自然観察大学ブログ

信州の川虫たち

前回に続く川虫編。

小さな沢の、流れの速い場所で、石の上に何かこびり着いている。
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こんなふうな塊が点々とあった。

近寄ってみると…
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木片か何かに見えるが、川虫の筒巣ではないのか?
それとも細身のキセルガイか?

離れたところで、顔を出しているのがいた。
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やっぱり川虫だ。
うっかり群れから離れてしまって、あわてて戻ろうとしているようだ。

調べてみると クロツツトビケラ
自分の糸だけで筒巣をつくるのは本種だけで、日本にはほかに近似種はないそうなので、間違いはないだろう。
筒は長いが、中の虫本体は小さい。

この長い筒は何の意味があるんだろう。いたずらに目立つだけのような気がする。
筒巣を並べて群れている状態を観ると、物理的に整流の効果があるようにも思えるが、謎だ。
ニューギニア先住民ダニ族の、あのコテカとイメージが重なる。

同じ沢で飛び交っていた成虫がこちら。
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求愛行動なのか、怪しげなダンスをしていた。
トビケラの仲間には違いないと思うが、クロツツトビケラかどうかは定かではない。

こちらはやや下流。
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点々と見えるのはやはりトビケラの仲間だ。
無防備にも思えるが、水面ギリギリのところなので、意外に魚の餌にはされないのかもしれない。

拡大したのがこれ。
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砂粒を糸で綴って筒巣をつくっている。
巣作りは緻密で根気のいる仕事だと思うのだが、何のためなのだろう。
やはり外敵から身を守るためか? まさか保温ということはないと思うが…

多数のツツトビケラに混じって、別の川虫がいる。
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コオロギにも似た感じだが、調べてみるとクロマダラカゲロウの幼虫らしい。
シャープな白線がgood。

トビケラの成虫も発見。
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淡黄色の斑紋をたよりにネットで調べるとウルマーシマトビケラというやつらしい。
“ウルマー” はドイツの昆虫学者の由。

トビケラ目はチョウ目に近いとされ、ちょっと見は似ているが、鱗粉のかわりに毛が密生する。
やはり鱗翅目毛翅目という呼び方が解りやすい。

こちらはヒラタカゲロウの仲間。ひたすら低姿勢。
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お次はマダラカゲロウの仲間。この仲間はチョイ悪の風貌。
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余談ですが…

夢中で川虫さがしをしている時に、突然声がした。見るとゴツイ制服警官が私を呼んでいる。

警官「釣りかと思ったんですが、ざざ虫採りですか?」
 「ええっと、はい。まぁ、そんなもんです。」
警官「ご苦労さんです。実は昨日、このあたりで熊の親子を見たという通報が4件ありまして、くれぐれも気を付けてください。」

私は、怖くなってついあたりを見回してしまった。

警官「昼間は親熊が出てくることはめったにないんですが、暗くなってきたら危ないですから。まぁ、あんたは何となく熊に似てるから、大丈夫かもしれんですけどね。」
…と、真顔で言う。制帽を被った熊のような顔で。

失敬な、確かにワシは熊と類縁とされているが、あんたに言われたくないわい!

よろしければ、昨年の中山道和田宿での川虫観察記録もご覧いただきたい。
トビケラの話 http://sizenkan.exblog.jp/13566765/
カゲロウの話 http://sizenkan.exblog.jp/13557004/


ヒキガエルとアメンボ

川虫さがしの途中で、大量のヒキガエルの卵塊があった。
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源流に近い冷たい水流で、たまり水になったところに、累々と産卵されていた。卵の数は画面の何千倍もあったと思う。
ヒキガエルは全員集合していっせいに産卵すると聞くが、どれくらいのヒキガエルが集っていたのだろうか。
…となると、オタマジャクシもぞろぞろと一気に出てくるのか?
産卵と孵化のシーンを見てみたいものだ。

ところどころ水が引いた場所で、卵が露出している。
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観察しやすいのはありがたいのだが、乾いてミイラ化したところがあるのはかわいそうだ。

卵塊のあるたまり水を、アメンボが右往左往していた。
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このアメンボはカエルの卵を吸収するのだろうか?
分厚いゼリー部分を突き抜いて、むさぼるように吸うのか?
イケナイ期待を胸に、しばらく観察していたのだが、残念ながらそのシーンは観られなかった。

ところで、このアメンボは赤味が強く、ふだん眼にするのとは少し違うようだ。
水たまりで生活するためか、シマアメンボのような超絶運動能力もなさそう。
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ネットで調べると、山地に多いコセアカアメンボ、あるいは北寄りに分布するエゾコセアカアメンボらしい。

アメンボについて詳しいことはこちらがおすすめ。
『アメンボ研究室』 http://homepage3.nifty.com/shibalabo/amenbo/index.htm


世の中は金環食で盛り上がっているが、こちらは川虫観察だ。マイペースでやらせていただく。
と言いつつ、実は今朝、ちゃんと写真を撮っているので、いずれご報告するかも…

2012年5月21日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-05-21 20:37 | 昆虫など | Comments(4)
Commented by まりえ at 2012-05-29 12:44 x
はじめまして。神奈川でトビケラの研究をしてるものです。
突然のコメント失礼します。私はクロツツトビケラのシルクについて研究しています。クロツツ幼虫シーズンはもう終わったと思い今まで採集したサンプルを使用して行こうと思っていたのですが、信州ではここ数日でも採集できるのでしょうか?それともこれは五月の話ではいのでしょうか。お答えいただければ助かります。
Commented by sizenkansatu at 2012-05-29 16:06
こんにちはまりえさん。
おもしろそうな研究ですね。昆虫は地上に残された最大の資源と言われているらしいですから、どんな成果が得られるか、たのしみにしています。

残念ながら撮影は5月1日です。その後どうなっているかは全く不明です。
撮影地は長野県の朝日村というところです。
詳しい地図が必要な場合は調べられると思いますので、ご一報ください。
Commented by まりえ at 2012-05-31 13:09 x
返信ありがとうございます!
そうなんですよね。私の研究室では未来の資源を中心に研究していますが、昆虫は様々な素材を作り出すのでとても興味深いんです。

やはりそうですよね…。羽化シーズンが4月なので、もう流石にいないよなぁと思ってたんです。でも5月でもいるところは
いるのですね。それが知れただけでもありがたいです!
そこはやはり標高が高いところなのでしょうか?
地図の件、ありがたいです。 メールアドレスなどを送るのがいいでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2012-05-31 16:03
標高はそんなに高くないと思います。
撮影ポイントはメールでお知らせしたほうがいいですね。
自然観察大学事務局 jimu@sizenkansatu.jp 宛にメールをいただけば、調べてご連絡いたします。
少し時間がかかるかもしれませんが、ご了承ください。

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