アオスジアゲハの観察-3 青太の食生活
食べ痕を観る
青太の食べるシーンを見ることはなかったが、食べた痕は目立つ。
若いときの食痕はハキリバチに似ている。
成長すると、食べ方も少しダイナミック。
これは夏に観た食痕だが、アオスジアゲハの老熟幼虫によるもので、葉柄まで残さずきれいに食べていた。
青太はまだこんな食べ方はできない。
ついに、食事シーンに遭遇
はじめて食事に遭遇したのは、11月半ば過ぎだ。
ある日の夕刻、青太は日暮れとともに行動を開始した。
いつもの祈りのポーズから、頭を左右に振って周囲を見まわし、“右ヨシ、左ヨシ、後方ヨシ” 安全を確認して体を反転して梢上を移動する。ちょっと興奮した…
その後の観察で、青太はいつも日暮れ時に行動することがわかってきたのだが、警戒心が強く、撮影しようとすると摂食をやめてしまう。ときにはツノを出してアゲハ特有の刺激臭を出したこともあった。
ところがこの日(11月24日)はよほど腹が減っていたのか、懐中電灯やストロボの閃光でも動じなかった。
いつもちがって、のびのびと首(?)を伸ばしている。
やっと食事シーンを撮ることができた。
角度を変えてさらに撮る。
思いきって接写しても、食べ続ける青太。
こうしてみると、強力なあごと筋肉だ。頭部全体が食べるためだけにあるように見える。
【上の写真で、青太の眼はどれか?】
○ わかったあなた … このブログの愛読者です。ありがとうございます。
○ わからないキミ … ちょっと修行が足りません。正解は前回の記事からバックナンバーをご覧ください。
それにしても、クスノキは防虫剤の樟脳の原料となっているくらいなのに、どうして平気なのだろう。サクサクと美味しそうに食べる。
まさにタデ食う虫も好きずき、である。
樟脳は医薬用のカンフル剤のもとにもなったらしいので、食べると元気が出るのかもしれない。
ところで…
『農林有害動物・昆虫名鑑 増補改訂版2006』(日本応用動物昆虫学会)をみると、クスノキを食害する虫には、クスサンなどの蛾の仲間やゾウムシ、カミキリムシ、アブラムシ、カイガラムシ、キジラミ、グンバイムシ、アザミウマ、ハダニなど合計16種がリストアップされている。各界から多様な顔ぶれが名を連ねている。
意外にクスノキを食べる虫が多いのだと思ったが、肝心のアオスジアゲハが載っていない。
このリストは植物別に食害する虫を調べることのできる便利なもので、作成に当たってはたいへんな苦労があったはずだし、イチャモンをつけるつもりはない。
そもそも応用昆虫学の根っこは農林業だから、クスノキのような樹木については適当なところで妥協しているのだろう。しかたのないことである。
体勢を変える
12月5日。青太の体勢が反転していた。
これまでは葉の基部に尾脚をはりつかせ、葉先に向かっていたのだが、この日は反対向きだ。たぶん葉が垂れ下がるほど体重が重くなったためだと思う。体長は4-5cmほどになっている。
上の写真と下の写真を見比べていただきたい。 葉先が食べられている。
前の写真が12時で、次が14時。この2時間のあいだに食べたことになる。これまで規則正しく夕暮れに食事をしていたのだが、生活に乱れが出てきたようだ。
しかも、住居にしている葉を食べてしまっている。
こちらは3日後の12月8日。この日も同じ葉だが、食べてまた小さくなった。
寒い日が続くので移動がめんどうになったのだろうか。
小さい葉の上で、精一杯尾脚を踏ん張っている。
それにしても、もう年末というこの時期にアオスジアゲハが活動しているとは知らなかった。あるいは青太だけが特別なのだろうか。
青太は10月末に孵化し、それから1箇月半が経過している。成長速度はかなり遅いと思われるが、ちゃんと蛹化して越冬できるかどうか心配である。このところ生活パターンも乱れてきたようだ。
不良にならなければいいのだが…
2011年12月14日、報告:自然観察大学 事務局O
青太の食べるシーンを見ることはなかったが、食べた痕は目立つ。
青太はまだこんな食べ方はできない。
ついに、食事シーンに遭遇
はじめて食事に遭遇したのは、11月半ば過ぎだ。
ある日の夕刻、青太は日暮れとともに行動を開始した。
いつもの祈りのポーズから、頭を左右に振って周囲を見まわし、“右ヨシ、左ヨシ、後方ヨシ” 安全を確認して体を反転して梢上を移動する。ちょっと興奮した…
その後の観察で、青太はいつも日暮れ時に行動することがわかってきたのだが、警戒心が強く、撮影しようとすると摂食をやめてしまう。ときにはツノを出してアゲハ特有の刺激臭を出したこともあった。
ところがこの日(11月24日)はよほど腹が減っていたのか、懐中電灯やストロボの閃光でも動じなかった。
こうしてみると、強力なあごと筋肉だ。頭部全体が食べるためだけにあるように見える。
【上の写真で、青太の眼はどれか?】
○ わかったあなた … このブログの愛読者です。ありがとうございます。
○ わからないキミ … ちょっと修行が足りません。正解は前回の記事からバックナンバーをご覧ください。
それにしても、クスノキは防虫剤の樟脳の原料となっているくらいなのに、どうして平気なのだろう。サクサクと美味しそうに食べる。
まさにタデ食う虫も好きずき、である。
樟脳は医薬用のカンフル剤のもとにもなったらしいので、食べると元気が出るのかもしれない。
ところで…
『農林有害動物・昆虫名鑑 増補改訂版2006』(日本応用動物昆虫学会)をみると、クスノキを食害する虫には、クスサンなどの蛾の仲間やゾウムシ、カミキリムシ、アブラムシ、カイガラムシ、キジラミ、グンバイムシ、アザミウマ、ハダニなど合計16種がリストアップされている。各界から多様な顔ぶれが名を連ねている。
意外にクスノキを食べる虫が多いのだと思ったが、肝心のアオスジアゲハが載っていない。
このリストは植物別に食害する虫を調べることのできる便利なもので、作成に当たってはたいへんな苦労があったはずだし、イチャモンをつけるつもりはない。
そもそも応用昆虫学の根っこは農林業だから、クスノキのような樹木については適当なところで妥協しているのだろう。しかたのないことである。
体勢を変える
12月5日。青太の体勢が反転していた。
上の写真と下の写真を見比べていただきたい。
前の写真が12時で、次が14時。この2時間のあいだに食べたことになる。これまで規則正しく夕暮れに食事をしていたのだが、生活に乱れが出てきたようだ。
しかも、住居にしている葉を食べてしまっている。
寒い日が続くので移動がめんどうになったのだろうか。
小さい葉の上で、精一杯尾脚を踏ん張っている。
それにしても、もう年末というこの時期にアオスジアゲハが活動しているとは知らなかった。あるいは青太だけが特別なのだろうか。
青太は10月末に孵化し、それから1箇月半が経過している。成長速度はかなり遅いと思われるが、ちゃんと蛹化して越冬できるかどうか心配である。このところ生活パターンも乱れてきたようだ。
不良にならなければいいのだが…
2011年12月14日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2011-12-14 22:41
| 昆虫など
|
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