自然観察大学ブログ

アブラムシの変身術

前回の続きで、ハウチワカエデのアブラムシの話。
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黒いのがモミジニタイケアブラムシ
葉の裂片の突き出た部分に、きれいに並んで住み分けしているようだ。
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拡大すると、筋骨隆々とした立派なアブラムシ。
がっちりした角状管(尻の近くの両側にある一対の突き出たもの)もある。
迫力ある、なかなか男らしい姿だ。(雌ですが…)

それにしても、アブラムシの仲間は、小さいが虚飾を廃した機能美の持ち主たちだと思う。

展開はじめの葉には翅の無いアブラムシが集まっていた。
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先のアブラムシと同じモミジニタイケアブラムシと思われる。


とてもややこしいアブラムシ

アブラムシには同じ種で有翅型と無翅型があってややこしい。さらには幹母(かんぼ)という巨大化したのもいる。
モミジニタイケアブラムシはさらに複雑だ。
(ここからは5月半ばの観察記録)
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画面上部の丸い小さな半透明の虫を拡大してみよう。
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なんとこれもモミジニタイケアブラムシだというのだ。
越夏型の幼虫で、彼らはこのままの姿で夏を越し、秋になってから脱皮・成長するとともに普通の姿に戻るという。
モミジニタイケアブラムシを漢字で表すと “紅葉二態毛アブラムシ” となるらしい。…なるほど。

それにしても、先の男らしい姿に比べてなんという変わり身!
アブラムシは不完全変態なのに!!
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これからの暑い夏をじっと耐えるのだろう。(少し動くのを観たが…)
こうしてみると、キジラミやコナジラミの幼虫にそっくりだ。


アブラムシ哀歌

腹部がパンパンに膨れた異様な姿のもいた。
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寄生蜂の犠牲になった “マミー” というもので、三態目の姿というわけではない。
この後、体内の寄生蜂が羽化脱出するものと思われる。

越夏型幼虫を襲うテントウムシがいた。
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ナミテントウの若齢幼虫だ。(たぶん)
かぶりついたまま動かないのは、体液を吸っているのだろう。

せっかくの二態変身の術も、無残な結末。
食べにくいように、もっとゴツイ姿に変身すればよいと思うのだが…

M本先生いわく 「アブラムシは陸のプランクトン」 だそうだ。
宿命とはいえ、哀れな…

ちなみに5月27日に現状を確認したところ、成虫は完全に姿を消していた。そして越夏型幼虫の数はかなり減少していたが、これは天敵によるものではないかと思われる。

今回参考にさせていただいた図書:アブラムシ入門図鑑(松本嘉幸、全農教)
本書によるとカエデ類には3種のニタイケアブラムシの仲間が寄生するが、それらは生体での識別は難しい由。ここではモミジニタイケアブラムシとさせていただいた。


2012年5月28日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-05-28 19:14 | 昆虫など | Comments(0)

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