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自然観察大学ブログ

ホトケノザの花 -シソ科の花1

まったく季節外れで申し訳ないが、ホトケノザの花の話。

ホトケノザの花 -シソ科の花1_d0163696_19294852.jpg
シソ科の花は唇に似ているというので唇型花(しんけいか)と呼ばれる。
ホトケノザの花 -シソ科の花1_d0163696_19300013.jpg
たしかに下唇を突き出した形と言えなくはないが…
やっぱりこの花は蓮華座に乗った仏さまだ。

ところで、仏さまの顔にあたるところに朱色の葯が見える。
吸蜜しようとする虫の背中に花粉をつけるためには、理想的なつくりだろう。
たいしたものである。

ホトケノザの花 -シソ科の花1_d0163696_19301273.jpg
フード状の部分をはがすと雄しべが出てきた。
雄しべは合着して、全体がシャワーハンドルのようになっている。
この形状で、訪花昆虫の背中に確実に花粉をつける。

しかし、雌しべはどこにあるのか?
合着した雄しべを、ピンセットで突っついてはがしてみると…

ホトケノザの花 -シソ科の花1_d0163696_19302478.jpg
中から雌しべが現れた。
4本の雄しべの真ん中にあるのが雌しべである。
先端が二またになった、ヘビの舌のような柱頭だ。
この形状だと、同花受粉の可能性はかなり高いと思うが、何かそれを避けるための工夫があるのだろうか?

もともと、ホトケノザは閉鎖花で繁殖するくらいだから、自家受粉には抵抗がないのだろう。
しかしそうなると、昆虫の背中に花粉をつけるための理想的な構造は、何の目的なのだろうか。
う~む。むずかしい。

ホトケノザの花については、『なかなかの植物ルーム/ホトケノザの閉鎖花』 に詳しく紹介されている。



余談ですが…

閉鎖花と開放花を見分けるのはなかなか難しい。
開花した花を観れば当然開放花であることは分かるのだが、閉鎖花だと思っていたものが、開放花の若い蕾だったという経験は何度もある。
閉鎖花のりっぱな群落を発見し、これはと思って夢中で写真を撮った。その1週間後に同じ場所に行くと、ホトケノザの花のじゅうたんのようになっていた。
このときはけっこうショックであった。

次回はカキドオシの花の予定。

2016年7月26日、報告:自然観察大学 事務局O





by sizenkansatu | 2016-07-26 19:33 | 植物 | Comments(0)

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