自然観察大学ブログ

親愛なる、そのへんの植物-8 「落葉広葉樹林は春真っ盛り(暖温帯編)」

まもなく4月という頃、街なかではサクラ、田んぼや道端ではオオイヌノフグリ、ホトケノザなどが次々と咲いて、春の訪れを感じさせてくれます。
今回は、同じ頃に落葉広葉樹林で見つけた「春」をご紹介します(観察地:岐阜)。

※ 写真はすべてクリックで拡大してご覧いただけます

これは、3月末のある落葉広葉樹林の様子です。
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なんだか、殺風景に見えます。色とりどりの花が咲き乱れるような、鮮やかな印象はありません。落葉広葉樹は、冬に葉を落とすので、早春はまだ展葉しておらず、林全体が明るく見えます。
一体何が春らしいのか。個々の木に近づいて、よーく観察してみると、かわいらしい芽吹きが見えます。今回注目したいのは、この新葉です。

コバノガマズミ
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小さいながらも、その木ならではの葉の特徴をちゃんと持っているので、「これは何の木だろう」などと、考えながら観察するのはおもしろいです。
こうした新葉が見られるのは、この時期だけ。暖かくなったと同時に、一斉に芽吹きを始める木々を見ると、春真っ盛りを感じずにはいられません。


それでは、暖温帯の落葉広葉樹林で見られたいくつかの樹種について、とっておきの新葉をご紹介します。

コナラ
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たしかにコナラの葉のかたちをしています。フサフサした毛に包まれて、柔らかいです。また、葉の展開と同時に、雄花が先に咲きます。目立っているのは、雄花序です。

サルトリイバラ
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サルトリイバラも、葉の展開と同時に花を咲かせます。雌雄異株植物であり、これは雄花のみをつける雄株です。雄花の雌しべは退化して、ほとんど見えません。雌雄異株植物の性を見分けるには、このように花の時期は重要です。

ヤマハゼ
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新葉のときから、当然ではありますが、ちゃんと複葉になっています。精巧なミニチュアのようです。

リョウブ
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新葉の時は、特に黄緑色が鮮やかで美しいです。遠くからでも目立ち、まるで林の中に黄色い花が浮かんで咲いているかのように見えます。


このように、いまだ葉も花も少ない早春の林ですが、観察してみると、季節に応じたユニークな姿を見ることができます。
新葉は、身近な公園や庭、街路に植えられた樹でも見られるので、ぜひ気軽に観察してみてください。夏や秋の見慣れた葉のかたちを知っているならば、小さな葉が成長していく様子を想像しながら見てみるのも楽しいかもしれません。

次回は、同じく落葉広葉樹林の新葉について、温帯編でご報告したいと思います。

2013年4月12日、報告:自然観察大学 植物生態学部 S子
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by sizenkansatu | 2013-04-12 19:16 | 植物 | Comments(1)
Commented by sizenkansatu at 2013-04-15 12:40
S子さん、投稿ありがとうございます。

今回は一段と写真が好いですね。
感覚的にも技術的にも素晴らしい写真だと思います。
S子さんが、喜々として森をさまよう姿が目に浮かびます。

それにしても、芽吹きで種名がわかるのはすごいですね。
次回、温帯編もたのしみにお待ちしています。

事務局Oより

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