自然観察大学ブログ

シリアゲムシ 馬面のワケ

頭のてっぺんから、あごの先でまで、ずーっと観ていく。
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ひととおり観たあとに 〝はて、はじめのほうはどんな顔だったか?〟
落語にある馬面の表現だが、それがぴったりハマるシリアゲムシの顔である。

全身はこれ。
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ヤマトシリアゲの雌成虫。
名前のとおり尻を上方にそらした姿は、凛として、なかなかかっこいい。
林縁を飛ぶ姿を目にするが、ヘロヘロといかにも下手な飛翔。そのかわり脚力はなかなかのもののようだ。

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こちらはヤマトシリアゲの雄成虫。
雌よりも盛大に尻が上がっている。英語でスコーピオン・フライというそうだが、まさしくサソリの尻尾だ。

なお、ヤマトシリアゲは第1世代が黒色で、第2世代がべっこう色になる。
写真の雌は第1世代で、雄のほうは第2世代ということである。馬にたとえるなら、初夏の第1世代は黒鹿毛で、第2世代は栗毛ということになる。
(かつて栗毛はベッコウシリアゲとして別種扱いされていたそうだ)

シリアゲムシの専門家であるS木先生によると、シリアゲムシは完全変態(内翅類)の中でもっとも古い歴史ある昆虫のひとつだそうである。(ほんとうのご専門はシリアゲムシの発生学)

※ シリアゲムシの詳しい生態については、自然観察大学室内講習会バックナンバーから
 2004年 『シリアゲムシのくらしとかたち』 をご覧いただきたい
 ⇒ http://sizenkansatu.jp/index_8.html


そんな、由緒正しいシリアゲムシだが、太古の昔から長い顔をして尻を上げていたのだろうか。そしてそれらには何らかの意味があるのだろうか。

馬面が発達した理由を考えてみよう。(以下、かってな推測)
シリアゲムシで思い出すのは、クモ網にかかった獲物の横捕りである。
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クモ網にかかった昆虫に、5頭のヤマトシリアゲが集まって、横捕りをしていた。
昨年5月に岡発戸で観た光景だが、シリアゲムシによる横捕りは、日常で頻繁になされることらしい。

ここで、はじめの顔写真を思い返していただきたい。
クモ網に絡まった獲物を食べるには、馬面は都合がよいだろう。しかも表面はつるつるしているので、糸にくっつきにくいはずだ。

一方、尻を上げる理由だが、こちらはまったく想像もできない。もしかして、馬面とバランスをとるためのポーズだったりして…
いずれS木先生にご意見をうかがいたいものである。

余談ですが…
ネットで 〝シリアゲムシ〟 を調べたら、画像検索結果にS木先生の写真があった。
驚き!

2013年6月3日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-06-03 19:15 | 昆虫など | Comments(2)
Commented by つくば市けんぞう at 2013-06-21 20:02 x
シリアゲムシはいい写真ですね。

なぜかこの虫、クモの巣の餌の獲物の横取りまたは食べ残しでよく見られ、たいていは家主のクモも逃げ出していません。英名でスコーピオン・フライというほどクモの巣とは特別の関係にあり、巣の上を自由に歩けるともいいます。
ただし、長い馬面の口吻がクモの巣から餌を盗むための適応とはちょっと考え過ぎか?

なお、シリアゲムシは贈呈結婚の習性で有名です。一部の種の雄が交尾に際して雌に贈り物をします。オドリバエの仲間ではよく見られますが、シリアゲムシでは僕はまだ見たことがありません。撮影を期待します。
Commented by sizenkansatu at 2013-06-22 16:33
つくば市けんぞうさん、おほめのコメントをいただき、ありがとうございます。
この写真は、旧いオリンパスのレンズをデジタルカメラに装着したものです。
扱いにくいですが、仕上がりは気に入っています。
いずれこのことも記事にさせていただきたいと考えています。

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