自然観察大学ブログ

雑草の春-5 タネツケバナの栄枯盛衰

夏がそこまできているのに、まだ春の話をしている。がんばって早く投稿しなければ…

水路のわきに広がるタネツケバナの群落。(4月初旬撮影)
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タネツケ = 種浸け で、かつて稲作で “この花が開花する時期に種籾を水に浸ける” と名付けられたそうである。稲作の一年のはじまりを知らせる、春の代表的雑草だったのだろう。
今でも山あいの田んぼなどで、耕起前の一面のタネツケバナを観ることがある。
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写真の水路も、4月初旬には半ば干上がっているが、このあと作付けが盛んになるころには増水し、タネツケバナも水没する。

このタネツケバナが減っている。
理由は、耕地整備などによって農業用水が完備され、必要なとき以外は水を張らない “乾田” ばかりになったから、というのである。

タネツケバナは稲作とともに栄え、乾田化によって衰退しつつある雑草だ。
前回の 『雑草の春-4』 で申しあげたように 雑草は強くない のである。人間の都合で増えたり減ったり、もてあそばれているではないか!


ミチタネツケバナの台頭

これにとって代わるように、ミチタネツケバナというのが街なかで増えている。
タネツケバナにくらべて小形で、春早くから短期間に開花・結実する神出鬼没なインベーダーだ。

両種は「形とくらしの雑草図鑑」(岩瀬徹、全農教)に掲載されている。http://www.zennokyo.co.jp/book/ykhb/kkzso.html
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ミチタネツケバナは花序全体が細くすぼまった形で、花よりも果実のほうが上に突き出る。花は適当に済ませ “肝心なのは果実だよ” といった態度に見える。

余談ですが…

ここでは “種浸け” と表したが「形とくらしの雑草図鑑」や Wikipedia では “種漬け” とされている。どちらでもよいようなものだが、種籾を水に漬けるのを “浸種(しんしゅ)” と言うので、やはり “種浸け” と表したい。

さらに話はそれるが “浸漬”という単語がある。浸漬処理などの言葉もある。
この読みは本来 “しんし” だったのだが、だいぶ以前から “しんせき” と言われていたようだ。
言葉は生き物だから、どちらが正しいかこだわるつもりはないが…

2012年5月4日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-05-04 19:01 | 植物 | Comments(0)

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