開で、甘い香りをたのしませてくれていた。
匂いはお伝えできないが、画面でエゴツルクビオトシブミの “落とし文” が確認いただけるだろうか。
(昨年オトシブミの揺籃づくりの過程を撮っているので、いずれ紹介させていただく)

木道を歩いていると、休憩中のカワゲラの成虫を発見した。
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カワゲラは、カゲロウ、トビケラと並ぶ川虫御三家のひとつ。
和田宿でも白州でも観られなかったのに、ここで出会うとは…
実は、この日の目的は水路での川虫さがしだったが、残念ながら空振り。カワゲラがいることはわかったが、やっぱり木道の上からでは難しい。ぜひ幼虫を見たいものだ。

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これはカナヘビ(ニホンカナヘビ)だろうか? 

谷津のにぎわいを、次回以降も紹介させていただく。

2011年5月27日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-27 19:38 | フィールド | Comments(1)

サシガメとアカホシテントウ

ヤニサシガメが成虫になった
5月はじめのこと、以前から注目していたヤニサシガメが、やっと羽化した。
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立派な翅が出たが、あいかわらずゴツイ姿につぶらな瞳。
眼の後ろに平安貴族のような眉 (オレンジ色の点、拡大して見てください) を付けているが、これは幼虫では見られなかった。年頃になって色気が出たようだ。

画面左下は脱皮殻で、たぶん羽化したばかりなのだろう。
脱皮直後ということは、まだ松ヤニをまとってはいないハズ。これはチャンスだ。
話に聞いた松ヤニを体に塗るシーンが見られるのではないか?
しばらく待ったが、一向にそのしぐさを見せない。もしかすると夜行性で夜に化粧するのかも知れない。残念。

これまでのヤニサシガメは次で見られるので、まだの方はぜひどうぞ。
(1) 『マツに観る生物多様性』 http://sizenkan.exblog.jp/13268424/
(2) 『動き出したヤニサシガメ』 http://sizenkan.exblog.jp/13339094/

ヨコヅナサシガメ
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羽化直後のヨコヅナサシガメ。
自然観察大学の観察会で何度か遭遇したので、強烈な朱色を覚えておられる方も多いだろう。
体が柔らかくて危険な時期に、わざと目立つ色なのは何故だろう? 
カメムシの仲間では、ほかにも羽化直後に鮮やかな赤色をするものがいる。
“カメムシは臭い” のを逆手にとっているのだろうか。
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こちらは体色の落ち着いた成虫。アップしてみると、さすが “横綱” の迫力! 実物はかなり堂々としている。
両側にはみ出た白黒模様の部分を横綱の化粧まわしに見立てた命名だそうだが、成虫になるとその化粧まわしも立派で、名前が合っているなぁ、と感心する。
外来生物は “ブタクサ”や“ハキダメギク”“アルファルファタコゾウムシ”など、何とかしてもらいたい名前が多いが、ヨコヅナサシガメはあっぱれな命名と言いたい。
亀虫(カメムシ)のイメージではないが…

ウルトラ怪獣アカホシテントウ
同じウメに、アカホシテントウの幼虫がいた。
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すごいトゲトゲ。ウルトラ怪獣も真っ青だ。
あんまりエグイと嫌われてしまいそうなので少し遠慮した写真だが、それでもすごい。
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ウメの樹皮上を歩きながら、時折り凹みや隙間を覗くのは、たぶん獲物のカイガラムシを探しているのだろう。
ヒョイヒョイと頭を動かして覗き込むしぐさは、トゲだらけの外見とは裏腹に愛嬌たっぷりだ。

アカホシテントウはウメにつくタマカタカイガラムシを食べる。
昨年6月に 『農場の自然観察』 でアカホシテントウの蛹の大群を見つけた話を紹介しているので、そちらもぜひご覧いただきたい。
カイガラムシとテントウムシ』 http://sizenkan.exblog.jp/11318324/
アカホシテントウのトゲは、ウルトラ怪獣と同じで柔らかく、刺さることはない。
見かけ倒しのトゲにはどんな意味があるのだろう。もしかすると捕食者を驚かせ、撃退する効果があるのかもしれない。

前掲のヨコヅナサシガメは、このアカホシテントウを食べていると考えられる。
ウメには両者がかなりの数で観察できたのだ。
はたして、横綱刺亀に対して赤星天道の “猫だまし” ならぬ “トゲだまし” の効果は如何に?

2011年5月24日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-24 12:42 | 昆虫など | Comments(7)

再度、御礼申し上げます

このところみなさんから楽しいコメントを寄せていただいている。ほんとうにありがたい(涙)。
おかげさまで気合が入っています!

また、各方面の専門家から、ありがたいご指導・ご教示をいただいている。厚く御礼申し上げたい。(半ば強引にお教えいただいているといううわさもあるが…)

ハエ・アブのお詫びと訂正(重大な誤りです)
この分野がご専門のS川先生には、前回 『ハルジオンを訪花する昆虫』 で種名のほか重大な勘違いをご指摘いただいた。本文中でお詫びと訂正を追記したので、すでに記事をご覧になられた方も、ぜひ確認していただきたい。
なお、S川先生には自然観察大学の生徒(メール会員)になっていただいている。

川虫のこと(正体がほぼ判明)
このところ何度か掲載した川虫シリーズでは『原色川虫図鑑』の写真を撮られた高井幹夫先生から、
《分類については専門家ではないのではっきり申し上げられないが、全般に間違いはないと思います。》
というご意見をいただいた。ほかにも正体不明の虫もご教示いただいた。
高井先生は自然観察大学土佐支部長(?)でもある。
いずれも本文中に追記させていただいたが、それぞれにリンクさせるとかえってややこしいので、お時間のあるときに5月の川虫シリーズのバックナンバーをご覧いただきたい。

イヌノフグリ
オオイヌノフグリの名前もとになった “イヌノフグリ” がたのしい話題になっている。
3月の雑草-3 オオイヌノフグリ』 へ書き込んでいただいたコメントだ。

昨年の自然観察大学の野川公園で観たものを紹介しよう。
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イヌノフグリの果実。オオイヌノフグリが扁平なのに対して、こちらはコロンとして丸い。
5月の観察会の下見の時に観たもので、時期的に終わりに近かったらしく、ぼろぼろで、しかも倒れて泥だらけ。残念ながら植物全身を撮れる状態ではなかった。(観察会当日はすでに消えていた)
かろうじて花をつけていたのがこれ。
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良い写真がなくて申し訳ない。

コメントで紹介いただいた他のブログなどもご覧いただくことをおすすめする。
ほかにマニアックなところでは、次の 『東松戸ぷち植物誌』 がおすすめ。
http://pepd.blog66.fc2.com/blog-entry-403.html 近似種との比較など、ていねいに紹介されている。

余談ですが…
雑草写真のパイオニアであるH田さんの言葉で
良い雑草写真を撮るコツは、まず良い個体を探すこと
というのが思い出される。H田さんはカラーフィルムの黎明期(!)から、現在でも雑草を撮りつづけている人だ。
H田さんの言葉には続きがあって “そのためには雑草をよく知ること” …けだし、名言である。

それにしてもイヌノフグリやホトケノザのような青紫~赤紫は色の再現が難しい。
自然界の色をデジタルで人工的に記録し、再現するのは無理があるのかもしれない。
その点ではまだフィルムのほうが忠実だったような気がする。

2011年5月23日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-23 19:31 | その他 | Comments(1)

ハルジオンを訪花する昆虫

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この幼虫はキリギリスの仲間。
今の時期、ハルジオンの花の上でじっとしている姿が数多く観察できる。
本来肉食(あるいは雑食)とされているようだが、訪花してくる獲物を待っているのだろうか?
長い触角で周りを探っているのか? 
それにしては目立ちすぎだ。これでは獲物が来ることはないだろう。
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こいつは腹が減ったのか、待ちきれずに花を食べている。
そう。バランスよく食べないと立派な大人になれない。

この日のハルジオンの花で一番目立ったのはハナムグリ(たぶんコアオハナムグリ)。
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頭を突っ込んで、名前のとおり花に潜るような勢いだ。
この性格でミカンの花(子房)を傷付けるので農業害虫とされているが、受粉には貢献しているのだろう。
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ときどき、プハーッ と顔を上げるので、この瞬間を狙ってシャッターを切る。
息苦しくなることもなかろうが…
ビールを飲んだのと同じ気持ちなのだろうか?
(ハナムグリは口ではなく腹部の気門で呼吸する。ちなみに、プハーッという声は出さない)

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モモブトカミキリモドキ。名前の通りフトモモ(後脚の腿節:たいせつ)が太い。
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こちらは雌。モモの太いのは雄だけで、雌は普通の脚になる。
前翅は半開きで後翅がはみ出ているが、これが種の特徴のようだ。少しだらしないカッコ。
それにしても、雄の腿が太いというのは何か意味があるのか? この脚で跳ねるわけでもなく、たいして力もなさそう。雄だけ太いというのは交尾行動に何か関係があるのだろうか?

ちなみに、カミキリモドキはカミキリムシとは別のカミキリモドキ科。カミキリムシ科とは分類的に近い関係ではないらしいが、確かに体型は似ている。

受粉昆虫で、質量ともにリードするのが双翅目(ハエ目)だろう。
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ハエには興味がないという方が多いかもしれないが、嫌がらずによく観てほしい。
きれいな金属光沢があり、さらに光の加減で不思議な紋様が浮かぶ。
(写真をクリックして拡大できます)
翅の付け根に見える小さな棍棒状のものは、平均棍(へいきんこん)という後翅の進化させたもの(退化?)。この平均棍でバランスを取って巧みに飛翔すると言われている。
ハチの仲間は前翅と後翅をカギで繋ぎ合わせ、一枚の翅とすることが知られているが、ハエ目は一歩先を行って後翅を無くしてしまったのだ。
(翅が2枚なので双翅目と言うそうだ。今はハエ目となったそうだが…)

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ヒラタアブの一種。
複眼の後ろにブラシのような白い毛があるが、これはどんな役割があるのだろう。
ここで花粉の付着した脚を掃除するのだろうか。機能を追及した双翅目のことだし、何か目的があるのだろう。次はよく観察してみよう。

ところで、ヒラタアブの仲間は、アブラムシを食べることで知られている。植物にとっては、幼虫がアブラムシを退治してくれ、成虫になると活発に飛んで受粉を助けてくれるという、ありがたい昆虫だ。

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変わったアブ(それともハエ?)を見つけた。全身が丸くて、愛嬌があると思って撮りはじめたのだが、平均棍が巨大な袋状であるのに気がついた。
ゴミか寄生虫が付いているのかと思って、背面からも観てみた。
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この角度では両側の袋が見える。
翅を平均棍に進化させる途中なのか?
はたまた平均棍を進化させて、さらに別の何かに変えていく途上なのか?

そういえば、昆虫が翅をもつ過程で、皮膚の一部が袋状に突出して膜状になったのが翅、ということを聞いた記憶がある。このアブはそんな進化の過程を想像させてくれる。

双翅目はもっとも繁栄した昆虫のひとつと言われている。
気をつけて観ると身近にもいろいろな種類がいて、その数の多いことに驚かされる。
私にはハエかアブかさえ分からないのだが、いろんな形に進化を遂げたことは分かる。なにしろカ(蚊)の仲間も双翅目に含まれるのだ。
よい図鑑がないためか、素人には種名がわからず、興味の対象になることも少ないのが残念だ。

2011年5月20日、報告:自然観察大学 事務局O

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【お詫びと訂正】…2011年5月23日追記
前記の巨大な平均棍云々は、全くの誤りでした。申し訳ありません。
お詫びして訂正します。
専門家であるS川先生からつぎのようにご指摘をいただきました。
………………………………………………………
●ヒラタアブの一種 = ヒメヒラタアブ
●変わったアブ(それともハエ?) = マルボシ(ヒラタ)ハナバエ/ヤドリバエ科
平均棍云々は不可。翅の基部によく発達している胸弁であって、ニクバエ科などと共に有弁類の特徴の一つです。
………………………………………………………
S川先生、ありがとうございました。
ヤドリバエ科をネット上で調べると、幼虫が昆虫体内に寄生する由。胸弁の役割についても記載はなかったです。う~む、奥が深いです。
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by sizenkansatu | 2011-05-20 19:48 | 昆虫など | Comments(0)

5月の雑草-2

ハルジオンの花を観る

5月の今の時期は、ハルジオンが目立つ。
15日の自然観察大学の見沼田んぼの観察会でも、ハルジオンの見事な群落が観られた。
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ハルジオンはつぼみの時に頭花が下向きに垂れる。
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よく似たヒメジョオンは垂れないので、区別するポイントになる。

ハルジオンには周りを囲む白い舌状花と、真ん中の丸い黄色の管状花がある。それぞれが多数集まったのが頭花(とうか、頭状花序などとも言う)である。
舌状花と管状花、キク科の花の作りを念のために確認しておこう。
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『形とくらしの雑草図鑑』(岩瀬徹、全農教) http://www.zennokyo.co.jp/book/ykhb/kkzso.html より

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この花はまだ若く、黄色い管状花はいちばん外側の部分だけが開花している。内側の丸いところはまだつぼみだ。
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もう少し開花が進んだ状態。管状花の星形の花弁がよくわかる。
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これはもうほとんど全部の管状花が開花している。

ハルジオンは舌状花が白いものから紅色まで変化がある。普通は個体ごとに白い株や紅色の株に分かれるように思っていたが…
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上の写真は一つの株で白から紅がある。
真ん中の開ききって真っ白な舌状花と、左の若い花はごく薄い紅色の舌状花。そして右端のつぼみは(?)は赤みが濃い。
もしかすると、つぼみの時は赤味が強く、開花するにつれて白くなる傾向があるのだろうか? 今後気を付けて観察してみたい。

…と書いていて、上の紅色の頭花がつぼみだとすると、開花前の黄色く丸い管状花はなんだろう。やっぱりつぼみか?
とすると、頭花のつぼみが開くと、中にはまた管状花のつぼみがある、ということになる。
う~ん。ややこしくてまた眠れなくなってしまう。

みなさんにも、ぜひハルジオンで眠れなくなっていただきたい。

次回はこのハルジオンの訪花昆虫を観よう。

変わりダネのハルジオン
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舌状花がほとんど見えない管状花ばかりのハルジオンがあった。
こうした変異は、授粉昆虫があまり来ないだろうし、この系統が広がることはないのだろう。

同じキク科のコセンダングサには舌状花がほとんどないが、こうして進化してきたのか? 
だとすると、どうやって目立たない管状花だけのコセンダングサが優先してきたのだろうか? 
いろいろと考えさせられるハルジオンだ。

2011年5月18日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-18 13:08 | 植物 | Comments(1)

白州で川虫さがし

長野から戻る途中、山梨の白州(北杜市)でも川虫を探した。
川虫が面白くなってしまったのである。

白州はサントリーの工場のあるところで、ここで天然水やウイスキーをつくっているのだから、よい水源という点ではお墨付きのようなものである。
手はじめに、ここのとある源流近くで川虫を探した。

ヒゲナガカワトビケラ
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これはトビケラの仲間でヒゲナガカワトビケラの一種。体長は5cmほどあった。
ヒゲナガというのは成虫の姿からの命名らしく、幼虫はウマヅラだ。
信州で食用される “ざざ虫” はこのヒゲナガカワトビケラ類が主力らしい。
当地ではこの虫を見て舌舐めずりをする人が多くいるのだろうか?
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これはそのヒゲナガカワトビケラの巣。小石を糸で綴って水中の岩の裏に営巣する。
写真は裏返して撮ったので、実際の巣はちょうど逆さまの状態である。
この仲間は以前滋賀県でも観察し、『源流と水生昆虫 -滋賀その2- http://sizenkan.exblog.jp/11750607/ で報告している。

これは何でしょう?
次は正体不明の虫。
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勉強不足で、何のグループかもわからない。
アザミウマの幼虫に近い気がするが、よりがっちりとした印象で、体長はアザミウマより1-2まわりほど大きい。沢の石の裏にいたのだが、凹みの中の乾いた部分にいたように記憶している。体表も乾いているようだ。
どなたかご存知の方、心当たりのある方は、ぜひご教示いただきたい。
(しょうもない写真だがご勘弁ください。ちゃんと撮る前にどこかえ消えてしまったのです)

………………………………………………………
ご教示いただきました(2011.5.23追記)

《 多分ヒロバカゲロウ科の1種だと思います。川虫図鑑191ページ最上段の写真を参照してみて下さい。随分小さいようですので、若い齢の幼虫かもしれません。 》

以上、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長(?)からご教示いただきました。ありがとうございました。
高井支部長は 『原色川虫図鑑』 の撮影をされた方です。
………………………………………………………

クジャクチョウに遭遇
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林道沿いで、多数のクジャクチョウを観た。
この時期は越冬成虫なのだろう、ぼろぼろの翅からは彼(彼女?)の乗り越えてきた艱難辛苦がうかがえる。
不思議なことに彼は舗装路の白いラインがお気に入りのようで、飛び立った後には必ずと言っていいほどライン上に戻ってくる。

ごっつい マダラカゲロウ
源流付近を離れ、今度は下流で川虫さがし。甲斐駒ケ岳から流れ出る尾白(おじら)川だ。
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街なかでも流れは透き通った南アルプス天然水だ。
さすがに川虫は少なかったが、ゴツイ川虫に出会った。
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体長は7-8mmと小さいが、硬くがっしりして両腕(前脚)が太く、昆虫というよりもエビやザリガニに近い印象だ。頭部前面には短いながらツノまである。離れた両眼がアンバランスで愛嬌がある。ぜひ写真をクリックして拡大していただきたい。
例の 『川虫図鑑』で 調べると、カゲロウ目のマダラカゲロウ科の一種と思われる。この仲間はごつい体が特徴らしい。

ご存知と思うが念のため…
クサカゲロウやウスバカゲロウは、カゲロウとは全く別のグループで、次のように分類される。
クサカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫は植物体上でアブラムシなどを捕食。
ウスバカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫はアリジゴク。
カゲロウ = 蜉蝣目(カゲロウ目)、幼虫は水中で生活。

カゲロウは不完全変態で、羽化の際に亜成虫を経るという独特の変態をする。はじめて翅を持った原始的な昆虫のひとつと考えられている。
いっぽうクサカゲロウやウスバカゲロウは全く異なるグループで、完全変態のより進化した仲間とされている。


カゲロウとトビケラは今回の川虫探しで観察できた。(ほんの一端ではあるが…)
ほかにカワゲラの仲間を加えて、川虫の御三家と考えられるだろう。
カワゲラについてはいずれまた観察し、ご報告させていただきたい。

………………………………………………………

近所でカゲロウの成虫を観た
ここまでカゲロウやトビケラの幼虫を観てきたが、季節的なものか、成虫にはお目にかかれず心残りであった。
ところが、Uターン後に千葉県市川市でカゲロウの成虫見ることができたので紹介しておく。
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明るい林縁の下草で休んでいた。(種名は不明)
カゲロウは清流に住むものと思い込んでいたが、種によっては溜まり水のようなところにくらすものもあるとS先生にうかがって納得した。観察地は国府台緑地というところで、近くには “じゅん菜池” という公園もある。

カゲロウの仲間は羽化後の成虫が短命であることも知られている。
分類のカゲロウ目は Ephemeroptera という名があるが、カタクリのように春の一時期の観に姿を見せる植物をスプリング・エフェメラルというのは、このカゲロウと同じ語源なのだろうか…

2011年5月16日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-16 18:38 | 昆虫など | Comments(0)

コメントへの御礼

先日の自然観察大学メールマガジンで、ブログ管理者の孤独を訴えた。
すると、それに対するはげましと気遣いだろう、さっそくコメントをいただいた。
ミルフイユさん、ありがとうございました。
おかげさまで勇気百倍、今後ともよろしくお願いします。
私からコメントで返すと “最新のコメント” 欄がいっぱいになってしまうので、本文でお礼を述べさせていただく。ご了承ください。

ミルフイユさんは、群馬に嫁ぎ農業をしておられるようだが、雑草ファンとしては付き合い方が難しいだろう。
私も実家(茨城県)で草刈をするときは遠慮せずバッサリと刈るのだが、それでも残したい雑草はある。

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これは刈り残したタツナミソウ。これを刈ることはできないでしょう。
タツナミソウは雑草ではなく野草だが、ホトケノザだってタツナミソウに負けず劣らずフォトジェニックだ。

ところで、ミルフイユさんのコメントにあった “県庁ビルからホトケノザが見える” というのはすごい。そんなホトケノザの壮大な群落をぜひ近くで見てみたい。
もっとすごいのは、それを肉眼で確認してしまう儀母上だ。マサイのご出身だろうか? 
(でも、もしかしたら赤く見えるのはレンゲの群落かも…)

※ いただいたコメントは右の “最新のコメント” でご覧いただけます。

余談ですが…
わたしは夜明けころには目が覚めて、毎朝ブログを書いている。
有意義な時間なのだが、おかげで新聞を読む時間がないのが困る。
このブログを購読してくれている友人が 『ブログは面白く見ているが、本業はちゃんとやっているのか?』 と本気で心配してくれた。
仕事はきっちり人並み以上(?)にやっているつもりなので、ご安心いただきたい。

急遽、もうひとつ御礼
この稿をアップしようとしたら、りりねこさんからも久しぶりにコメントをいただいた。
ついでみたいで申し訳ないが、ありがとうございます。
今後ともよろしく。

2011年5月13日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-13 18:10 | その他 | Comments(3)

中山道和田宿にて-3

本沢渓谷の巨木

和田宿のはずれの本沢渓谷というところに入ってみた。
5月だというのに、新緑はまだだいぶ先のようである。

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林業の町で名木に出会った。札書きに『トチノキの巨木』と記されている。 岩と樹が一体となって、奇怪な姿。どこがトチノキで、どの部分が岩なのか、写真ではわかりにくい。

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これは少し離れたところにあった別の巨木。すごい力感。
観ているだけで力が湧いてくる。
残念ながら樹種は不明。

3種のトビケラ

本沢渓谷の支流の、緩やかな小さな流れで川虫を探してみた。

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石の裏を返してみると、枯れ葉を綴った巣を発見。
トビケラの仲間で、長さは7-8mmというところ。
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シャッター音に驚いたか、中の一頭が顔を出した。
チャンスとばかりに撮りつづけると、なんと巣からはい出してしまった。
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カメラを意識してサービス精神を発揮してくれたのだろうか?
そこまでしなくてもいいのに…
親が見たら泣くぞ!

トビケラの仲間は毛翅目(トビケラ目)と言って、鱗翅目(チョウ目)の幼虫に似ているが、腹部には気管鰓(和田宿-1を参照))があって水中生活に適応している。
幼虫だけでなく成虫も鱗翅目に似ている。両者は分類的にも近いらしい。

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隣では、別のトビケラの一種が動き出した。巣の長さは5mm弱と小さい。
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筒巣の材料は砂粒。重たい棲家を背負っているだけあって、小さい体にしてはしっかりした脚だ。

3つ目のトビケラはとび切り面白い。
ヒモのようなもので岩に固定した奇妙な巣を見つけ、岩を陸に揚げてようすを見ていると、中から顔を見せてくれた。
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写真を撮られて身の危険を感じたのか…
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自分でヒモをかじって切ろうとしている。ヒモが切れ、落ちると思ったら…
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クモのように糸を出して、クルクルと優雅に回転しながらゆっくりと降りて行った。
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威嚇しているのだろうか? 凶暴そうな尖った脚は、脚というよりも大あごのように見える。
そういえば昆虫の口器と脚は、どちらも体節から進化したという話を聞いたことがある。脚があごに似ているのは当然のことなのかもしれない。
吹き流し状態の筒巣の開口部でこの脚を広げて、流れてくる獲物を捕らえるのだろう。ちょっと恐ろしい光景が頭に浮かぶ。

後日、例の 『原色川虫図鑑』 を見ると、筒巣をヒモで石に固定するのはキタガミトビケラの仲間とわかった。同書には “脚を広げて獲物を待つ”とある。さらに“水中で探すとよい”とあった。
そうか、今度は水中メガネか何かで観てみよう。

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キタガミトビケラでOKだそうです(2011.5.23追記)
《キタガミトビケラのような巣を作る種は、日本では他にありませんので、はっきりキタガミトビケラとしてよいと思います。》
以上、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長(?)からご教示いただきました。ありがとうございました。
高井支部長は 『原色川虫図鑑』 の撮影をされた方です。
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参考までに…
“キタガミトビケラ”で検索すると、動画の掲載されたサイトがあったので紹介させていただく。
キタガミトビケラの筒巣装飾』 http://zoo2.zool.kyoto-u.ac.jp/ethol/showdetail.php?movieid=momo080331un01b&embed=on 

2011年5月12日、報告:自然観察大学 事務局O


つくば市:けんぞうさんへ(2011年5月20日追記)
コメントありがとうございます。以下、質問への返答です。
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撮影は植物も含めて現場で撮るのを基本としています。
とくに生息地に戻せない渓谷の川虫などはその場で撮っています。
(家で撮影セットを組むのが面倒というのも大きな理由です)

写真をほめていただき光栄ですが、腕よりもカメラの進歩が大きいです。
デジタルカメラを高感度にすると、絞り値22や32にしても、日陰の渓谷で自然光を使ったデイライトシンクロができて、自然な仕上がりになります。
(ストロボ光だけだと背景が真っ暗になります)
ハエやハチなどの動きの早い小さな昆虫も、高感度にして撮影しています。

ブログでは図鑑と違って好きな写真を掲載できるのがイイですね。
図鑑だと “形態がわかる” 写真を優先するので、面白い写真は掲載できなくなります。
『原色川虫図鑑』でも、残念ながら掲載できなかった面白い写真、迫力のある写真がたくさんあるはずです。

疑問など、またいつでも遠慮なく申し付けください。
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by sizenkansatu | 2011-05-12 21:14 | 昆虫など | Comments(3)

中山道和田宿にて-2

清流のカゲロウ

流れの速い沢の石を拾い上げると、さっそくキッカイな昆虫がいた。
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全身が平たく、石の裏に貼りつくようにしがみついている。
長い尾が悪魔的で、一見して不気味な姿だが、よく観ると進化した合理的な姿であることがうかがえる。流線型の体としっかりした脚で水流に耐えるのだろう。
じっとしているかと思うと、ときどきササッと動く。意外に敏捷で運動能力も高そうだ。

水の反射で姿がよく写らないので、乾いた石に移動していただいた。
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腹部の両側にあるのは気管鰓(きかんさい)と言う鰓(えら)で、これによって水中で呼吸する。
小さな翅は不完全変態の翅芽(しが)であろう。
後で調べると “ヒラタカゲロウ” の仲間の幼虫らしいことが分かった。
参考にしたのは 『原色川虫図鑑』(丸山博紀,高井幹夫、全農教)。http://www.zennokyo.co.jp/book/musi/kwms.html 
いい本です。(宣伝みたいですみません)

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ヒラタカゲロウの顔(?)。間の離れた眼とナマズのような短いヒゲは愛嬌たっぷり。
しかし、口が見当たらない。どこにあるのか?
丁重にお願いして、裏返しになっていただいたら…
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あった。
何となくトンボのヤゴの口器に似て、捕獲仮面のようなつくりである。
カゲロウの仲間(カゲロウ目)は、分類学的にはトンボ目とともに原始的な昆虫とされる。原始的と言いながら、高度に進化・発展した姿をしているところも、トンボと同じだ。
捕獲仮面かどうかなどもっと詳しく観たかったが、元気がなくなってきたので中止。
元に戻して上から水をかけてやると、うれしそうに気管鰓をひらひらと動かしていた。

参考:捕獲仮面については、全農教/話のたねのテーブル http://www.zennokyo.co.jp/table/index_table.html から、NO.82 『ヤゴの捕獲仮面』 まだ見てない方はぜひどうぞ。

ヒルにご用心

石の裏には、何かの卵のような物があった。
突っついてみると、やはり両生類の卵のような感触だが、少し固め。
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これが、前述のヒラタカゲロウを撮っている間に動き出した。
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にゅうっ とツノのようなものを出したかと思うと、それがどんどん長く伸びる。
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ヒルだ。よくもまあ、これだけ長く伸びるものだ。
はじめの丸い形は冷たい水中で縮こまっていたものだろうか。
動き始めると、丸くなったり伸びたりしながらシャクトリ状に歩く。頭と尻に吸盤のようなものがあるらしい。

ヒルは格別危険なことはないと思うが、知らない間にゴム長の中などに多数侵入し、とり着いて吸血されてしまう。川虫探しでは注意しよう。

2011年5月11日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-05-11 12:38 | 昆虫など | Comments(0)

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