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自然観察大学ブログ

クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-

舌をかみそうな、ややこしい名前の小さな蛾。
クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-_d0163696_1844786.jpg
クロハネシロヒゲナガは漢字で書くと黒翅白髭長だろう。
名前はクロハネなのに、じつは金色の翅だから、さらにややこしい。
光のかげんで黒く見えるが、命名者はどうしてクロハネとしたのだろう…

もうひとつの疑問。
この仲間はヒゲナガガ科(髭長蛾科)と言う。素直にクロハネシロヒゲナガガと命名すればいいのに、なぜか最後の ガ を省略している。(ヒゲナガガ科は他もみな省略した名前らしい)

ところで写真は雌で、雄にくらべると髭(触角)は短い。
撮っているうちに産卵をはじめた。
クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-_d0163696_1845545.jpg
オオスズメノカタビラ(たぶん)の茎内部に卵を産みつけているようだ。

産卵については イッカク通信/自然観察な日々 -クロハネシロヒゲナガ(その3)-
に詳しく紹介されているので、ぜひご覧いただきたい。
 http://ikkaku2.exblog.jp/d2007-05-05
自然観察な日々 では、クロハネシロヒゲナガを飼育し、幼虫まで追跡・連載している。
最終回の(その5) http://ikkaku2.exblog.jp/6350606/ から順にたどっていけるが、そこで幼虫の驚くべき生態が明らかにされている。(その1、その2がネット上から消えているのが残念)
ご存知かと思うが、自然観察の日々は、あの『イモムシハンドブック』の著者、安田守さんのブログである。

さて、ここまできたら、ヒゲナガの真骨頂である雄を出さないわけにはいかない。
クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-_d0163696_1848302.jpg
出来の悪い写真なのであまり載せたくないのだが、触角の異常な長さはわかる。

この長い触角が邪魔をするためか、独特の飛び方になる。やじろべえのように触角を広げて ヘロヘロ というか、ヘコヘコ というか、そんな感じのちょっと鈍くさい、愛嬌のある飛び方だ。
前述の安田さんは ヒョヒョヒョ と表現している。
どなたかぴったりした擬音があったらご一報いただきたい。

クロハネシロヒゲナガは、毎年5月はじめに遭遇する。自然観察大学 野外観察会 の下見のときだ。
オオスズメノカタビラやホソムギ、ネズミムギに産卵するとされているようだが、毎年オオスズメノカタビラのある草原で観察したように記憶している。
成虫の期間は短いらしく、下見のときはたくさん飛んでいるのに、翌週の観察会本番ではほとんど姿を消してしまう。参加いただいたみなさんにも、やじろべえのように飛ぶ姿を見ていただきたいのだが、実に残念だ。

次は事務局/脇本くんの撮った、本人のお気に入りの写真。
クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-_d0163696_18493394.jpg
熱い日ざしのもとで、ヒゲをなびかせて気持ちよさそう。
脇本くんは本格的な撮影ははじめてらしいが、なかなか立派な写真だ。

※ 今回の報告は5月6日に観察したものです。

2012年5月31日、報告:自然観察大学 事務局O



by sizenkansatu | 2012-05-31 18:56 | 昆虫など | Comments(0)

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