自然観察大学ブログ

大町公園-3 アワフキムシと人間観察

この日(5月中旬)は絶好の天気で、大町公園ではたくさんの人々が散策をたのしんでいた。
池の岸辺では、カワセミを狙うカメラマン達が、ずらりと並んで大砲のような望遠レンズを据えている。
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これは私の接写用レンズで撮ったもの。 “カワセミがいました” という記録と考えてご勘弁いただきたい。

アワフキムシと上品な母娘
林縁の灌木でアワフキムシの泡を見つけた。
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この泡の中に生活するのがアワフキムシだ。
今の時期は普通に見られるが、この機会にじっくり撮らせてもらおう。
失礼して少しずつ泡を取り除くと、中から1頭の幼虫が這い出してきた。
意外に速い脚どり。驚かせてごめんなさい。
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セミと同じ仲間(セミ目)だから、姿かたちはどことなくセミの幼虫に似ている。
枝分かれした場所が落ち着くらしい。

ふと、後ろで女性の声がする。
「お母さん、ほら、あの人、何を撮ってるのかしら?」
「何か、虫を撮ってらっしゃるみたい。ずいぶん熱心ですこと…」
ひそひそと話す声が聞こえる。口調からすると上品な母娘なのだろう。お相手をしたいのだが、撮影は佳境。アワフキムシが泡を吹きはじめたのだ。
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腹部を伸縮させるのは、空気を入れて泡をつくっているのだろう。
ときおり思い出したように尻を立て、ゆっくりとポンプ運動をする。少しずつ泡が増えていく。
泡はアワフキムシの小便で、セミのオシッコと同じ。養分の少ない樹液なので、大量に吸って大量に排出するようだ。

母娘はこの間もずっと私を見ていたらしい。自然観察よりも人間観察に興味があるのだろう。観察されるアワフキムシの恥ずかしさが分かる気がした。
それにしてもなんと奥ゆかしい母娘だろう。

視線を感じながらもひととおり撮り終えた私は、輝くような笑顔(!)で背後を振り返った。
「アワフキムシという虫を撮っていたんです。ほら、お母さん、これです」
母親はおそるおそる泡に指を触れた。
「ア・ワ・フ・キ・ム・シ ですか。そういえばこんな泡をよく見かけるような気がします。ずいぶん小さな虫ですね。勉強になりました。ありがとうございます」
そばにいた娘さんが…
「母は98歳になりますが、生き物が好きで、よくお散歩に出るんです。私も77歳ですが、はじめて見ました、こんな虫がいるんですねぇ。どうもありがとうございました」

育ちのよさそうな、元気な虫好きの母娘であったが、泡が小便と知ったらどう反応しただろうか。

2011年6月1日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-06-01 19:03 | 昆虫など | Comments(0)

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