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自然観察大学ブログ

ヘラオオバコの花

ヘラオオバコの花_d0163696_20275565.jpgヘラオオバコは、草刈りをされてもいつのまにか茎を伸ばして花をつける。
本体が地表低く広がるロゼットだから、花茎が刈られても再生するということだろう。
その意味で雑草らしい雑草と言える。

しかし、草刈りには強いが、その反面、草刈りされない場所にはあまり見かけない。

雑草 = 強い植物 ということにはならない、よい例だろう。


このヘラオオバコの花をよく観てみよう。

ヘラオオバコの花は多数の小さな花が集まった花序だ。
ヘラオオバコの花_d0163696_20282287.jpg
白く環のようになっているのが、雄しべの出た状態の花。
それより先の部分で、つんつんとトゲのように突き出ていているのは、雌しべの柱頭。
さらに先の雌しべの出ていない部分がつぼみということになる。

もう少し進んだ状態の花序を観よう。
ヘラオオバコの花_d0163696_20284865.jpg
雄しべの白い環が少し上方に移動している。下半分の茶色の部分は、花が終わったところだ。

ひとつの花としての成長を見ると次のようになる。
 つぼみ → 雌しべを出す(雌性期) → 雄しべを出す(雄性期) → 果実
個々の花としては花序の下部の方が先輩ということだ。

雌しべが先に熟すので、雌性先熟(しせいせんじゅく)と言う。植物の種によっては反対の雄性先熟のものもある。どちらも自家受粉を避けるための仕組みとされていてる。
参考:『植物の雄と雌を観る』(全3話)  http://sizenkan.exblog.jp/14094317/

よく観ると個々の花の根もとのほうに、花びらが見える。花弁は合着して先のほうが4裂した形。(地味!)
ヘラオオバコの花_d0163696_2031583.jpg
穂の下の方では順調に果実が熟しているようだが、なぜか柱頭が伸びてきている。

全体が伸びて、雄しべの環もどんどん上る。その先にはまた新しい雌しべの花があり、さらに蕾が…

ヘラオオバコの花_d0163696_20313719.jpg
ヘラオオバコは今日も成長を続ける…

少し理屈っぽい話ですが…

ヘラオオバコの花とオオバコの花は同じ咲きかたで、これらは “下から咲き上がる” と表現されることが多い。私にはこの表現がどうもしっくりこない。
“下から咲き上がる”いう文言からは「もともと長い穂があって、下から順に上の方に咲いていく」といったイメージだが、それは実際の状況とは異なる。

こまかいことを言わせていただくと、“つぎつぎに花を咲かせながら上方へ伸びる” と表現した方がしっくりするのではないだろうか。

2012年6月28日、報告:自然観察大学 事務局O



by sizenkansatu | 2012-06-28 20:37 | 植物 | Comments(0)

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