自然観察大学ブログ

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雑草の防寒対策?

1月22日、近くの江戸川の堤で雑草のくらしぶりを観た。

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ヘラオオバコのロゼットの中心部分には白い毛が密生している。
この毛にはどんな意味があるのだろう。泥や土埃から守るのか、それとも保温効果があるのだろうか…
そういえば心当たりがある。私はこのところすっかり髪が寂しくなって、防寒用の毛糸の帽子が必須アイテムになっている。これがないと、頭の血管がピキピキと凍りそうになるのだ。若いころは、そんなことはなかったのに…
頭髪と同じように、やはりヘラオオバコの細毛は防寒のためなのかもしれない。
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ヘラオオバコは成長した葉でも表面に細毛を密生する。
しかし葉の成長と細毛の成長はリンクしていないらしい。
出てきたばかりの新葉にはすでに成葉と同じ数、同じ長さの細毛を備えているようだ。
たとえるなら、生まれたての赤子が大人と同じ髪や髭を生やしているみたいなもの… 
ちょっと不気味だ。

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タンポポは地表すれすれに花をつけていた。
枯れたロゼットの中には、何とか生き延びた葉があるが、かわいそうに青ざめたような色をしている。
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これは横から見たところ。見慣れた花茎もなく、全体が硬く締まった感じで、いかにも寒さに耐えているようだ。
常識はずれの厳冬期に開花するのはセイヨウタンポポだと思うが、その特徴である総苞片(がくのように見える花を包む部分)の反り返りがない。
セイヨウタンポポの厳冬期バージョンというところか。

つい先日、丸の内さえずり館という所でいただいた“生き物カレンダー”で、『1月19日 = オオイヌノフグリ開花』 とあった。
それを思い出してあたりを探してみたら、確かにあった。
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こちらもごく短い花茎で、寒さを耐えるように密集した葉が付いている。
早春に目立つ大群落とはまったく違った印象で、株は小さく貧弱。一つだけ開いた花がなければ、これがオオイヌノフグリとはわからないくらいだ。
オオイヌノフグリは、一時私のシンボルマークにしていたほどお気に入りの雑草なので、よく観ているつもりでいたが、1月から開花するものもあるとは気が付かなかった。

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ホトケノザ。オオイヌノフグリと同様、見かけるたびに、つい撮影したくなる。
当ブログの『晩秋の雑草観察』 http://sizenkan.exblog.jp/12360830/ でも紹介しているが、寒さに強いということだろうか。

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カラスノエンドウも順調に冬を過ごしている。
今の時期は2枚の小葉(しょうよう)だ。
若い時期には丸型の小葉が多く、その後成長するとおなじみの長楕円形になるようだ。でも、成長しても小葉の丸いものもあるらしいので、話はややこしい。
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こちらは同じ2小葉でも細長い形。カラスノエンドウは秋に芽生えるが、その時はみなこのような小葉になっている。
幼児性を引きずった少年というところだろうか。

1月だというのに雑草たちはすこぶる元気だ。今年も一年間、たのしませていただこう。

2011年1月31日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-01-31 12:58 | 植物 | Comments(0)

姿を変えるイヌホオズキ三変化

立派なイヌホオズキ
昨年末、クリスマスイブの昼、イヌホオズキを観た。
事務所近くの、あるマンションの入り口だった。
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イヌホオズキは冬でも見かける雑草だが、立派な姿でマンションの玄関口に鎮座しているので、ポインセチアのような園芸植物かと思った。
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普通のイヌホオズキよりも葉が大きいのは、陽当たりが悪いのを効率よく補っているということだろうか。ビルに囲まれて、おそらく日照時間は一日1時間程度と考えられる。

普通のイヌホオズキ
ふだんイヌホオズキに注目してない方のために(!)、一般的と思われる姿をお見せしよう。
以前、秋に郊外の造成地で撮影したものだ。かなり感じが違う。
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小さなイヌホオズキ
三態めは、小さなイヌホオズキ。大きさの比較のために、画面でほぼ実寸比相当になるようにしてみよう。
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これを拡大すると下のようになる。
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整地されたあとに芽生え、急いで開花・結実したようだ。草丈は5cmほどだろうか。
結実しているのだから、立派な成植物だ。

形とくらしの雑草図鑑』(岩瀬徹、全農教)
http://www.zennokyo.co.jp/book/ykhb/kkzso.html では“草丈40-70cm”と記されているが、やはり自然界では型どおりにはいかないようだ。

これらとは別に、植えマスにもイヌホオズキがあって、こちらは逆に型破りに大きく草丈150cmほどになっていたのだが、これは撮影直前に除去されてしまった。残念

それにしてもこれら三態を観ると、環境に応じて柔軟に対応し、成長・繁殖できるのが雑草のすごいところだと思う。
このイヌホオズキに似た現象は、ナズナやヒメムカシヨモギをはじめほかの雑草でも数多く観察できる。

雑草は強くない
世の中には “雑草=強い” と勘違いしている人が多いようだが、この機会に整理させていただきたい。
雑草は草刈りや耕起、踏みつけといった人間の及ぼす力に対して、それぞれ強みを発揮するのであり、深山幽谷のような場所で雑草がはびこることはないだろう。
雑草は、人為的な環境変化に柔軟に対応し、身近で繁栄しているということなのだ。
見方を変えると、“雑草は、人間の近くでないと生きていけない弱い植物” ということではないか。

“雑草魂”などと言って、しぶとく生命力が強いことに例えられるが、そう考えると正しい表現ではない。

関連することで、岩瀬学長の『-野外観察で出会う- 雑草と野草の綱引き』という講演があった。
自然観察大学HPにこのレポートがあるのでそちらもご覧いただきたい。http://www.sizenkansatu.jp/index_2.html
雑草” の定義そのものにもいろいろな解釈があるようだが、【自然観察大学では雑草をこう考えたい】 という結論もこの講演で示していただいたので、ぜひ。

話をもどそう
イヌホオズキ類には身近なところでアメリカイヌホオズキとイヌホオズキがある。先に紹介した三態はいずれもアメリカイヌホオズキと思われる。
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アメリカイヌホオズキの花は柄が一箇所から放射状に出る。散形状花序(さんけいじょうかじょ)というそうだ。
対するイヌホオズキはブドウのふさのように花柄がつく。散房状花序(さんぼうじょうかじょ))という。
私のまわりではアメリカイヌホオズキを多く見かけるが、イヌホオズキ類にはほかにもカンザシイヌホオズキとかテリミノイヌホオズキなどがあるようでややこしい。このあたりの詳しいことは 『帰化植物写真図鑑 第2巻』 http://www.zennokyo.co.jp/book/kusa/kika_2.html で見ていただきたい。

2011年1月21日、報告:事務局O

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by sizenkansatu | 2011-01-21 18:56 | 植物 | Comments(0)

2011年の正月は松で3年分を観る

正月休みに実家の松を剪定した。
10年間ほうっておいた松は、徒長枝が天高く伸びてしまった。野川公園で継続観察したのと同じアカマツだろうか。
以前、I 先生に “枝の伸び方で年数を数えることができる” ことをうかがった。1節が1年分ということだ。数えてみるとやはり10年分伸びていた。
切るのは心苦しい面もあるが、良い機会なのでじっくり観てみよう。
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開いた松ボックリ(球果)は2009年春の雌花だ。1年半かけて成熟し、2010年秋に種子を撒いた抜け殻だろう。
その上の節は2010年に伸びたもので、その先に新年(2011年)の新芽がある。
写真の一番下の枝から数えると、先端の今年の芽まで合計3年分の成長の姿ということになる。
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2011年の新芽に近づいてみよう。鱗と羽毛に覆われている。新芽は10月に観た野川公園よりもかなり大きくなっている。
新芽の付け根にある小さな松ボックリは2010年春の雌花だ。
雌花は野川のアカマツの雌花とはかなりようすが違う。大きさも形も春の状態とあまり変化がないようだ。もしかしたら松の種類が違うのだろうか。

□ 自然観察大学 2010年度第3回観察会レポート http://www.sizenkansatu.jp/index_1.html をご覧ください。

雌花を切ってみた。
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中は緑色になって、若い球果(裸子植物では果実はない)といったところだが、まだ成熟した松ボックリにはほど遠い。
緑色のところは一枚ずつの種鱗(しゅりん:カサになるところ)で、その付け根の半透明の球体が胚珠(はいしゅ:種子になるところ)か。(写真をクリックすると拡大表示されます)
切り口からは松ヤニがにじみ出てくる。

□ お手元に『写真で観る植物用語』(岩瀬徹・大野啓一 全農教) http://www.zennokyo.co.jp/book/ykhb/sygo.html をお持ちの方は、p83の「マツの花と種子」をご覧ください。

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新芽は全体がヤニでべたべたしていて、とくに羽毛部分にはたっぷりと松ヤニを含んでいる。やはり大事な箇所は外敵から守るようにしているのか。
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芽も切ってみた。中ではすでに葉の元ができているようだが、雌花に当たるものは残念ながら分からない。
ヤニが多くて、扱いに苦労する。お気に入りの剪定鋏がべとべとになった。
剪定作業が終わると、軍手をはじめ全身に松ヤニがついた。松にとって最大の敵は庭師ということのようだ。
マツ類につくアブラムシもいるが、彼らは平気で松ヤニを吸汁しているのだろうか。なんらかのヤニ対策を講じているのだろうか。
ご存知の方はぜひご教示いただきたい。

□ 『アブラムシ入門図鑑』(松本嘉幸 全農教) http://www.zennokyo.co.jp/book/musi/ab_nz.html にはマツオオアブラムシとマツホソオオアブラムシの2種が掲載されている。この図鑑は植物から検索できるようになっている。

話はかわりますが…
マツの仲間のヒマラヤスギについて、HP上で 『ヒマラヤスギの雌花を観たい、情報をください』 というお願いをしてきました。

□ ヒマラヤスギの続報 自然観察大学トピックス http://www.sizenkansatu.jp/index_3.html から本項を選んでください。

これに対し、ある自然観察大学の学生から第一報が入りました。
この方は苦節○年、ヒマラヤスギの雌花を追い求めていた方で、昨年末から今年の正月にかけて、念願の雌花を発見されたそうです。
現在、みなさんにご紹介すべくこの情報をまとめてくださっています。ご期待ください。

2011年1月13日、報告:事務局O
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by sizenkansatu | 2011-01-13 13:48 | 植物 | Comments(0)

スズメバチの個室の蓋の謎

明けましておめでとうございます
自然観察大学ブログ & 自然観察大学を、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今日はまだ正月休みですが…
事務所に立ち寄ったついでにPCを開いたら、貴重なコメントをいただいていました。感激です。

昨年末のコガタスズメバチの巣の話で、上の段の空室に蓋がしてあるという疑問に対して、コメントでご意見をいただきました。ありがとうございます。
謎が解けたわけではありませんが、お二人の専門家(?)からのご意見です。
みなさんもぜひご覧ください。

コメントを見る方法 -PCの苦手な方へ-
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《おことわり》
以前、いたずらコメントがあって、承認制にさせていただきました。事務局で確認してからアップするので、書き込み後アップまで少々時間がかかります。ご了承ください。

『つくばけんぞう』さんがコメントで言っておられる “個室の蓋は寄生ダニのカスが詰まったのかも” というご意見ですが、写真では分かりにくかったようですので、拡大して再度掲載します。
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膜状のちゃんとした蓋でした。材質も他所と同様に和紙のようなものでした。カスが詰まったようには見えません。
次の写真は前回掲載しなかったのですが、蓋を破ってみたところです。
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このときはもしかしたら中にマユがいるかと思ったのですが、残念ながらカラでした。

新年早々うれしいことが…
高井幹夫先生の “カメムシの吸蜜” http://sizenkan.exblog.jp/12495921/ でコメントいただいた 『Ohrwurm』 さんは、ご自身でHPを公開しておられます。やはりその道の専門の方でした。
“自然観察者の日常” http://ohrwurm.cocolog-nifty.com/
『Ohrwurm』 さんのHPを拝見してまた感激!!
お気に入りのブログの筆頭に 『自然観察大学ブログ』 を掲載してくれています。
今年はとてもいいことがありそうな予感がします。

2011年1月3日、報告:事務局O
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by sizenkansatu | 2011-01-03 17:08 | 昆虫など | Comments(0)

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