再び ニホンヒラタタマバチを観に…
<文末に追記があります。2013.7.4>
6月中旬、前回の観察から10日後。
ニホンヒラタタマバチのいた樹を再訪した。
〝寄主を確認できれば…〟 と田仲先生が言っておられたこともある。
※ 前回ご覧いただいてないかたはこちらをどうぞ ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/19052848/
さっそくいた! ニホンヒラタタマバチだ。
ふだんからかなりの数がいるのだろう。
この日のヒラタマ嬢は、触角をあてながら、樹の中にいる産卵すべき相手(キバチ)を探しているらしい。
見えない寄主を察知するわけだから、すごい能力である。
蜂の触角は小さな孔が多数あって、においなどの情報を感じると考えられているようだ。
あちこち探しまわって、急に立ち止まって真顔(?)になる。
樹皮にあてた触角にもぐっと力が入る。 獲物(寄主)を確認したのだろう、おもむろに尻を曲げて産卵の態勢に入った。 硬い樹幹に産卵管を刺すのだから、容易ではない。
腹部に沿ってある 〝さや〟 を添えて突き立てる。
産卵管が刺さると、さやをはずす。
針を刺したまま長時間この姿勢なので、写真は撮り放題である。
途中微妙な動きで針を操作するが、樹の中のキバチに刺すためなのか、それとも卵を送り出すためのものなのか。
樹の中にいるキバチの幼虫(?)にとっては、迫り来る針は命にかかわる恐ろしい注射だ。
長い恐怖の時間だろう。
ややこしい蜂の世界
はじめは樹に産卵するからキバチだと思ったら、じつは樹の中にいるキバチに産卵するヒラタタマバチだった。
そしてタマバチはふつうは植物寄生だが、ヒラタタマバチのようにキバチに寄生するのがいる。
う~む。蜂の世界はややこしい。
蜂に寄生する蜂はほかにもたくさんいるようで、田仲義弘先生が次で紹介してくれている。
※ 全国農村教育協会 : 話のたねのテーブルのバックナンバー一覧 から…
No.3 『クリの大害虫クリタマバチ』 :
クリに寄生するクリタマバチと、クリタマバチに寄生するチュウゴクオナガコバチ
No.85 『クリオオアブラムシの孵化』 :
クリオオアブラムシに寄生するマダラアブラバチと、さらにそのアブラバチに寄生するコバチ
もちろん、田仲先生の著書 『狩蜂生態図鑑』 にも、ややこしくて面白い話がいっぱいだ。
2013年6月28日、報告:自然観察大学 事務局O
<以下、2013.7.4追記>………………………………………………………
羽化殻としていたものは、成虫の残骸ではないか、というご意見をいただいた。
おちゃたてむしさんからのご指摘である。(コメント参照)
参考:
おちゃたてむしさんのタカチホヒラタタマバチの記事 ⇒
コメントのとおり、同時に横からのカットも撮っていたので追加で掲載させていただいた。
(前回掲載の背面からの写真とあわせてご覧いただきたい) たしかに、おちゃたてむしさんの言われるとおり、産卵管と思われるものが刺さっている。
上端から右へ突き出ているのが産卵管で、うしろに長く突き出るのは産卵管のさやだ。
産卵管とさやの感じからして、これはヒラタタマバチではなく、キバチのものだろう。
おそらく寄主であるクロヒラアシキバチではなかろうか。
それにしても、この殻が産卵管の箇所でブッツリと切れたようになっているのは何故か?
やはり おちゃたてむしさんの推察どおり、何者かに食われたのか、それとも産卵管が抜けなくなって外皮を棄てていったのか?
同じような殻はこの幹に多数あった。前者の場合も悲劇的だが、後者だとしたら、キバチ本人のその後の姿は想像するだに恐ろしいものだ。
………………………………………………………以上追記
6月中旬、前回の観察から10日後。
ニホンヒラタタマバチのいた樹を再訪した。
〝寄主を確認できれば…〟 と田仲先生が言っておられたこともある。
※ 前回ご覧いただいてないかたはこちらをどうぞ ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/19052848/
さっそくいた!
ふだんからかなりの数がいるのだろう。
見えない寄主を察知するわけだから、すごい能力である。
蜂の触角は小さな孔が多数あって、においなどの情報を感じると考えられているようだ。
あちこち探しまわって、急に立ち止まって真顔(?)になる。
樹皮にあてた触角にもぐっと力が入る。
腹部に沿ってある 〝さや〟 を添えて突き立てる。
針を刺したまま長時間この姿勢なので、写真は撮り放題である。
途中微妙な動きで針を操作するが、樹の中のキバチに刺すためなのか、それとも卵を送り出すためのものなのか。
樹の中にいるキバチの幼虫(?)にとっては、迫り来る針は命にかかわる恐ろしい注射だ。
長い恐怖の時間だろう。
ややこしい蜂の世界
はじめは樹に産卵するからキバチだと思ったら、じつは樹の中にいるキバチに産卵するヒラタタマバチだった。
そしてタマバチはふつうは植物寄生だが、ヒラタタマバチのようにキバチに寄生するのがいる。
う~む。蜂の世界はややこしい。
蜂に寄生する蜂はほかにもたくさんいるようで、田仲義弘先生が次で紹介してくれている。
※ 全国農村教育協会 : 話のたねのテーブルのバックナンバー一覧 から…
No.3 『クリの大害虫クリタマバチ』 :
クリに寄生するクリタマバチと、クリタマバチに寄生するチュウゴクオナガコバチ
No.85 『クリオオアブラムシの孵化』 :
クリオオアブラムシに寄生するマダラアブラバチと、さらにそのアブラバチに寄生するコバチ
もちろん、田仲先生の著書 『狩蜂生態図鑑』 にも、ややこしくて面白い話がいっぱいだ。
2013年6月28日、報告:自然観察大学 事務局O
<以下、2013.7.4追記>………………………………………………………
羽化殻としていたものは、成虫の残骸ではないか、というご意見をいただいた。
おちゃたてむしさんからのご指摘である。(コメント参照)
参考:
おちゃたてむしさんのタカチホヒラタタマバチの記事 ⇒
コメントのとおり、同時に横からのカットも撮っていたので追加で掲載させていただいた。
(前回掲載の背面からの写真とあわせてご覧いただきたい)
上端から右へ突き出ているのが産卵管で、うしろに長く突き出るのは産卵管のさやだ。
産卵管とさやの感じからして、これはヒラタタマバチではなく、キバチのものだろう。
おそらく寄主であるクロヒラアシキバチではなかろうか。
それにしても、この殻が産卵管の箇所でブッツリと切れたようになっているのは何故か?
やはり おちゃたてむしさんの推察どおり、何者かに食われたのか、それとも産卵管が抜けなくなって外皮を棄てていったのか?
同じような殻はこの幹に多数あった。前者の場合も悲劇的だが、後者だとしたら、キバチ本人のその後の姿は想像するだに恐ろしいものだ。
………………………………………………………以上追記
by sizenkansatu
| 2013-06-28 20:20
| 昆虫など
|
Comments(2)
こんばんは。
このスタイルにこの大きさでタマバチ類とは思いませんよね。
私も以前、同じ科のタカチホヒラタタマバチというのを撮ったことがありますが、ネット画像で似たのを見つけるまで皆目所属の見当がつきませんでした。
ところで6月25日の記事で羽化殻とされているのは、キバチが産卵した後、何らかの理由で(産卵管が抜けなかった?、外敵に襲われた?)残していった腹部の外殻の一部だと思います。横から見ると樹皮に突き刺さったままの産卵管が見えるはずで、こちらでは立ち枯れのエノキで(ヒラアシキバチの)同様の遺留品がよく見られます。
このスタイルにこの大きさでタマバチ類とは思いませんよね。
私も以前、同じ科のタカチホヒラタタマバチというのを撮ったことがありますが、ネット画像で似たのを見つけるまで皆目所属の見当がつきませんでした。
ところで6月25日の記事で羽化殻とされているのは、キバチが産卵した後、何らかの理由で(産卵管が抜けなかった?、外敵に襲われた?)残していった腹部の外殻の一部だと思います。横から見ると樹皮に突き刺さったままの産卵管が見えるはずで、こちらでは立ち枯れのエノキで(ヒラアシキバチの)同様の遺留品がよく見られます。
Commented
by
sizenkansatu at 2013-06-30 07:03
おちゃたてむしさん、コメントありがとうございます。
ご指摘いただいた殻ですが、横から撮ったカットもあり、たしかに産卵管が観えていました。ご指摘ありがとうございます。ちょっと先になるかもしれませんが、本文も訂正させていただきます。
この殻はどうしてこんなに多数あるのか? 不思議ですね。
ご指摘いただいた殻ですが、横から撮ったカットもあり、たしかに産卵管が観えていました。ご指摘ありがとうございます。ちょっと先になるかもしれませんが、本文も訂正させていただきます。
この殻はどうしてこんなに多数あるのか? 不思議ですね。
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