自然観察大学ブログ

カテゴリ:植物と虫( 20 )




クワと昆虫

クワ 花から実へ

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これはクワの雄花。今をさかのぼる4月末の撮影だ。
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アップにするとこんな花序。
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少し控えめな、こちらはクワの雌花序。(去年別の場所で撮ったもの)
クワは基本的に雌雄異株とされているが、花の時期の主役は雄株のようだ。

一か月後の5月末。
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果実が色づくと主役は逆転する。
一見すると美味しそうだが、赤い実は未熟な状態で、このあと黒くなってからが食べごろだ。
私が子供のころは桑畑がたくさんあって、クワの実を食べたものだ。養蚕が衰退した今でも、パイオニア植物としてクワの樹が栄えているのは、この魅力的な果実のおかげなのだろう。

ところで、クワの実は複数の花が集まった果実なので複合果と言う。ちょっとややこしいが、厳密にいうと一つの花にたくさんの雌しべがあるイチゴのような場合は、集合果と言うのだそうだ。

参考:『自然観察大学観察会レポート』 http://sizenkansatu.jp/index_8.html  から「2011年 見沼田んぼ」の第2回報告/クワの実 & コゲラとカワラヒワ …をご覧ください。


虫たちに人気のクワの雌株

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クワの実を旨そうに吸っていたカメムシ。
カメラを向けると、警戒して吸汁をやめてしまった。
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チャバネアオカメムシはなかなかきれいな虫だが、こう見えて農業界では極悪人とされている。
果樹や豆類などいろんな農作物(のうさくもつ)を吸汁し、個体数が多いので被害も大きい。
このチャバネアオカメは嫌われ者を自覚しているのか、素早く逃げ去った。
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こちらはクサグモの幼体。数枚の葉をつづり合わせた奥に、じっと潜んで獲物を待っている。
クサグモは、クワの雌株のほうに獲物が多いことを心得ているらしく、雌・雄が隣りあわせのこの場所で、雌株だけに網を張っていた。


クワキジラミ

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クワの葉裏に、奇怪な花のような、不思議な姿を見せるのがクワキジラミだ。
一年に一度、この季節に観られる。
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白い糸の正体はクワキジラミ(幼虫)とその分泌物。
風に糸をはためかせながら、モゾモゾと意外によく動く。
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集団から抜け出そうとしているのがいた。丸い甘露を出している。となると糸は単なる排泄物ではなく、やはりワックスなのだろう。この糸は手で触ると消えてなくなってしまう。
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こちらは成虫。まだ体色が淡いので、ちょうど羽化したところか?
このコロニーは羽化ラッシュだった。
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成虫はワックスを避けて移動するようだ。どうやら自分たちの出した糸が苦手らしい。
(身勝手な親!)
ちなみに、クワキジラミは選り好みなく雄株にもついていた。

参考: 『虱(しらみ)生物』 http://sizenkan.exblog.jp/13917496/ 
去年のちょうど今頃、クワキジラミの観察をしているのでよろしければ…


2012年6月8日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-06-08 19:57 | 植物と虫 | Comments(0)

つる植物の話-6

カナムグラの続き

以前、『つる植物の話-3』 http://sizenkan.exblog.jp/14599053/ で9月中旬のカナムグラを紹介させていただいたが、その後10月にも観察を継続したので雌花と果実を報告する。

前回は多数の雄花に比べて雌花が極端に少なかったのだが、10月はじめには雌花も十分に発達していた。
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雄花が先熟し、雌花は時間差をつけて後から熟すのだろうか。

しかし雄花もまだ盛りで、ミツバチが数多く訪花していた。
カナムグラは風媒で受粉すると思っていたのだが…
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大きな花粉団子は、色から判断して確かにカナムグラの花粉のようだ。
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落下しそうになるが、片足の爪をひっかけて、アクロバチックな態勢でこらえている。

カナムグラの花はふらふらと不安定で、ミツバチにとって花粉採取は難しそうだ。

雌花を訪花するミツバチは見当たらないので、やはり受粉に貢献しているとは思えない。
上の写真を見直すと、ミツバチがゆすったために花粉が飛んでいる。やはり風媒か…

10月には、果実も目立ってくる。
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カナムグラの果実は折り重なるように付く。
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紅く色づいたものもある。なかなか上品な美しさ。
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下から覗き込むと、ほとんどは抜け殻だったが、一つだけ種子が残っていた。

余談ですが…
カナムグラの果実は同じクワ科のつる草であるホップに似ている。
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ホップは関東近県で目にすることはないが、東北や北海道では普通に栽培されている。(写真提供:全国農村教育協会)
ちなみに、カナムグラもホップもクワ科の同じカラハナソウ属(Humulus属)の仲間とされているが、最近はクワ科でなくアサ科とする説もある。植物分類学もいろいろあるようだ。

2011年11月1日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-11-01 23:22 | 植物と虫 | Comments(0)

つる植物の話-5

アレチウリ

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江戸川沿いにアレチウリが広がり、立ち木を覆っていた。
河原などで大きな群落をつくる。
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よく観ると、ここにはアレチウリに隠れてクズ、カナムグラ、ヤブガラシ、ヘクソカズラもあった。
どうやらこれらのライバルたちを、まとめて覆いつくしてしまったようだ。
特定外来生物とされているのもうなずける。

アレチウリは遅く発芽して急激に伸びるらしい。
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これは去年の6月に野川公園で撮った芽生え。いかにもウリ科らしい姿。
このときはアレチウリとオオブタクサが河原でいっせいに発芽していた。
わずかな期間に他を圧する成長をするということだ。

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アレチウリは巻きひげを盛んに出す。巻きかたは意外にも几帳面。
真ん中辺でらせんの向きが変わるのが写真でよくわかる。
全身に針のような毛があるが、痛いというほどではなくかゆい程度。

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アレチウリの雄花序。雄しべは合着していて、葯は面白い形だ。
よく観ると写真の右端の花は花弁が6個ある。
写真はまだ若い花序で、中心から次々に開花のスタンバイをしているのがわかる。
アレチウリは英名でstar cucumber(星の胡瓜)とも言われるそうだが、この花の形が由来しているのだろう。
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こちらは雌花。花粉がよくついているのが確認できる。
アレチウリにはミツバチやスズメバチなどのハチ類、ハエ・アブ類などをはじめ、盛んに昆虫が訪花するのが確認できる。虫媒で受粉する植物にとっては、虫に人気があるかどうかが大切なはずだが、その点アレチウリは高い支持率があるようだ。

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果実。トゲは見た目ほど痛くはないのだが、トゲだけが抜けて皮膚に刺さるので扱い(?)にくい。

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ウリ科植物と言えばウリハムシだ。(イメージ偏りすぎ?)
成虫が葉を食べ、特徴的な丸い食痕を残す。
キュウリやスイカ、メロンなどウリ科作物の農業害虫とされるが、幼虫も地下で根を食べるので、こちらの方が問題は大きいのかも…

※ 参考:病害虫・雑草の情報基地:菜園の病害虫 http://www.boujo.net/handbook/saien/saie-98.html

ウリハムシの近縁でクロウリハムシというのがいる。
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農作物(のうさくもつ)につくのはウリハムシが多く、自然界(野生植物)ではクロウリハムシが多いような気がする。

農作物について(余談ですが…)
ニュースなどで、アナウンサーが “のうさくぶつ” と言っているのが気になって仕方がない。
学生時代から何十年間も農業関係に籍を置いているが、ずっと “のうさくもつ” と言ってきたのである。
以前、仲間との居酒屋会議で本件について話し合ったが、結論は全員が “のうさくもつ” で一致。“のうさくぶつ” はおかしい、ということで意気が上がった。
辞書で調べると、本筋は “のうさくぶつ” で “のうさくもつ”とも言う、という扱いのようだ。
言語学者の皆さんには、農学系で言われているのは圧倒的に “のうさくもつ” であることを知っていただきたい。

2011年10月2日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-10-03 17:27 | 植物と虫 | Comments(11)

つる植物の話-4

ヤブガラシ

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灌木を覆うヤブガラシ。
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後の大きな木まで覆いつくしている。
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先端は巻きひげになってからみ、次は交代した脇芽が伸び、また巻きつく。
主軸が次々に交代する仮軸成長(かじくせいちょう)だ。
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たぶんアバウトな性格なのだろう。巻きつきかたはこんな感じのことが多い。

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小さな花が集まって花序となる。この形は散房花序という。
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ヤブガラシの花。
花びらは早く落ちて、オレンジ色の台座部分だけ残る。台座は花床とか花盤などと言われる。果実になることはまれだそうだ。

マニアにおすすめのサイト:福原のページ(植物形態学・生物画像集など) http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/yabugarashi.html

地味な花だが、ヤブガラシにはハチやアリなどの昆虫がよく集まる。
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ナミテントウ。アブラムシだけでなく、花蜜も食べるらしい。
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マメコガネ。こいつは好き嫌いがなく、何でもよく食べる。

すごいのを見つけた。
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ブドウトリバの交尾。
トリバガ科という蛾の仲間で、翅が鳥の羽毛のようになっているので “鳥羽蛾” という名前なのだと思う。翅を真横に伸ばした形も特徴的だ。
翅も奇妙だが、脚のトゲも不思議。どうしてこんな姿なのだろう?

もうひとつ、自然観察大学の見沼田んぼの観察会で、6月の下見のときにすごいのを見た。
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ブドウスズメの幼虫。
イモムシに詳しい方(?)なら、写真は逆さまにしがみついていて左が頭であることはおわかりだと思うが…
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よく観ると頭部はとても小さい。画面のカギ爪状の茶色いのが胸脚で、その下にあるのが頭部だ。

ヤブガラシにかかわる昆虫は多彩なようだ。いずれじっくり観てご報告したいと思う。

2011年9月22日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-09-22 20:20 | 植物と虫 | Comments(1)

つる植物の話-2

ガガイモ

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植え込みをガガイモが覆っていた。
名前とたくましい姿はいかにも外来雑草的だが、れっきとした在来種だそうである。古くは種子の綿毛を朱肉に利用されるなど、古来より日本人のくらしにはかかわりの深い植物だったらしい。

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ガガイモの花。個性的で逞しく、なかなか美しい。

ガガイモの花については、次を見ると詳細な観察報告がある。
『花*花・flora』 http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/gagaimo.htm
植物愛好家の方は、お時間のある時にゆっくりご覧いただきたい。

余談ですが…
サッカーで世界一になった “なでしこジャパン” にならって、男子代表のネーミングを “ががいもジャパン” としてはいかがだろう。
● 素早い成長で他を覆いつくす攻撃力
● べとつく汁による守備力
● しなやかなつるで、支え合って伸びる結束力
● 外来雑草にも負けない逞しさ
ガガイモは神代にはカガミと呼ばれていたらしく、神話で天之蘿摩船(あまのかがみのふね)として果実を利用するシーンがあるらしい。神話つながりということで、八咫烏(やたがらす)との相性も良い。
そもそも、ザックジャパンとかトルシエジャパンといったネーミングはいかがなものか。監督の所有するチームであるかのような名称ではないか。
なでしこに続け! ががいもジャパン!

無敵のガガイモに敵がいた
つるの先端部にアブラムシが付いていた。
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キョウチクトウアブラムシだ。
逃れようと伸びるガガイモと、負けじと先へ回り込むアブラムシ。静かなチェイスが繰り広げられている。
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なかなかきれいなアブラムシだ。
名前の通り有毒植物で知られるキョウチクトウに着くのだが、どうして平気なのだろう?
アブラムシには毒は蓄積されないのだろうか?

2011年9月15日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-09-15 12:51 | 植物と虫 | Comments(5)

ヘクソカズラとグンバイムシ

ヘクソカズラ -不思議な花の形-

ヘクソカズラはこの時期よくめだつ。
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夏のつる植物の代表的な雑草の一つだ。
同じアカネ科のアカネやヤエムグラなどはトゲでひっかかりながら絡むのだが、ヘクソカズラはトゲがなく、巻きつき型のつる植物である。
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花も独特な筒状の形で、アカネ科らしくない。
不思議な形の花だ。
花の赤いところをお灸の火に見立てて、ヤイトバナ(灸花)とも言われる。
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ヘクソカズラの名前は、この葉を揉むと屁糞のようなすごいにおいがするから、ということはよく知られている。すごい名前を付けたものだ。
たしかにくさいが、個人的には名前ほどのことはないと思うのだが、いかがだろうか…

ヘクソカズラグンバイ -異形チャンプ-

このヘクソカズラに付くヘクソカズラグンバイという虫がいる。
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異形ぞろいのグンバイムシの中でもナンバーワンの奇怪な姿。
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拡大してみると、頭胸部に風船のような柄杓のようなものがある。
Y先生いわく “グンバイムシ界の小林幸子”
この飾りは、風に乗って長距離移動するための帆のような働きをするのだと考えられる。

ヘクソカズラグンバイは近年分布を広げていて、写真は昨年(2010年)野川公園の観察会でY先生が発見したもの。
(フィルム撮影のスキャニングなので画質の劣化はお許しいただきたい)
今年も探しているのだが、今のところまだ発見できない。
これから数が一番増える時期だと思うので、引き続き注意して観察したい。
みなさんもお近くのヘクソカズラで探してみてはいかが?
発見したらぜひご一報ください。

余談ですが…
屁糞のような葉を吸収するヘクソカズラグンバイは、いったいどんな臭いなのだろう。
濃縮され、極め付きの臭いになっているのだろうか?
興味のある方はぜひ試していただきたい。
これについても報告をお待ちしている。

2011年8月10日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-08-10 18:55 | 植物と虫 | Comments(0)

ホタル狩りの巻

7月25日の夜、ホタルを観に行った。
ヘイケボタルの季節は、このあたりでは7月末から8月はじめ。
6月末のゲンジボタルよりもひと月ほど遅い。

広い谷津地形の中で、ホタルが出そうな場所の検討をつけて日暮れを待つが、なかなか出てきてくれない。

待つ間に、ナナフシを発見。
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夜のナナフシは堂々として、隠れるようすもない。

ちょうど開きかけのカラスウリの花を見つけた。
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上の写真は午後7時00分。見る見る開いてくる。
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これは7時06分。
これだけ複雑なものを、絡まることもなく上手く開くものだ。

もっと見ていたいのだが、ホタルが気になってそれどころではない。
あたりは真っ暗になったが、まだホタルは出ない。
場所が悪いのかと考え、待ちきれなくなって他を探してみることにした。

どこかでホタルが乱舞しているかもしれないと、気持ちが焦る。
機材を抱えて、速足で暗い谷津を探し回った。
もう8時近いので、どこかで必ず出ているはずだ。
汗だくで、焦りまくって歩いていると…
目の前に小さな光の球が湧きあがるのが見えた。
出た! ヘイケボタルだ。

数はまだ全然少ないが、三脚をセットして、とりあえず撮った写真がこれ。
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まあ、試し撮りなので良しとした。

待つうちに見る見る数が増えて、乱舞すると思っていたのだが、一向に数が増えない。しばらく待って撮ったのが次の写真。
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画面右のホタルが飛び去って、さらに寂しい状況。
(モニター画面の故障ではありません。ほこりを払ってきれいにしてご覧ください)

数年前にY先生の紹介で千葉の大原でゲンジボタルの大乱舞を観たときは、立っていると次々にホタルがぶつかってくるほどだった。
そんな状況を頭に描いていたのだが、この日のヘイケボタルは実にさびしいものだった。
風が強かったためか、あるいはもともとヘイケボタルは密度が低いものなのか…

乱舞の撮影はあきらめてホタルを持ち帰らせていただき、室内でアップを撮ることにしよう。
その結果は次回報告させていただく。

2011年8月3日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-08-03 18:00 | 植物と虫 | Comments(4)

虱(シラミ)生物

6月のはじめ、虱の名が付く生物を観た。
自然界の美しい造形、合理的な造形、そして不思議な造形。
よく観るとごく身近な生物にも新鮮な驚きがある。

オヤブジラミ
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これはオヤブジラミの果実。
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果実を拡大して観ると、曲がったトゲがびっしりと着く。
このトゲで衣服にくっつくので “藪虱” の名があり、オヤブジラミは少し大きめなので雄藪虱ということらしい。
トゲは見た目よりは柔らかく弾力があり、触って痛いということはない。
くっつきやすい、絶妙の硬さだ。

クワキジラミ
クワの葉に付く不思議なもの。
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白い糸状のものは風にふわふわとはためく。

葉裏を反すと、こんな感じ。
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まだよくわからない。

もっと拡大してみよう。
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キジラミの一種でクワキジラミの幼虫。
カメムシ目(半翅目)キジラミ科で、系統分類上は虱(シラミ目)とは無関係である。
幼虫の形がシラミに似ているとも言えるので、そのあたりが “木虱” の名前の由来だろうか。
糸状のものはロウ状物質とされるが、何のためにこのようなものをはためかせているのだろう…
風に乗って移動するのか?
それとも捕食者への脅しか?
この時期(6月はじめ)にはどこにでもいる昆虫だが、考えてみるとつくづく不思議な生物だ。
白い糸は何かの意味があるのだろうが、どなたかご存知の方はご教示いただきたい。

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クワキジラミの成虫はこれ。
ごく小さなセミといった印象だ。

ご本家のシラミを紹介しよう
名前にシラミが付くので、ここでは “虱生物” と呼ばせていただいた。
ではシラミのご本家はどんな虫か? 現在は見ることの少ない虫だ。
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これはコロモジラミ。(写真提供:全国農村教育協会)
腹部内部の赤いのは吸血したためで、このあとどんどん膨らんでいった。
コロモジラミは皮膚の上で撮影しているが、誰の皮膚だったのか? 記憶にない。

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こちらはケジラミ。(写真提供:全国農村教育協会)
皮膚や毛髪との比較で大きさがイメージできると思う。

シラミが詳しく出ている本
シラミ類については 『衛生害虫と衣食住の害虫』(安富一男、梅谷献二、全農教) http://www.zennokyo.co.jp/book/gai/ei.html に詳しく紹介されている。
この本は保健衛生関係者のために作られた本だが、身近な家庭の昆虫図鑑として昆虫マニア必携の本である。
昆虫マニアたるもの、美麗種・希少種のみに心奪われることなく、身近な昆虫にも眼を向けようではないか。

余談ですが…
当時、撮影用にコロモジラミを提供いただいた某研究機関では、この虫を大量に飼育していた。餌は生き血なので、研究員の方はなんと定期的に自らの血を与える。その献血シーンは強烈だった。

フェルト状のマットにびっしりと付いたコロモジラミを飼育器から取り出し、マットごと自分の腕の上に載せる。

シラミがぞろぞろと乗り移ってきて、吸血する。

……… (じっと待つ)

腹いっぱい吸血したシラミは静かに腕を離れる。

… 書きながら鳥肌が立ってきた。
そのシーンの写真もあるのだが、やめておこう。

2011年6月28日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-28 19:42 | 植物と虫 | Comments(1)

ナヨクサフジとクマバチ

ナヨクサフジ
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ナヨクサフジという雑草が増えている。
花はクサフジによく似るが、赤味が強く派手な印象がある。
ナヨクサフジの漢字表記は “弱草藤” だそうだが、はたしてホントに弱いのだろうか?
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私は4年前に江戸川べりのある場所で、こつ然と現れたナヨクサフジの大群落を見た。
それがはじめてで、その後は街なかの造成地や皇居周辺の植えマスなど、頻繁に見かけるようになった。
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これはナヨクサフジの果実。ちょっと美味しそう。

ナヨクサフジは、ヘアリーベッチという名前で、もともとは農業の飼料作物や緑肥用として導入された植物らしいが、近年はカバープランツ(※)としても利用されていて、どうやらこれが逃げ出して雑草になったものらしい。

※ ヘアリーベッチのカバープランツについては、自然観察大学HP【バックナンバー】から2010年『農場の自然観察』をご覧いただきたい。 http://www.sizenkansatu.jp/index_8.html

蜜を盗むクマバチ
このナヨクサフジを訪花するクマバチを観た。
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クマバチはミツバチの仲間(ミツバチ科)のくせに、花粉を媒介しないそうである。
確かに筒状の花の側面に孔を開け、蜜だけを吸収しているらしい。

(黒いクマバチに露出(写真の明るさ)を合わせているので、ナヨクサフジは明るい色になっているが、ご了承いただきたい。)

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写真のように、斜め下からしゃくり上げるように口針を突き刺すしぐさが頻繁に観られる。ずるがしこいヤツだ。
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クマバチのほうも盗蜜ばかりしては申し訳ないと思ったのか、ときには正攻法で正面から吸蜜することもある。
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こちらはヒゲナガハナバチかあるいはミツバチと思われる。
なかなか蜜に届かないので、苦戦しているようだ。

余談ですが…
クマバチは体が大きくて黒いから “熊蜂” だと思っていたのだが、もしかすると蜜を盗むから “熊蜂” なのかも知れないと思った。だとすると、いにしえの命名者はそこまで詳しく観察していたことになる。
クマバチは翅音が迫力ある重低音で、野外で驚かされることが多いが、めったにヒトを刺すことは無く、仮にさされても毒はごく弱いらしい。(刺されたことが無いのでわかりません)

2011年6月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-20 19:04 | 植物と虫 | Comments(4)

カラスノエンドウをめぐる虫たち

カラスノエンドウは今まさに満開。
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あいかわらず、互いに支えあって伸びている。
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拡大して観ると、まさしくマメ科の蝶形花(ちょうけいか)。
マメ科の花の構造は少し複雑だ。花弁は旗弁(きべん)、側弁、竜骨弁からなり…

説明はやめておこう。先日、友人たちとの宴席で、『ブログの文字が多くて、内容がマニアックすぎる』 という多数の批判を浴びてしまった。
反省して、まずはだまって花を観ていただくことにしよう。


<< ご注意! 以下の写真は、虫嫌いの方はけっして一人では見ないでください >>


ナナホシテントウに野生を見た!

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ナナホシテントウがアブラムシを食べていた。
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拡大するとすごい食べっぷり。野生の肉食動物の迫力を感じる。
(迫力を味わいたい方は写真をダブルクリックしてください)

食べられたアブラムシ(マメアブラムシ?)はかわいそうな気もするが、カラスノエンドウから見れば、寄生虫を食べてくれるありがたい味方ということになる。
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カラスノエンドウの先端付近では、群落のいたるところでコロニーをつくっている。アブラムシの繁殖力はものすごいが、負けずに伸びるカラスノエンドウの繁殖力もすごい。

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これはヒラタアブの仲間の幼虫。やはりアブラムシを食べるが、こちらは迫力がありすぎるので、今回はやめておこう。
(これでも、万人に愛されるブログを目指しているのです)

M先生によると “アブラムシは陸のプランクトン” … 食べられることが宿命だ。
別のM先生(こちらもアブラムシの専門家)は、テントウムシやヒラタアブが捕食しているのを見ると 「こらっ! 私のかわいいアブラムシちゃんに何をするかっ!」 などとブツブツ言いながらも、非情にも管ビンのアルコールの中へアブラムシを採集していた。これも悲しい宿命なのか?

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これは別のナナホシテントウ。前の写真より体色が濃い。

観ていて、あることに気がついた。
彼らはアブラムシを捕らえ、少し離れたところに持っていて食べるらしいのだ。
コロニーに居座って食べ続ければ効率が良いのに…
一人で静かに食べたいということか?

この一角にはかなりの数のナナホシテントウがいたが、居座り型のナナホシテントウは観察できなかった。
それどころか、絶好の餌場であるカラスノエンドウから離れ、長距離移動するものもいた。
d0163696_1932419.jpg
(意外に動きが早いのでカメラで追うのはけっこう難しい。)

後日、H先生にナナホシテントウの静かな食事についてご意見をうかがった。
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私の観たところでは普通に居座って食べると思いますが、種の保存のためにいろいろな行動パターンを身につけているということは考えられますね。
小さいながらも野生動物だから、じゃまの入らないところで静かに食事をするという本能を身につけているのかもしれません。
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少し離れたところの木杭に、もう蛹になっているのが観られた。
d0163696_19514228.jpg
樹幹などの安定した場所に移動して蛹になるらしい。
食事とはちがって蛹化では集団になるようだ。2008年の自然観察大学観察会で観たヒノキの樹幹の大量の脱皮殻が思い出される。
http://sizenkansatu.jp/index_8.html から見沼の第2回観察会参照)

なお、H先生によると、4月半ばのカラスノエンドウで見られるのはほとんどがナナホシテントウ。テントウムシ(ナミテントウ)よりもナナホシテントウのほうが低温に強いらしく、早くから活動をはじめるということだ。


タコがアリのエジキに…

暖かくなったためか、タコゾウムシが活発になった。
d0163696_19341646.jpg
植物体上を動きまわる幼虫が目につくが、どうも個体数は減っているらしい。

地表に落ちたタコゾウムシをアリが襲っている。
d0163696_1936831.jpg
小さくて動きが速いのでふだんは気づかないが、こうして写真を見るとアリもけっこう凶暴そうな大あごを持っている。
丸々と太った重たそうな幼虫だが、軽々とくわえて運び去る。

あたりを見ると、ほかにも3、4件の連れ去り事件に遭遇した。
d0163696_1938271.jpg
わずかな時間に何頭もの幼虫が連れ去られたところを見ると、もしかすると落ちた幼虫だけではなく植物体上のタコゾウムシを捕らえているのかも知れない。

ところで…
一般にアリとアブラムシの共生関係について広く言われている。
甘露をもらう代わりに、アリがテントウムシからアブラムシを守るというのだが、今回はアブラムシのコロニーではアリは観られなかった。
アブラムシの甘露よりもタコゾウムシのほうが美味しいということだろうか。

2011年4月25日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-04-25 19:53 | 植物と虫 | Comments(4)

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