自然観察大学ブログ

雑草の春-1 ツクシの話

【注】文末にお詫びと訂正があります

ツクシが出た
d0163696_201852100.jpg
3月25日。今年はじめて、ツクシを観た。
左から順に、伸びる過程を見せるように並んでいた。
右端の穂を拡大して見よう…
d0163696_20192324.jpg
緑色の粉状のものはスギナの胞子。
ちなみに、緑色は葉緑素のためで、緑色の胞子は寿命が短いそうだ。

恥ずかしながら、かつて私は、これをスギナに寄生する菌と思い込んでいた。
「みなさん、これは胞子ですよ!」

別のツクシも観てみよう。
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ギザギザに見えるのは “はかま” といわれ、葉に当たるもの。茎の節々にはかまがつく。
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拡大すると胞子の粒まで見える。
まだ伸びきっていない穂だが、先端のほうはすでに胞子を飛ばし、抜け殻になっている。

形とくらしの雑草図鑑』(岩瀬徹、全農教)で各部の呼び名を確認しよう。
d0163696_202113100.jpg
穂の全体を胞子嚢穂(ほうしのうすい)と言う。
うろこ状のものは胞子嚢床(ほうしのうしょう)で、緑色の袋状のものが胞子嚢だ。
胞子がなくなると袋は白い膜となって残る写真(右上)。

上の胞子の箇所を拡大してみよう。
d0163696_20215141.jpg
これは顕微鏡レベルの倍率が必要で、ルーペでの観察はちょっと無理だ。


スギナは胞子では増えない?

ところで、スギナはこれだけ多数の胞子を飛散させながら、胞子では繁殖しないと考えられている。
地下茎で繁殖するというのだ。ということは、日本中のスギナはクローンということか?
“考えられている”とあいまいなのは、誰もそのことを確認できないからで、全部の胞子が発芽しないことを確認するなんて不可能だからだろう。
とすると、人知れず、どこかの片隅で胞子から発芽するスギナがあるのかもしれない。そのときはシダ植物らしく前葉体(配偶体)を経て受精し、スギナになるのだろうか?
スギナの属すトクサ科トクサ属のシダには暗条件で胞子発芽が確認されたものがあるらしい。(ウィキペディアで見た)
う~む。スギナの前葉体を見てみたい。

【余談】けっこうキケンなウィキペディア

ふだんウィキペディアにはずいぶんとお世話になっているが、今回スギナの記載で次のような気になる箇所があった。

Wiki “浅い地下に地下茎を伸ばしてよく繁茂する。”
浅い、というところに抵抗がある。少なくとも数十cmまでは自分の眼で確認しているし、深さ1mとか2mなどという情報もある。まあ、地球規模で考えると浅いとも言えるが。

Wiki “生育には湿気の多い土壌が適しているが、畑地にも生え、難防除雑草である”
… 湿気の多いところにはスギナはあまり見られず、イヌスギナが多い。野外観察ハンドブック/シダ植物』 (村田威夫・谷城勝弘、全農教)ではスギナの項で “日当たりのよい草地、道端、庭、空き地などに生育する” と記載がある。ウィキペディアではイヌスギナとスギナを混同している可能性が高い。

Wiki “胞子は球形で、2本の紐(4本に見えるが実際は2本)が1ヵ所から四方に伸びている。これを弾糸という。”
…前掲のように 形とくらしの雑草図鑑 では “4本の弾糸” とある。牧野図鑑も4本だ。見た目では2本と4本の両方あるようにも思える。

情報収集は必要だが、やはり自分の眼で観たことをたいせつにしたいものだ。

2012年3月29日、報告:自然観察大学 事務局O

【お詫びと訂正】 追記:4月2日
スギナの胞子発芽について、ミルフイユさんのコメントと同時に、村田威夫先生からも次のご指摘いただきました。
………………………………………………………………………
スギナは、胞子での繁殖と、地下茎による栄養体生殖の両方をやっていると思います。
胞子は水苔や瓦に播くと良く発芽をして、前葉体を作ります。特に胞子を密に播くと、細いリボン状の雄の前葉体(造精器のみを持つ)になります。胞子を粗く播いたり、比較的栄養状態の適した条件を保つと幅のやや広い雌の前葉体(造卵器を持つ)を生じます。後者には造精器をつけることもあるようです。
野外では、地下茎で繁殖しているのは芽で確認できますが、胞子での繁殖は確認できにくいです。実験室で簡単に発芽しますので野外でも行われていると考えるのが自然です。このように2通りの方法をする植物は珍しくないです。

スギナの生育環境は非常に幅広いです。湿った土地や乾燥した土地でも生育します。湿った土地に見られるスギナは全部イヌスギナとはいえません。湿った土地にはスギナとイヌスギナの両方生育可能です。より湿った水田などにはイヌスギナの方が比較的多く見られます。乾燥した土地には一般にイヌスギナは見られません。
自然観察大学講師 村田威夫
………………………………………………………………………

えらそうなことを言っておきながら、自分で確かめてない誤った情報を記載してしまいました。申し訳ございません。
スギナの胞子発芽については、追体験してまたご報告させていただきたいと思います。 (事務局O)
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by sizenkansatu | 2012-03-29 20:26 | 植物 | Comments(3)
Commented by ミルフイユ at 2012-04-01 00:19 x
ええっ、スギナって胞子じゃ増えないんですか?あちこちにわさわさしているし、ツクシの胞子の量もすごいので、てっきり飛んで行って増えてるのだと思ってました。

検索してみると、シャーレでは発芽するらしいですよ。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003930613
http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex/9060015.html こちらの方は継続観察なさってます。
→http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex/11037489.html 前葉体に
http://morita.la.coocan.jp/a/omnis61/omnis61.htm こちらでは造精器も

地下茎は、ゴボウを掘るときに1mくらいまでなら伸びているのを見ました。
「スギナの根は 地獄まで続いている」とか言いますよね。
スギナ対策としては、酸性土壌が好きらしいので石灰をまきますが、何と言っても根が深いので根本的解決にはならないですね。畑じゃなきゃ強力な除草剤しかないかも。
Commented by sizenkansatu at 2012-04-02 18:02
ご指摘どおり、スギナは胞子でも増えるようです。
実は気になったので村田先生にうかがっていたのですが、さっそく回答いただき、本文を訂正しました。

栽培方法もうかがったので、チャレンジしてみます。
ただ、スギナの前葉体は小さいようなので、写真にできるかどうか…


Commented by ミルフイユ at 2012-04-03 00:26 x
今日、小さな公園の縁の芝桜が植えてある斜面に、芝桜の上にツクシが無数にというかほぼ全面に出ているのを見てしまいました。
何も植わっていない空き地なら、わーツクシが沢山出て可愛いな~ですむのですが、背の高くない芝桜の所に…「ここ一面スギナ?…」時々綺麗に除草されてた気がしますが、大変だろうなあ。ちょっと怖い風景でした。

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