オオニシキソウとショウジョウソウ-杯状花序を観る- (木場公園-1)
ちょっと前に報告した木場公園のつづきである。(9月末)
木場公園には、世にも珍しい「帰化植物見本園」というのがあって、これがじつに観ごたえがある。
雑草ファンなら、ぜひ一度は訪れたいところだ。
普通の雑草だが、ここではきちんと区画に分けられて、名札がつけられている。
オオニシキソウの花。
上の写真に写っているのは3つの花ではなく、3つの花序だというのだ。(杯状花序という)
丸いコロンとしたのは子房で、その先端に柱頭があり、先は3本に分かれている。
全体が雌しべであり、これがじつは1個の雌花であるという。
雄しべはどうか。
子房のつけ根のところに立っているのが雄しべで、先端に葯がある。
この雄しべが1個の雄花であり、花序には多数の雄花がある。
つまり「雌しべだけの雌花」と、「雄しべだけの雄花」が集まった「花序」なのだそうだ。
う~む。徹底的にややこしい。
「雄しべと雌しべを持った花」とはどう違うのか?
さらにややこしいのは白い花びらのようなのがあることだ。
これは花弁ではなく、腺体という付属物なのだそうである。
少し話を変えよう。
オオニシキソウの隣には、ショウジョウソウがあった。
それもそのはず。
ショウジョウソウはポインセチアと同じEuphorbia属の植物なのであった。
雑草というよりは観賞用だが、九州以南では逃げ出して野生化しているものもあるようだ。
ショウジョウソウもポインセチアも、そしてオオニシキソウも、同じトウダイグサ科のEuphorbia属なのである。同じ属だから、花の構造も似ているはずだ。
オオニシキソウとショウジョウソウとを隣り合わせに配置するとは、ありがたい設計である。(すぐ近くにシマニシキソウモあった)
トウダイグサ科なので花(花序)はややこしいが、ショウジョウソウはビッグサイズで観察しやすい。
雄しべ(=雄花)はハート形の葯があって、王冠の飾りのように総苞のふちにならんでいる。
よく観ると、これも総苞を割って突き出ているようだ。
こちらは別の花序。
左隣にある花序は、雌花が顔を出したところ。どうやら雌性先熟らしい。
それにしても、写真にあるラッパかタコの口のようなものは何か?
ご存知の方は、ぜひ教えていただきたい。
ところで…
帰化植物見本園は、別の言い方をすると「雑草の見本園」でもある。
雑草といえば放っておいても育ってくれると考えがちだが、条件が整わなければひ弱な一面も持っている。変幻自在、神出鬼没なのも雑草である。
草種ごとに区画され、名札が付けられているが、雑草たちはおかまいなしに逃げ出してしまう。
枯れてしまうこともあるだろう。
管理するには、並々ならぬ苦労をされているのだと思う。
この見本園は、リーダの渡辺さん(むちゃくちゃ詳しい方です)を中心にボランティアの方々で運営されているという。ここでは、いつ行っても何人かの方が作業をされている。
訪れた際には、この方たちと植物たちに、感謝の気持ちをお忘れなく。
2015年10月19日、報告:自然観察大学 事務局O
最新の記事
スギナの観察2024 |
at 2024-03-26 14:32 |
オオイヌノフグリ ファンクラ.. |
at 2024-03-24 21:03 |
春の雑草2024 |
at 2024-03-19 23:05 |
スギの開花 2024 |
at 2024-03-13 21:42 |
‘河津桜’とホトケノザ |
at 2024-02-21 20:11 |
最新のコメント
> yamasemi21.. |
by sizenkansatu at 23:20 |
> yamasemi21.. |
by sizenkansatu at 23:17 |
ヤマユリさんとお呼びして.. |
by yamasemi21 at 23:03 |
ツクシが出始める季節なん.. |
by yamasemi21 at 22:58 |
> yamayuri-n.. |
by sizenkansatu at 16:51 |