自然観察大学ブログ

カテゴリ:植物( 151 )




またへんなエノキグサ

またまた、へんなエノキグサを見た。

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今度は雌花だらけ。
雄花穂があるべきところにも雌花がならぶ。
前回のニュー・ハーフとちがって、ちょっと不気味だ。

こういうのを観ると、ついついいろんなことを考えてしまうものだが、いかがなものだろうか。
生き物には例外はつきもので、とくに植物の雌雄に関してはかなりあります〟 とはI瀬先生の言だ。

2014年10月1日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2014-10-01 18:55 | 植物 | Comments(0)

エノキグサのニュー・ハーフ

ちょっと変なエノキグサを見た。
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どこがおかしいのか、気付いた方は、ふだんから雑草をよく観ている方だろう。
答えは雄花穂の先に雌花があること。
エノキグサの雌花は画面下の苞葉に包まれたコロンとしたところにあるのが普通。
雌花は毛のような雌しべがあるだけで、花びらはない。
その上のエンジ色のところが雄花の集まった穂で、白いのが雄しべだ。
そこまでが普通のエノキグサなのだが、このエノキグサは雄花穂のさらに先に雌花がある。

こちらは別の花穂。
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少し小さめだがやはり先端に雌花がついている。
この株には、そんなおかしな花が多数あった。
いわばエノキグサのニュー・ハーフのようなものか?

そもそも、エノキグサのように雄花穂の下に雌花があると、落下した花粉によって自家受粉をする可能性が高いだろう。
先端の雌花は受粉できる可能性は低いだろうが、できたときは新しい遺伝子を備えたニュー・ハーフの種子を作り出すことになる。
このエノキグサがこの後どうなるのか継続して観察しようと考えたが、一週間後に行ってみたら、除草剤が散布されていた。もしかするとこの進化したニュー・ハーフ・エノキグサがなわばりを広げるところを見たかったのだが…
うーむ。雑草観察のつらいところだ。

ところで、エノキグサは今ごろの季節によく目立つ。
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葉がエノキに似ているというのでついた名前だそうだが、日なたのエノキグサはあまり似ていないと思う。
日陰で育った葉の大きなものではそれなりに似ているが…

エノキグサについては「形とくらしの雑草図鑑」(岩瀬徹、全国農村教育協会)にその一生が出ている。
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ちょっと地味だが、なかなか味のある雑草である。

2014年9月21日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-09-21 23:06 | 植物 | Comments(0)

夏の木曽駒ヶ岳と宝剣

8月のはじめに木曽駒ヶ岳に行った。
体力に自信がないので、山といってもロープウェイ利用の半日コースだ。
そこで観た高山植物を中心に紹介させていただく。
千畳敷カールより宝剣岳。
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う~む。絵になるなぁ。画面左端が宝剣岳。写真は事務局I嬢の写真。
手前に広がる千畳敷カールは夏の間お花畑になっているはずなのだが、今年は冬の大雪のために遅れているらしい。(画面でも残雪が見える)
我々はこれから写真中央右のつづら折りの登山道(八丁坂という)を登る。
稜線部分(乗越浄土という)を超えて、そこから木曽駒ヶ岳まで往復する。

なお、私は接写用のレンズしかないので、残念ながら上のような写真は撮影できない。
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これがその105mmマクロレンズで撮った宝剣岳。
つい、手前のナナカマドにピントを合わせてしまう。

これはイカンと、宝剣岳に合わせるとこうなる。
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岩肌がすごい迫力。
眺めるには好いが、あとでここを登ることを考えると、ちょっと恐ろしい。

振り返ってみると、南アルプスの山々…
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左端が北岳。富士山も遠望できた(画面右奥)。
雲海の下にかすかに見えるのは駒ヶ根の街だろう。
天候に恵まれたが、聞くところによると富士山が見えるのはめずらしい由。
常日頃のヨイオコナイによるものであろう。

お花畑で観たチシマギキョウ。
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逆光のため、とりわけ鮮やかだ。特徴である白い毛もよく観える。

この日一番多く見かけたイワツメクサ。
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ツメクサというよりは、下界で観るノミノフスマやハコベに似た感じ。
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高山植物らしく、全身に比較して花が大きい。

イワベンケイ。
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雌雄異株で、これは雌株。
つぼみかと思ったら、これで花らしい。

ハイマツ。
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何も考えずにスルーしてしまいがちだが、自然観察大学で学んだことを思い出した。
まずは雌花穂と松ぼっくり。
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右の雌花穂は、一年後に松ぼっくりになる。
左の松ぼっくりは去年の花で、今年の秋に笠を開いて種を散らすのだろう。
開花から種子散布まで通算して一年以上かかるということだ。

こちらは雄花穂。
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軽くたたくと多量の花粉を飛ばした。
ハイマツだけに枝は短く全体が低くなっているが、基本的なことは観察会で観たアカマツと同じだ。

女王といわれるコマクサ。
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木曽駒ヶ岳手前の登山道わきに点々とあった。
きれいなコマクサと思ったのだが、よく観ると花弁の横に穴が開いているのがある。
たぶんマルハナバチ類の盗蜜によるものだろう。

別株のコマクサ。
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こちらの女王は派手好みのようだ。
地上では小さく可憐に見える株でも、礫の間に深くたくましく根を張っているそうだ。

木曽駒から宝剣岳一帯のコマクサは明治・大正期に薬草として採りつくされ、今あるものは植栽なのだそうである。それでもなお盗掘があるとか… 盗蜜と違ってこちらは罪が深い。

木曽駒ヶ岳の頂上にあったヨツバシオガマ。
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近縁の○○シオガマというのがいくつもあってややこしいが、これはヨツバシオガマでよさそうだ。
名前の由来はいろいろあるようだが、こじつけのようなものもあって決定的なものはなさそう。
シオガマ類の特徴は花の形が鳥の頭に似て、先端がくちばしのようにとがっているところである。

そんなわけでタイミングよく登場したイワヒバリ。
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今年生まれた若鳥なのだろうか。山頂の人混みをおそれることなく姿を見せてくれ、しばしの間いろいろなポーズをとってくれた。
イワヒバリは山頂付近のハイマツと礫地帯で繁殖し、中腹の谷で越冬するそうである。ふもとの街でお目にかかることはまずない。

8月2日(土)というもっとも混雑の予想される日程だったが、頑張って始発のロープウェイに乗ったおかげで、木曽駒から宝剣を回って昼には千畳敷に戻ることができた。
次回はふもとの駒ケ根の話をさせていただく予定。

参考までに行程を記しておく。

駒ヶ根
 ↓ (バス。臨時便4:45発。運転技術にびっくり)
しらび平(標高1,662m)
 ↓ (ロープウェイ。臨時便)
千畳敷(2,612m)
 ↓
乗越浄土
 ↓
中岳(2,925m)
 ↓
木曽駒ヶ岳(2,956m。折り返し)
 ↓
中岳
 ↓
乗越浄土
 ↓
宝剣岳(2,931m。往復ピストン)
 ↓
乗越浄土
 ↓
千畳敷

2014年9月6日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-09-06 15:46 | 植物 | Comments(0)

ツユクサ-6 二輪咲きと自家受粉

いきなりクイズ。
この写真で、おかしいところにお気づきだろうか。
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気づいた方は、ふだんからよくツユクサを観ている方だろう。
苞を開いてみると…
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主軸には花ではなくて、葉のような、あるいは苞のようなものがついていた。
普通に観られる主軸の途切れたタイプのものは、朝の早いうちはこんなふうになっていて、その後落ちるものなのだろうか?
それとも先祖がえりのような突然変異なのだろうか。

もう一つ、側枝の花はこれから開こうとしているのだろうか。それとも開くことなく過ごすのだろうか?
この写真を撮ったのは朝の5時6分。まだあたりは暗い。

ところで、花序のつけ根にはアブラムシがいる。少し色が淡いがツユクサアブラムシだろうか。

同じ群落にあった別の頭花。
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写真左の主軸は途切れていて、側枝には3つ目の花が開こうとしているところ。
ツユクサは開花の時点で自家受粉をしているという〝なかなか〟さんの観察記録 (⇒) があったので、この日それを確認しようと早起きしたのだ。

苞を開いてみよう。
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左の二つはすでに実になっている。
花を無理やり開いてみたが受粉しているかどうかは分からない。
反対側から観てみよう。
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雌しべの柱頭(紫色の部分)はまわり込んで人字形の雄しべの葯に接近しているが、花粉は着いてないようだ。
花粉が付いているか否かをルーペで観ただけでは、受粉の有無を確認することはできないが…


少し移動して、別のツユクサの群落を観た。
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こちらでも開きかけの花をこじ開けてみたが、受粉は確認できない。
なお、このころようやく日が昇ってきて、背景が少し明るくなった。

この群落では、二輪咲きのツユクサがたくさんあった。
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例によって、苞を開いてみよう。
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予想通り、通常は花のつかない主軸に立派な花がついている。
ここで注目したいのは主軸の花(画面上の花)に雌しべがあること。
主軸の花は雌しべのないことが多いが、まれには雌しべを持つものもあるということだ。
ちなみに、この二輪咲きの同じ株の下では、普通に主軸の途切れた花序であった。

なお、上の写真で二輪とも柱頭に花粉がついていることにも注目。

こちらはまた違ったタイプ。
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主軸の花は、つぼみの状態。
このつぼみはこの後、開くことなくポロリと落ちるのか、それとも立ち上がって花を開くのか?

うーむ。続けて観察したいが、出勤前の観察ではそうしてもいられない。残念。

次はすでに開花済みのツユクサ。
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この状態で、雌しべの柱頭には花粉はついていない。

この写真で注目したいのは仮雄しべ。
一般に、ツユクサの雄しべは長い2個(上の画面の左)が本当の雄しべで、花の奥にあるΠ字形の3個(右側の花弁に隠れたもの)と、その間にある人字形の1個(画面中央)は仮雄しべであるとされているが、人字形の雄しべはたっぷりと花粉を持っているように観える。

〝なかなか〟さんの詳しい観察では、人字形の雄しべ(なかなかさんはY字形と呼んでいる)は授粉能力があり、Π字形の雄しべ(同X字形)は少量の花粉はあるものの授粉能力はないことが確認されている。 (⇒)
〝なかなか〟さんは前述のように、ツユクサの8-9割が自家受粉であることも観察している。 (⇒)


今回の観察では自家受粉が多いことを確認することはできなかったが、自家受粉が多いのであれば、二輪咲きのなどの性質は群落ごとにその傾向が強くなるのも納得できる。
そういえば、今回もそうだが、昨年の自然観察大学での岡発戸の観察会でも二輪咲きのツユクサが群生していた。
群落ごとに性質が違うのであれば、自家受粉かどうかも群落ごとに違ってくることになるので、そう簡単なものではない。

参考までにこれまでのツユクサの観察記録は次の4件。

1花を観る⇒ 2芽生え⇒ 3マルバツユクサ⇒ 4マルバツユクサの地中の花 5二輪の花のこと


ツユクサの開花はまだまだシーズン真っ盛りだ。
みなさんも観察してみては?

2014年8月24日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-08-24 23:09 | 植物 | Comments(2)

ツユクサ-5 二輪の花のこと

おととし以来のツユクサの観察である。
二輪の花をつけたツユクサを観た。
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ツユクサの花は一つずつ咲くのがふつうなのだが、ときどきこんなふうに二つ同時に開花するものに出会う。

もともとツユクサは貝殻のような苞の中に複数の花がある花序で、一日に一つずつ花を咲かせるとされている。

通常のツユクサの花序はこのようになっている。(苞をめくったところ)
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左に見える棒状のものが主軸で、ふつうこちらには花をつけない。
右の太い側枝には今咲いている花と、その下に見えるつぼみがある。さらにその下にごく小さなつぼみも見えるが、こちらはたぶん咲かずに終えると思われる。

詳しい花のつくりは一昨年(2012年)の記事をご覧いただきたい。
※「ツユクサ-1 花を観る」 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16416456/

上の写真では、雌しべの柱頭に黄色い葯がついていて、受粉完了していることに注目。撮影は朝6時過ぎ。自家受粉(後述)か?

二輪の花をつけたツユクサに話をもどそう。
はじめの写真のツユクサの苞をめくってみた。
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予想どおり、主軸と側枝のそれぞれに花をつけている。
主軸も普通のツユクサよりも太くて立派な感じだ。

主軸の花(上の花)をよく観てみよう。
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雌しべがない。
主軸の花はふつう開かないが、開いたとしても雌しべがないのが普通なようだ。

側枝の花(下の花)のほうはどうか。
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くるりと巻いているのが雌しべ。
こちらはまっとうな両性花(雌しべも雄しべもある花)である。

以前も紹介したが、次のサイトでとても詳しい観察がなされている。ぜひご覧いただきたい。
※ 「なかなかの植物ルーム/ツユクサ」 ⇒ http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-top.htm


もう少し続けて観察したが、以下続報へ

2014年8月20日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-08-20 21:41 | 植物 | Comments(0)

スプリング・エフェメラル 2014 裏話

スプリング・エフェメラルといえば、身近な春の妖精たちにも目を向けたい。

境内の散策路にあったのはエゾタンポポ。
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出早雄小萩神社は住宅や田畑に囲まれたところにあるのだが、私の見たところ、境内はすべて在来のエゾタンポポであった。
神域をまもった、というべきか。さすがである。

こちらは隣接した小さな公園にあった雑種型のタンポポ。
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草刈りをすり抜けて、低い姿勢で生き残っている。

境内を出て、神社の西側には小川があった。
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ここのタンポポはどうか。
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総苞片は反り返っているが、先端には爪があるようにも見える。
悩ましいが、セイヨウタンポポとしてよいと思う。
これも十分美しい。外来だからといって敵視したくはない。
I瀬先生いわく、〝外来雑草はつい目の敵にしてしまいがちだが、彼らには責任はない〟 のである。

タンポポにまじって生えているのはカキドオシ。
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カキドオシは私の大好きな雑草の一つで、出会ったときは必ず撮ってしまう。
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カキドオシはいつも二人ずつ仲良く並んでポーズをとってくれる。
しかし、これもデジタル写真では色再現が難しい。みなさんのモニターではいかがだろうか。

カタクリやヒトリシズカもよいが、こうしてみると、雑草も好い。

2014年5月29日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-05-30 00:03 | 植物 | Comments(0)

スプリング・エフェメラル 2014

5月はじめにカタクリを観てきた。
場所は長野県の諏訪盆地で、東京周辺よりも1か月近くも春が遅い。そのつもりでご覧いただきたい。(遅い情報ですみません)


スプリング・エフェメラルといえば、まずはこれ。

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カタクリの花の色再現は、写真では難しい。
自宅のPCでは紫色が強いのだが、本当はもう少しピンクがかっていたように思う。事務所のモニターでは、もう少し本物に近かったのだが…
自然界の色をデジタルで表現すること自体に無理があるのだろう。
さすが、春の妖精(スプリング・エフェメラル)だ。

寝転がって、下から覗いてみた。

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立派な雄しべと雌しべが目を引くが、開口部をふちどる派手な紋様にもおどろく。
虫を呼ぶための符牒なのだろうか。
しかし、虫を呼びたいのなら、そもそもどうして、うつむいて咲いているのか?
雨水が溜まらないようにするためだろうか?



頭上では、イロハカエデの新緑だ。(しつこいですが、季節はずれ!)

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ここは長野県の出早雄小萩(いずはやおこはぎ)神社。
この社叢では、カエデを主体として、ハルニレ・ケヤキなどのもともとあった落葉広葉樹が45%で、55%はスギ・ヒノキ・サワラを植栽、と説明書きに記されていた。


境内の東側を水が流れている。(残念ながら川虫は見当たらず)

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人の手で注意深く管理された境内は、なんとも心地よい環境である。
カタクリと秋の紅葉で、地元ではちょっとした人気スポットのようだ。

散策路も整備されているが、ときどきカメラマンが寝ころがって邪魔をする(すみませんでした)。


この日は、カタクリの花には少し遅かったようだが、ニリンソウは最盛期のようだった。

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ニリンソウもカタクリと同じように、明るい林床で、雪解け後に顔を出す。


こちらはヒトリシズカ。

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静御前が名前の由来だというが、いかがだろう。
叢生する姿はけっこうにぎやかだ。

ヒトリシズカの花序はちょっと変わっている。

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構造を調べてみると、ヒトリシズカの花は花弁はなく、白い糸状のものは雄しべの花糸。
上の写真を拡大して観よう。
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黄色の葯は、なんと花糸の付け根にある。
緑色のこぶ状のものは雌しべで、雄しべはこの雌しべの側面から3本ずつでている。
3本のうち葯が付くのは外側の2本で、真ん中の雄しべは花糸だけだ。
どういうわけでこんな姿に進化したのだろう。
この形から考えると、花糸は来訪者(受粉昆虫)のための足場のようにも思えるが…
ジャングルジムのような花糸をグルグルと渡り歩くのはどんな昆虫なのだろうか。


つぎはヤマエンゴサク。

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空に尻を突き出したような姿だ。
これもスプリング・エフェメラルとされているが、やはり色再現が難しい。

この不思議な形の花はどんな構造なのか、調べてみた。
花弁は全部で4つ。
外側を上下2つの花弁で包み、上の花弁は後方で大きな距(きょ)となっている。
内側の2つの花弁は、雄しべと雌しべを包み隠してしまっている。
さらに驚くべきことに、この花弁は虫が来た時に開くのだそうだ。
なんという不思議な、マニアックな植物だろう。この花の扉を開けるのはどんな昆虫なのか…


ヤマエンゴサクについては次の二つがおすすめ。
● 東北大学植物進化学オンライン図鑑:日本の植物 より
「エゾエンゴサクとヤマエンゴサク」
● 松江の花図鑑 より
「ヤマエンゴサク」

2014年5月26日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2014-05-26 23:06 | 植物 | Comments(0)

江戸川べりの観察-24 スギナの胞子

一か月も前のことだが、スギナの胞子の話。
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スギナはシダ植物で、つくしはその胞子茎。
つくしの足もとに出ているのがスギナで、やや遅れて顔を出す。
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芽を出したばかりのスギナは、つくしに似たところがある。

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写真の白いひだひだのところが胞子の出たぬけがらで、穂の下のほうの暗色のところには、まだ胞子がつまっている。

この胞子を観よう。
持ち帰ったつくしをカバ-グラスの上でトントンとたたいて、胞子を落とした。
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胞子は鮮やかな緑で、糸状の〝弾糸〟といわれるものが付く。

乾燥したときに弾糸を伸ばして胞子を分散させるという。
息を吹きかけると弾糸が縮むというのだが、うまくいかない。
それではと、湯を用意してかざしてみたのだが、いくら湯気に当てても変化は見られない。
だんだん湯に近づけるうちに、うっかり浸してしまった…
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どこにどう格納されたのか、弾糸は見えなくなってしまった。
それにしても、湿った状態の胞子は美しい。

少したって乾いてくると、また弾糸を伸ばしはじめた。
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どんどん伸びる。
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それにしても、うまくできているものだ。


なお、つくしの話は、以前一度報告させていただいた。   


その後、村田先生の指導に従って胞子を育てようと試みたのだが、コケが繁茂して残念ながら失敗。どうも私は飼育・栽培が苦手だ。

2014年5月15日、報告:自然観察大学  事務局O


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by sizenkansatu | 2014-05-15 07:31 | 植物 | Comments(0)

江戸川べりの観察-23 カスマグサ

今の季節、カラスノエンドウは元気がよい。
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4月13日の木場公園での観察会 『親子で雑草を観察しよう』 では、カラスノエンドウをみんなで詳しく観察した。

<『親子で雑草を観察しよう』の詳しいレポートは自然観察大学ホームページ参照(野外観察会の項を探してください。個別のURLがありません)>
なお、カラスノエンドウについてはこれまでに何度か観察記録があるのでそちらもぜひどうぞ。
※ 支え合うカラスノエンドウ   
※ カラスノエンドウをめぐる虫たち   

観察会では、カラスノエンドウのすぐそばにスズメノエンドウがあった。
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ズメノエンドウは、カラスに比べると全体に細くて弱々しい感じで、花もごく小さい。
上の写真で白くちらちら見えるのが花。
長い花柄の先に5個くらいずつ、まとまって咲く。
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拡大すると、きちんとマメ科の蝶形花になっている。

さて、カスマグサだ。
どこにでもあるということはないのだが、あるところにはあるという不思議な雑草である。
このカスマグサが、江戸川べりの土手にたくさんある。
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カラスノエンドウとスズメノエンドウを漢字で書くと烏野豌豆、雀野豌豆だそうである。
カラスは果実(豆と鞘)が黒くなるからで、スズメはそれよりずっと小さいからというのだが、その中間がある。
カラスとスズメの頭文字の “カ” と “ス” の、その間というので “カスマグサ” である。
全体の感じもカラスノエンドウよりも細いが、スズメノエンドウよりはしっかりしている。
まさしく “カスマ” だ。
花もカラスほど大きくはないがスズメよりは大きい。長い柄の先に2個ずつ咲くのだが、うつむいて絵になりにくい。

寝そべって仰角で撮ったのがこれ。
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なかなか美しい。
蝶形花を復習しておこう。
・後ろの大きいのが旗弁で、大きく旗を立てたような形。
・前方に開いたのが翼弁(側弁ともいう)。
・真ん中の白いのが竜骨弁(舟弁ともいう)で、この中に雌しべと雄しべがある。

ところで、カスマグサの花は花弁の縞模様がチャームポイントだと思うが、カラスノエンドウでも紋様のある花がときどき見られる。
この縞模様は葉脈に由来するものなのだろうか。

カラスノエンドウのさやを透かして見ると血管のようなものがある。
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これと同じものを、以前アレチヌスビトハギでも見た(

植物の花も果実も、もともとは葉から進化したものということなので、その名残ということなのだろうか。

話をカスマグサに戻して、果実を観よう。
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野菜のキヌサヤのような感じで、やはり花と同じに2個ずつならぶ。

それにしても、カスマグサとはなかなか味な命名だ。
カスマに似た由来ではヘチマがある。
ヘチマは、糸瓜や唐瓜が転訛してトウリとなり、その頭文字のトが、イロハニホヘトチ…  の “ヘ” と “チ” の間なので“ヘチマ”だというのだ。(異論もある)
ヘチマの命名も悪くはないが、言葉の遊びに過ぎない。これに対しカスマは観察にもとずく命名で、観察眼とセンスのよさが光る。


余談ですが…

自然観察大学ブログは、いつの間にか300回を突破していた。
2010年に『NPO法人自然観察大学』設立後にこのブログをはじめて、以来4年間で300回である。
お読みいただいたみなさん、ありがとうございます。
そして今後ともよろしくお願いいたします。

記念すべき300回は前々回、このときの話はなんと機能性タイツの話であった。もっとちゃんとした観察記録にしたかった。(反省)

2014年5月5日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-05-05 19:04 | 植物 | Comments(0)

いにしえの雑草タビラコ

3月下旬に、飯島先生(自然観察大学講師)の農園にうかがった。

※ 飯島農園ブルーベリーヒル ⇒ http://blueberryhill.web.fc2.com/

自宅の目の前が田んぼ。

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左側が飯島先生の田んぼで、隣はよその農家。
比べてみて驚いた。
飯島先生の田んぼでは雑草が茂っているのに対し、右の田んぼはまったくない。
話によると、お隣はごく普通の除草剤を使用する稲作だそうだが、雑草はおろかコンバインで散らした稲わらに覆われて土面さえも見えない。
左の飯島農園の田んぼは、手取り除草のみ。今時めずらしい手植え&手刈りだそうだ。
どちらがよい田んぼなのか、立場や見方によって違ってくると思うが、こうもはっきりとした違いが出るとは驚きである。

耕起前の田んぼの代表といえば…

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タネツケバナ。
そしてスズメノカタビラ、スズメノテッポウなどにまじって、コオニタビラコがあった。
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コオニタビラコの旧名はホトケノザで、かつては春の七草のひとつとして食べられていたそうだ。
今はとんと見かけない貴重な雑草だが、昔はいたるところの田んぼで普通にあったのだろう。
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田平子の名前のとおり低い姿勢でロゼットが広がっている。
この田んぼでは、稲刈りあとの株間にコオニタビラコが点々と観察された。
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オニタビラコに比べると全体は小さく花茎は短いが、頭花はかなり大きい。
在来植物も帰化植物も同じ地球に生きる仲間であり、エコヒイキをしたくはないのだが、在来種には独特の品格があるように思えてしまう。
 …というのは私だけだろうか。

飯島先生ご夫妻がここで稲作をはじめて4年が経ったそうだが、昔ながらの稲作を続けると、チャンといにしえの雑草が戻ってくるということなのだろう。
このあと、水をひいて稲作がはじまると、どんな生物が観られるか… ぜひまたおじゃましたいものだ。

多様な生物をたのしめそうな田んぼではあるが、おそらく労働力は隣に比べるとけた違いだと思う。

2014年4月12日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2014-04-12 23:51 | 植物 | Comments(0)

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