自然観察大学ブログ

イシノミ -昆虫の進化を考える-

旅先でイシノミに会った。はじめて会う虫だ。
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イシノミは 石蚤 だろう。原始的な昆虫の仲間で、石の上にいて藻類などを食べるという。
うぅむ…しぶいっ。
なんとなくシミに似ているが、イシノミはイシノミ目で、シミはシミ目。

持ち帰ったイシノミを撮影するのに、静かにしてもらおうと冷蔵庫で冷やしたが、なかなかじっとしてくれない。低温に強いらしい。
そのうえ、名前のとおりよく跳ねる。脚は細くて、これでどうやって跳ねるのか? 
不思議に思って観ていると、なんと、腹部を叩きつけてその反動で跳ねた
危険を感じた時だけ跳ぶのだろうが、消耗の激しい命がけのジャンプだ。

イシノミの顔…
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体を覆う鱗片と、複眼があるのは昆虫の証だが、その下にある触角は腕のように自由に動く。(手旗信号のよう)

さらにその下にある一対は脚のように見えるが、実は小顎髭(小腮髭)という器官。

横から観ると小顎髭が3対の脚と別にあるということがよくわかる。
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脚にそっくりだが、たぶん感覚器官なのだろう。これも自在に動く。
その後方、前脚との間の短めの2対のものは唇か?

注目したいのは、脚の間に見え隠れしている短い脚のような突起だ。
上の別カットがこれ。
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画面中央の中脚の付け根に突起がある。
はじめの写真でも、中脚と後脚のところに、突起が観えていた。

調べてみると、これは腹脚の退化した脚基突起というもので、中・後脚の付け根のほか、すべての腹節にもあるそうだ。原始的昆虫の性質であるとともに甲殻類との類縁関係を示すものだそうである。(参考「原色昆虫大図鑑」)
なるほど、イシノミはエビに近い感じがする。
昆虫は各体節が進化して、触角や口器、脚となったとされる。
口器なのか脚なのか、我々は何かと定義付けをしたくなるのだが、そんなことは本人にとってはどうでもよいことなのだろう。


驚きの単眼!

大図鑑によると、複眼の下にある、赤茶色の横に伸びた斑紋のような、観かたによっては鼻汁のようなもの、これはなんと、単眼だそうである。
こんな単眼を持つ昆虫がいるとは驚きだ。


余談ですが…

イシノミを見つけたのは島根県の韓竈神社(からかま神社)という神社で、山中の苔生した長い石段を登ると、大きな岩の間に、やっと通り抜けられるくらいの隙間がある。
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これを何とかすり抜けて、たどり着くのが、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀った本殿。
本殿といっても、ごく小さな祠(ほこら)なのだが、知る人ぞ知るパワースポットなのだとか…

※ 観光協会の案内    旅行会社の案内 

清い心で参拝しないと罰があたる由だが、もちろん私は大丈夫であった。(ホントはちょっと不安だったりして)
韓竈の〝竈〟は、たたら製鉄の竈(かまど)のようで、この神社の奥地には、太古の人々による野たたらの跡が発見されたそうだ。

じつは、石段に疲労困憊した私が、岩にお腹が引っかかった状態で休んでいたところに、目の前を通りがかったのがイシノミであった。
観たいと思っていたイシノミに会えたのは、素戔嗚尊のご利益なのだろう。

次回はシミの予定。

2013年8月26日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-08-26 19:29 | 昆虫など | Comments(0)

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