自然観察大学ブログ

カテゴリ:昆虫など( 154 )




オトシブミの豪快な食事

相変わらず旧い話で恐縮だが、5月はじめの観察記録。
この日、驚くべき光景に遭遇した。

ヒメリンゴと思われる葉上にオトシブミ。
d0163696_07272686.jpg
たぶんアカクビナガオトシブミだ。
上の写真は首(というよりも頭か?)が短いので雌。

このポーズで、葉の先端にとまっているオトシブミをよく見かける。
風を読んでいるのか、それとも交尾の相手を待っているのか?
しばらくポーズをとったあと、おもむろに飛び立つ。
まさか写真を撮ってほしい、と誘っているのではないと思うが…
謎だ。

雄は雌よりもずっと首が長い。
d0163696_07273683.jpg
アカクビナガオトシブミというだけあって、オトシブミの中でもとりわけ首長だ。

ふつう雄は、雌を求めて日がな一日ふらふらしている。(と思う)
勤勉に揺籃(ゆりかご)づくりに励む雌のまわりで、きらくにふるまう姿は、フーテンの寅のようでもある。
無駄に長い首なので、揺籃づくりの作業には適さないとも考えられる。

さて本題。
d0163696_07275473.jpg
遠目には、揺籃づくりの初期段階で葉に切れ目を入れているのかと思ったが、首が長いので雄だ。
はて。何をしているのか?
まさか、雄が揺籃を作っているとか?

そっと近づくと、曲げた長い首を、ばね仕掛けのように “ビィーン”と跳ね上げる。
驚いてそのまま観察を続けていると、また同じように“ビィーン”とやる。
d0163696_07280280.jpg
どうやら、葉を噛みちぎるように食っているらしい。
うーむ。なんという雄々しさ。拡大すると大迫力!!
雄がこんな食事作法をしているとは驚いた。
一日中ふらふらしているなどと言ってしまったが、失礼いたしました。

この豪快な食事はしばらく続き、なんとかしてこの動きを表現したかった。
動画で撮りたいところだが、経験もないし、三脚もない。
あれこれチャレンジする間に飛び去ってしまった。
あとに残された食痕がこれ。
d0163696_07280941.jpg
画面の上のほうが噛みちぎられた跡である。
画面の下の褐色になったところは、おそらく旧い食痕だろう。


考 察
そういえば、オトシブミの首を曲げた姿は、パワーショベルに似ている。
先端にくちばし状のアタッチメントをつけて、パワフルに建物を解体する、ユンボとかバックホーなどというアレだ。
オトシブミの雄の首が長い理由は、もしかしてこの豪快な食事法のために発達したものなのだろうか?
だとしたら、無駄に長いなどと言ってしまって、雄たちに申し訳ない。
そうはいっても、この豪快な食事法の、それ自体が無駄ともいえるが…

2015年6月24日、報告:自然観察大学 事務局O

[PR]



by sizenkansatu | 2015-06-24 07:31 | 昆虫など | Comments(0)

真田の庄-おまけ イタドリハムシの美容法

しつこいようだが5月はじめの話。(すみません)

真田氏本城でスイバの葉をかじっていたイタドリハムシ。

d0163696_12472182.jpg
ちょっと見にはテントウムシに似るが、二回りぐらい大きく、触角が長い。

「蓼食う虫も好きずき」というが、辛いのはヤナギタデだ。ホンタデとも言って、刺身のツマとして添えられる。

同じタデ科でもスイバとイタドリは酸っぱい。(別名スカンポ)
酢は美容と健康に良いらしいが、イタドリハムシのハリとツヤ、鮮やかな色はその効果か?

2015年6月16日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2015-06-16 12:49 | 昆虫など | Comments(2)

アリヅカムシ


千葉県館山市の野鳥の森公園でアリヅカムシを採集した。
ずいぶん前の2006年の12月のことで、拙著「昆虫博士入門」の取材に没頭していたころの話である。
リター層(落枝・落葉層)を篩って自宅に持ち帰り、ツルグレン装置にかける前にルーペで目視調査をしたところ、興味深い光景が観察され、夢中で撮影した。
(残念ながらこの写真の掲載は見送ったが…)

アリヅカムシがトビムシを捕えていた。

d0163696_19363879.jpg
トビムシは小さな土壌動物(側昆虫綱)だが、アリヅカムシはそれよりももっと小さい。
自分より大きいトビムシだが、脚や触角は切断されている。
d0163696_19364546.jpg
獲物を動けないようにして、持ち運びしやすく、食べやすくしているのだろう。
少し移動したあとで、やがて食べはじめた。
d0163696_19365593.jpg
襲う方、襲われる方、どんな気持ちであったであろうか。“一寸の虫にも五分の魂”というが…
しかし、食物連鎖の世界ではこれが当たりまえ。日常茶飯事なのだ。
「あー、人間でよかった。トビムシでなくて。」と思う瞬間でもある。


アリヅカムシは漢字では蟻塚虫。
アリの巣の中にいる虫という意味だが、実際にはアリの巣との関係は薄く、リター層に生息する土壌昆虫のようである。サイズは3mm前後と小さく、しかも落ち葉や塵芥にまぎれているので、野外観察に興味のある人でさえも、眼に触れることは少ないだろう。
彼らは暗い中でどうやって獲物を発見し、どのように狩りをするのだろうか?


アリヅカムシの仲間は、かつてアリヅカムシ科として独立した科であったが、現在はハネカクシ科の1つの亜科となっている。

d0163696_19374815.jpg
上はハネカクシ科のアカバウミベハネカクシの仲間の一種である。
アリヅカムシと同じように鞘翅が短く、このあたりはよく似ている。
違いは腹部の自由度で、ハネカクシはかなり曲げることができるが、アリヅカムシのグループは腹部がほとんど動かない。


それにしても、この翅で飛べるというのは驚きだ。飛翔妨害トラップ(FIT)にかかることもある。
「ハネカクシ」は「翅隠し」で、この小さな鞘の下に折りたたんだ後翅があるからなのだが、最近、後翅のたたみ方が解明され、話題になっている。
 ⇒(http://ascii.jp/elem/000/000/950/950076/


最近、ハネカクシ科のカタログが刊行された(2013年) 。そこには分類的再検討の結果が示されていて、21亜科514属2,163種にまとめられている。また、これまで和名の無かった多くの種に和名が付けられている。
ハネカクシ科は、日本産既知のコウチュウ目16,000種のなかで、13.5%を占める大きなグループである。しかしながら大型種が少なく、いわゆる格好の良い種が少ないためか、愛好家、研究者が少ない。また、図鑑で同定できる種は少なく、同定用の解説書もほとんどない。
調査などで同定できないハネカクシがあると、標本を専門家に送って同定を依頼するしかないのだが、それでも名前がつかない種がある。ある日本のハネカクシの研究者は、昭和から平成にかけて300種を超える新種を記録したという。ハネカクシ科の分類はそのくらい未開であったのだ。

d0163696_19375423.jpg

これは「昆虫博士入門」のハネカクシ科のページである。

ハネカクシの仲間でよく知られているのは、アオバアリガタハネカクシだ。膨大なハネカクシ科はであるが、身近で注目されるのは本種くらいだろう。
この虫は夏の夜間、郊外で人家の灯火に誘引されて飛来するのだが、首筋などにとまった虫をうっかりつぶしたらたいへんだ。この虫は体内にペデリンという毒物を有し、体液がつくと皮膚に水膨れを起こさせるのだ。

なお、上記ページの左下にアリヅカムシが掲載されている。ちなみに、右下のヤマトデオキノコムシも、デオキノコムシ科からハネカクシ科への編入生である。

2015年5月11日、報告:自然観察大学 講師 山﨑秀雄


[PR]



by sizenkansatu | 2015-05-11 19:46 | 昆虫など | Comments(1)

マメハンミョウと人との深いかかわり

今年の夏はマメハンミョウの集団に2度遭遇した。

d0163696_19411900.jpg
なかなかダンディな姿をしている。
カンタリジンという毒を体内にもつだけあって、目立ちたがりなのだろう。


斑猫(はんみょう)の毒というのはこのカンタリジンで、ネットで調べたことを無責任に列記してみよう。
●斑猫粉はトリカブトとともに毒薬として利用された。暗殺の歴史には欠かせない存在。
●致死量は30ミリグラム。成虫数にすると4、5頭~10頭くらい。
●漢方薬としてイボとり(発疱剤)や、ごく少量の服用で利尿剤、媚薬などの効能がある。

マメハンミョウはツチハンミョウ科に属し、この仲間はみなカンタリジンを持つようだ。誤ってつぶしたりすると、皮膚がただれるので注意。かくいう私もこの仲間のキイロゲンセイによってただれた経験がある。(夜の昆虫採集

ちなみにハンミョウ科のハンミョウたちはまったく別物で、彼らには毒はない。( ハンミョウとアリとマーガリン

話を元に戻そう。
今年マメハンミョウを見たのは8月7日と14日で、猛暑の中、すこぶる元気だった。
ネット上の風説では、どうも昨年(2013年)あたりからマメハンミョウの発生が多いらしい。

さて、このとき我々は雑草の写真を撮っていたのだが、多数のマメハンミョウがぞろぞろと移動していた。

d0163696_19413350.jpg
ある時はハキダメギクを食べ… 
d0163696_19414472.jpg
またある時はオヒシバの葉上で… (これは食べてないかも)

そしてこちらでは畑のトマトを食べている。

d0163696_19415546.jpg
彼らはどこから来て、どこへ行くのか、団体行動の理由は何か、ナゾだ。

マメハンミョウは、幼虫がイナゴの卵に寄生し、成虫は広食性の植物食だという。
これまでに見たマメハンミョウ成虫は田んぼの脇のダイズを食べていた。広食性とはいえ、やはりダイズは美味かろう。
田んぼの脇にダイズが点々と植えられるのを見かける。たぶん自家用の枝豆なのだろうが、この環境はマメハンミョウにとっては好都合で、まるで理想郷だ。

これまでに何度かそんな光景を見て、しかも名前がマメハンミョウということもあって、成虫はマメ科植物を食べると思っていたのだが、それは私の思い込みだったようだ。

日本では第二次大戦後イナゴが激減したものの、その後低毒性の農薬への切り替えによるものか、1980年前後にはイナゴが復活した。
それにともなって、一時は希少な存在となっていたマメハンミョウもゆっくりと増加傾向にあるのかもしれない。

ヒトとマメハンミョウの関係を考えてみると、幼虫はイナゴ食で競合関係にあり、成虫は枝豆食でこれまたライバルである。
謀殺での活用で歴史を積み上げてきたこといい、縁の深い昆虫である。

2014年10月22日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-10-22 19:48 | 昆虫など | Comments(0)

駒ヶ根で…

千畳敷から木曽駒、宝剣に登った次の日。
朝飯まえに宿の近くをまわった。

林縁の小さな水の流れに沿ったアジサイに美しいカメムシがいた。

d0163696_12584643.jpg

まずはアカアシカスミカメ
体長は小さめ(8㎜程度)だが、ツウ好みの美しさ。

d0163696_12592382.jpg
横から観てもGood。


d0163696_13000973.jpg
次はジュウジナガカメムシ。(ちょっときずもの)
よく似たヒメジュウジナガカメムシはガガイモに群れているのを平地でよく観るが、このジュウジナガカメムシは山間のイケマの花で見かける。
ガガイモ科だけでなくアジサイのつぼみも好物らしい。


d0163696_13010170.jpg
ヒメハサミツノカメムシ
これは雄で、腹端にハサミのような突起がある。この突起がV字型に広がるのが特徴。
微妙な色合いが再現できているだろうか。

こちらはハサミの本家、ハサミムシ。

d0163696_13021143.jpg
キバネハサミムシだと思う。
逃げないので何をしているのかと思ったら…
d0163696_13022153.jpg
食事中だった。
獲物はなんだろう。腹の下に卵嚢のようなものがあってカイガラムシの感じだが、アブラムシのような翅がある。
けっこうな勢いでバリバリ食べ、ハサミムシが肉食であることを実感した。


次はシリアゲムシ

d0163696_13023359.jpg
ふもとで見かけるヤマトシリアゲかと思ったが、8月に黒いのは解せない。
ヤマトシリアゲはふつう年間2回発生で、春に出るのが黒色型、秋は褐色のはずである。(かつては別種のベッコウシリアゲとされた)
もしかして、高地で見られる年1化のタイプかとも考えたが、専門家のS木先生にうかがうと、年1化は標高千数百mの菅平あたりでは確認されているが、600m程度の駒ヶ根では未確認で、よく似た別種の可能性がある由。それらは写真では見分けられないそうだ。
 ※参考『シリアゲムシ 馬面のワケ』 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/18899154/


最後はこれ。

d0163696_13024772.jpg
これはたぶんミドリシジミの仲間と思われる。
とりあえず上の写真を撮ったが、このままではどうということもないシジミチョウだ。
これが翅を開くと内側(翅表)は金緑色の鮮やかな姿のはず。
私はまだお目にかかっていないのだが、聞くところでは、早朝は翅を開くポーズをとることが多いらしい。

今はまだ7時前。千載一遇のチャンスだ。ファインダーにとらえながら、少しずつ近づき、翅が開くのを待った。
ところがそのとき、足元の枯れ木が折れ、ずっぽりと小川の中に落ちてしまった。
水深は浅くとくに被害はなかったのだが、ミドリシジミは撮り逃がしてしまった。残念。



余談:霊犬早太郎とヒカリゴケ

ふもとの光前寺に、霊犬験早太郎の伝説がある。
静岡に遠征して、村人を困らせる怪物を退治したという英雄である。
 ※ 光前寺の案内 ⇒ http://www.kozenji.or.jp/contents/hayatarou.html 

d0163696_13030379.jpg
これは寺に祀られた霊犬早太郎の勇姿。


この光前寺にヒカリゴケが自生していた。
参道の両側に石垣が続き、そのところどころで見られる。

d0163696_13031884.jpg
暗い石垣の隙間の奥で、ほんのりと光るヒカリゴケ。
写真ではストロボで全体が明るくなってしまったが、実物はなかなか風情がある。
ヒカリゴケは、自身が発光するのではなく、レンズ状の細胞によって光が増幅されるそうだ。
もともと暗い場所でわずかな光でも光合成ができるようにレンズ状に進化したものらしい。



もう一つ余談

駒ヶ根の地名はは駒ヶ岳のふととということだと思うが、木曽駒ケ岳の反対側には甲斐駒ケ岳がある。この辺りではそれぞれ西駒、東駒と呼ぶらしい。
駒ヶ岳は全国各地にあるが、二つあるのはおそらくここだけだろう。

d0163696_13033984.jpg
これは明治亭という人気店のソースかつ丼。
すごいボリューム。

もともと駒ケ根や伊那などの伊那谷では「かつ丼」といえばこのソースかつ丼のこと。
とくに駒ケ根では、町をあげて名物にしようとしている。
 ※ 駒ケ根ソースかつ丼の公式サイト ⇒ http://www.komacci.or.jp/katsu/index.html

後日、駒ヶ根出身の同僚に聞いたところ、おすすめの店(S屋という)があるとか… 残念。いずれチャンスがあれば試してみたい。

ソースかつ丼は伊那谷だけでなく長野県内各地のほか山梨や群馬でも体験している。またネットで見ると福井でも盛り上がっているようだ。
卵とじかつ丼とソースかつ丼の住み分け分布を誰かがわかりやすく作ってくれないものだろうか。

2014年9月10日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-09-10 13:15 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-28 不思議なハゴロモ

カナムグラ上の不思議な虫…
d0163696_13183999.jpg
ハゴロモの仲間の幼虫だ。
不思議な白い毛の束はロウ物質で、尻から分泌したものがこんなふうになるのだそうだ。
d0163696_13185437.jpg
う~む。精密な細工もののよう。

外敵から身を守る手段らしいが、はたして効果があるのだろうか?

ハゴロモの名前は、羽衣に由来するらしいが、だとするとこの毛束からきているのかもしれない。
この姿でゾロゾロと歩き回る。
d0163696_13194202.jpg
動きにくいこと甚だしいと思うのだが…
そのうえ、いざというときはピンッと跳ねる。


d0163696_13210740.jpg
写真で一番下の反対側に隠れた幼虫は、毛束を閉じている。
ふだんは尻の毛の束を閉じているらしい。
残念ながらこのあと回り込もうとしたら、いつの間にか全開してしまった。意外に警戒心が強い。
(カナムグラの茂る中での移動は困難を極めるのだった。)

ところで、画面上の成虫はスケバハゴロモだ。
一緒にいるからといってスケバハゴロモの成虫と幼虫と考えてよいのだろうか。

きちんと撮ったスケバハゴロモはこれ。
d0163696_13212611.jpg
翅が透けているのでスケバ。

ところが、すぐ近くに別のやつがいた。
d0163696_13213692.jpg
ベッコウハゴロモ。
この藪にはスケバハゴロモとベッコウハゴロモの成虫が混じっていた。
う~む。どっちの幼虫か悩ましい。

<追記 2014年12月27日>
幼虫はスケバハゴロモでした。
フッカーSさんからご教示いただきました。
詳しくはいただいたコメントを見てください。
フッカーSさん、ありがとうございました。


2014年8月16日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-08-16 13:26 | 昆虫など | Comments(2)

江戸川べりの観察-27 ミドリグンバイウンカ

カナムグラのつるにいた不思議な虫。
d0163696_23273906.jpg
ミドリグンバイウンカの幼虫だ。
放射状の細い糸はロウ物質の分泌物だそうである。
写真では7本見えるが左から二番目にごく短い糸が観えるから、もとは8本だったのだろう。


横から観るとこんな感じ。
d0163696_23274535.jpg
ところで、この糸は何のためなのか?
何かの役に立っているのだろうか?
脱皮した後に少しずつ分泌して伸びてくるのだろうか?


ちなみに成虫はこれ。
d0163696_23275430.jpg
クワ科の植物につくようで、体長は5mm程度。
ここ数年、江戸川べりのカナムグラでたくさん観ることができる。
成虫はよく見るとかなり美しいが、この日の主役は幼虫だったためちょっと手抜き撮影。
以前一生懸命にとった写真はこちら 

2014年8月9日、報告:自然観察大学 事務局O

[PR]



by sizenkansatu | 2014-08-09 23:32 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-26 アリのようなカメムシ

大豆畑でたくさんのホソヘリカメムシを観た。

d0163696_12561994.jpg
これは成虫。
体長15㎜程度で、エラそうに踏ん張った後脚にはとげがあったりして、細身ながらけっこうゴツイ。飛ぶときはブ~ンと蜂のような音を出す。
大豆の害虫として知られ、若い莢の外から口針刺して、中の豆を吸ってしまう。変形した枝豆の犯人の多くはこのホソヘリカメムシと思われる。


d0163696_12563448.jpg
こちらは幼虫。
右の幼虫は少し小さめで全体が黒っぽい。たぶん4齢。
左の虫は少し大きめで、たぶん5齢(終齢)。全体に褐色がかって、翅芽(しが)も大きめ、後脚の踏ん張り方も成虫に近い。


d0163696_12564886.jpg
これは4齢か、あるいはその前の3齢か?
アリに似ているが、口吻がある。


d0163696_12565868.jpg
さらに若い幼虫。上の写真にくらべてゴツゴツした感じがなく、さらにアリに似ている。
姿かたちだけでなく、動きもアリのように活発で、写真に撮りにくい。
アリに擬態して敵に襲われるのを回避するといわれる。(アリは昆虫界では嫌われ者なのだ)


もっと若い幼虫を探すと、アリそっくりのがいた!

d0163696_12570901.jpg
…と思ったら、本物のアリ。
口吻ではなく大あごが観える。
う~む。それにしても似ている。

2014年8月1日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-08-01 13:08 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-25 ブドウトリバ

このところ、早朝に江戸川べりで観察する機会が多い。

その中で、ヤブガラシにつくブドウトリバを見た。

d0163696_23294807.jpg
ブドウトリバはチョウ目トリバガ科で、鳥の羽のような蛾らしからぬ翅をもつ。(というより昆虫らしからぬ翅だ)

江戸川べりではヤブガラシでよく見かける。小さくて気づきにくいが、どこでも見られる虫だそうである。開張約15mmと小さいうえに 〝プ~ン〟 とヤブカのように飛ぶのでつい見過ごされがちなのだろう。

ヤブカの多いところにいるようなので、ヒトが近づかないということもあるかもしれない。

(私はこの写真を撮っている間に多数のヤブカの餌食にされている)

ブドウトリバは前に一度書かせていただいた()が、構造が面白いので再登場いただくことにした。


まずは翅。上の写真を拡大してみた。

d0163696_23295799.jpg
前翅は幅が狭いうえに深い切れ込みがある。傷ついた翅ではなくこれで正常な状態だ。全体にびっしりと細毛がついている。後翅はさらにすごくて、一本の軸に細毛がついた感じ。トリバガ科の名前のとおり、鳥の羽のようである。

こんな翅でよく飛べるものだと感心させられるが、アザミウマ類(総翅目)と同じように、細毛の列によって飛翔力を得ているのだろう。

カのような頼りない飛び方なのも納得できる。

もう一つ注目したいのは脚だ。

d0163696_23300680.jpg
後脚には大きなとげがある。写真ではちょっと見えにくいが、とげは中脚にもある。

このとげが邪魔なのか、写真のように前脚だけでとまるようである。ゆらゆら揺れて、とても撮りにくい。(ちなみに写真でぶら下がっているのはヤブガラシのつぼみ)

このとげは何かの役に立っているのだろうか。天敵に嫌われるとか、あるいは何かの擬態だろうか。

ご存知の方は、ぜひお教えいただきたい。

なお、幼虫はブドウ科植物の茎に食入するそうである。いずれ幼虫を探してみたい。

2014724日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-07-24 23:33 | 昆虫など | Comments(0)

ホソミオツネントンボの産卵ラッシュ

お詫びと訂正(2016年12月5日)
この記事でホソミオツネントンボの産卵とされているものは、すべてオツネントンボだそうです。
ホソミオツネントンボは、産卵時期にはすべて成熟した空色に代わっているそうです。
お詫びして訂正させていただきます。
訂正いただいた山崎秀雄先生、ありがとうございました。


しつこいですが、前回の続きで5月はじめの長野県の話。
神社に隣接した田んぼで、荒起こし後に芽を出したイネ科雑草に、ホソミオツネントンボが産卵していた。
d0163696_12422265.jpg
画面下の雌は、腹端を葉鞘に刺して産卵中だ。
上が雄で、交尾後も連結したままで場所選びと産卵行動を繰り返す。これはほかのトンボの仲間と同じ。

ちなみに連結飛行については次をご覧いただきたい。
 「赤トンボの産卵」 http://sizenkan.exblog.jp/20013896/ 
交尾のときは雌が腹端を雄の胸元の貯精嚢にくっつける形となる。

この田んぼは、ホソミオツネントンボたちに人気のようで、たくさんのペアが連結飛行し、わずかに点々とある雑草へ、競うように産卵をしていた。
d0163696_12423404.jpg
2ペアがバッティングするシーンも見られる。

この田んぼは、このあと水を張って代かき、そして田植えと進むわけだが、どこかでこの雑草は除かれてしまうだろう。それまでに孵化・脱出していればよいのだが…

ところで、ホソミオツネントンボは冬の間は褐色で、春になって成熟すると鮮やかな空色になる。しかし、写真のペアはみな褐色。ということは未熟なトンボたちが交尾・産卵しているということになる。

上の写真を拡大したら、部分的に空色になりかけていた。
d0163696_12424620.jpg
撮影地は標高600メートル以上の高冷地であった。急に春になってしまい、あわてて産卵したということだろうか。

空色のホソミオツネントンボは次でご覧いただける。
 「十二天の森(2)」 http://sizenkan.exblog.jp/11129305/ 

それにしても、複眼まで色が変わるとはすごい。どんよりとした冬の色から、春の青空を飛んで空色の眼になるとは、童謡の『とんぼのめがね』のそのまんまだ。

かつてバイクに乗っていたころ、スキー用の黄色のゴーグルを着けて走ったことがある。夜になって、街中の信号がすべて黄色に見えてパニックになったことを思い出した。
褐色の眼と空色の眼で、ホソミオツネントンボが観ている世界はどうなのだろうか。

2014年6月14日、報告:自然観察大学 事務局O


[PR]



by sizenkansatu | 2014-06-14 12:52 | 昆虫など | Comments(3)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新の記事

最新のコメント

> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 12:44
こんな感じの本が欲しかっ..
by チョコ at 14:10
鈴木裕子さん、コメントあ..
by sizenkansatu at 15:19
日経新聞で冬の雑草の記事..
by 鈴木裕子 at 19:35
アレチヌスビトハギ 最悪..
by EVIS at 15:16

検索

ブログジャンル