春の雑草 ロゼットのようで、ロゼットではない
変幻自在のスズメノカタビラ
主に秋に発芽して越冬し、翌年の春に花をつけるのが越年草。
でも、発芽してその年のうちに開花結実するものや、春になってから芽生えて素早く成長するスズメノカタビラもある。さらに近年は、ツルスズメノカタビラといって多年草化したものもある。
越年草とされているが、1年草として生活するのもあり、そのうえ多年草の系統もある。
スズメノカタビラこそ、まさに「雑草の中の雑草」と言えるだろう。
その変幻自在ぶりは、ほんとうに見事である。
とろで「越年草」といえばロゼットで冬を越すかというと、そうとは限らない。
スズメノカタビラはロゼットではない。
このスズメノカタビラをロゼット植物とする図鑑もあるが、それは誤りだ。
ロゼットでは、地上に出るのは葉(根生葉:こんせいよう)だけで、それが放射状に地表に広がる形をいう。茎は地表面すれすれの、有るか無いかのごく短い部分のみである。
スズメノカタビラは放射状に葉が出ているように思えるが、よく観ると根元から分かれた茎が出て、それに葉がついている。
イネ科はこのタイプで、ロゼットではなく叢生(そうせい)という。
※ 用語というのは人間の都合で決めたものだから、植物にとってはどうでもよいことかもしれない。しかしながら、歴代の植物学者の方たちが積み上げてきたものを、図鑑という立場で誤って伝えるのはよくない。ポケット版といえども図鑑なのだから… (この図鑑は売れているというのでなお困る)
近くに小さなスズメノカタビラがあった。
それでも、もう、しっかりと出穂している。
ロゼットではなく、茎が放射状に出て、叢生していることが分かる。(しつこくてすみません)
もっと小さいスズメノカタビラがあった。
草丈は2-3cmくらいだが、この幼さで立派に大人なのだ。
う~む。変幻自在!
神出鬼没のノボロギク
芽生えてすぐに開花するといえばノボロギク。
この形は、一見するとロゼットのようでもあるが、これはロゼットとは言わないだろう。
ノボロギクは、畑が耕起された直後などに、あっという間に芽を出す。
そしてすぐに開花結実する。
耕した後に一面のノボロギク… という光景をしばしば目にする。
春に限らず、冬でも夏でも、チャンスがあればいつでも出芽し、一年中開花結実する。
神出鬼没の雑草だ。
2015年4月30日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2015-04-30 18:56
| 植物
|
Comments(0)
最新の記事
スギナの観察2024 |
at 2024-03-26 14:32 |
オオイヌノフグリ ファンクラ.. |
at 2024-03-24 21:03 |
春の雑草2024 |
at 2024-03-19 23:05 |
スギの開花 2024 |
at 2024-03-13 21:42 |
‘河津桜’とホトケノザ |
at 2024-02-21 20:11 |
最新のコメント
> yamasemi21.. |
by sizenkansatu at 10:11 |
> miyabiflow.. |
by sizenkansatu at 10:07 |
> すずかさん ご入会.. |
by sizenkansatu at 10:05 |
あ、書き忘れました。 .. |
by yamasemi21 at 09:27 |
>近縁種のイヌスギナかも.. |
by yamasemi21 at 09:21 |