白州で川虫さがし
長野から戻る途中、山梨の白州(北杜市)でも川虫を探した。
川虫が面白くなってしまったのである。
白州はサントリーの工場のあるところで、ここで天然水やウイスキーをつくっているのだから、よい水源という点ではお墨付きのようなものである。
手はじめに、ここのとある源流近くで川虫を探した。
ヒゲナガカワトビケラ
これはトビケラの仲間でヒゲナガカワトビケラの一種。体長は5cmほどあった。
ヒゲナガというのは成虫の姿からの命名らしく、幼虫はウマヅラだ。
信州で食用される “ざざ虫” はこのヒゲナガカワトビケラ類が主力らしい。
当地ではこの虫を見て舌舐めずりをする人が多くいるのだろうか?
これはそのヒゲナガカワトビケラの巣。小石を糸で綴って水中の岩の裏に営巣する。
写真は裏返して撮ったので、実際の巣はちょうど逆さまの状態である。
この仲間は以前滋賀県でも観察し、『源流と水生昆虫 -滋賀その2- 』http://sizenkan.exblog.jp/11750607/ で報告している。
これは何でしょう?
次は正体不明の虫。 勉強不足で、何のグループかもわからない。
アザミウマの幼虫に近い気がするが、よりがっちりとした印象で、体長はアザミウマより1-2まわりほど大きい。沢の石の裏にいたのだが、凹みの中の乾いた部分にいたように記憶している。体表も乾いているようだ。
どなたかご存知の方、心当たりのある方は、ぜひご教示いただきたい。
(しょうもない写真だがご勘弁ください。ちゃんと撮る前にどこかえ消えてしまったのです)
………………………………………………………
ご教示いただきました(2011.5.23追記)
《 多分ヒロバカゲロウ科の1種だと思います。川虫図鑑191ページ最上段の写真を参照してみて下さい。随分小さいようですので、若い齢の幼虫かもしれません。 》
以上、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長(?)からご教示いただきました。ありがとうございました。
高井支部長は 『原色川虫図鑑』 の撮影をされた方です。
………………………………………………………
クジャクチョウに遭遇
林道沿いで、多数のクジャクチョウを観た。
この時期は越冬成虫なのだろう、ぼろぼろの翅からは彼(彼女?)の乗り越えてきた艱難辛苦がうかがえる。
不思議なことに彼は舗装路の白いラインがお気に入りのようで、飛び立った後には必ずと言っていいほどライン上に戻ってくる。
ごっつい マダラカゲロウ
源流付近を離れ、今度は下流で川虫さがし。甲斐駒ケ岳から流れ出る尾白(おじら)川だ。 街なかでも流れは透き通った南アルプス天然水だ。
さすがに川虫は少なかったが、ゴツイ川虫に出会った。 体長は7-8mmと小さいが、硬くがっしりして両腕(前脚)が太く、昆虫というよりもエビやザリガニに近い印象だ。頭部前面には短いながらツノまである。離れた両眼がアンバランスで愛嬌がある。ぜひ写真をクリックして拡大していただきたい。
例の 『川虫図鑑』で 調べると、カゲロウ目のマダラカゲロウ科の一種と思われる。この仲間はごつい体が特徴らしい。
ご存知と思うが念のため…
クサカゲロウやウスバカゲロウは、カゲロウとは全く別のグループで、次のように分類される。
クサカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫は植物体上でアブラムシなどを捕食。
ウスバカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫はアリジゴク。
カゲロウ = 蜉蝣目(カゲロウ目)、幼虫は水中で生活。
カゲロウは不完全変態で、羽化の際に亜成虫を経るという独特の変態をする。はじめて翅を持った原始的な昆虫のひとつと考えられている。
いっぽうクサカゲロウやウスバカゲロウは全く異なるグループで、完全変態のより進化した仲間とされている。
カゲロウとトビケラは今回の川虫探しで観察できた。(ほんの一端ではあるが…)
ほかにカワゲラの仲間を加えて、川虫の御三家と考えられるだろう。
カワゲラについてはいずれまた観察し、ご報告させていただきたい。
………………………………………………………
近所でカゲロウの成虫を観た
ここまでカゲロウやトビケラの幼虫を観てきたが、季節的なものか、成虫にはお目にかかれず心残りであった。
ところが、Uターン後に千葉県市川市でカゲロウの成虫見ることができたので紹介しておく。 明るい林縁の下草で休んでいた。(種名は不明)
カゲロウは清流に住むものと思い込んでいたが、種によっては溜まり水のようなところにくらすものもあるとS先生にうかがって納得した。観察地は国府台緑地というところで、近くには “じゅん菜池” という公園もある。
カゲロウの仲間は羽化後の成虫が短命であることも知られている。
分類のカゲロウ目は Ephemeroptera という名があるが、カタクリのように春の一時期の観に姿を見せる植物をスプリング・エフェメラルというのは、このカゲロウと同じ語源なのだろうか…
2011年5月16日、報告:自然観察大学 事務局O
川虫が面白くなってしまったのである。
白州はサントリーの工場のあるところで、ここで天然水やウイスキーをつくっているのだから、よい水源という点ではお墨付きのようなものである。
手はじめに、ここのとある源流近くで川虫を探した。
ヒゲナガカワトビケラ
ヒゲナガというのは成虫の姿からの命名らしく、幼虫はウマヅラだ。
信州で食用される “ざざ虫” はこのヒゲナガカワトビケラ類が主力らしい。
当地ではこの虫を見て舌舐めずりをする人が多くいるのだろうか?
写真は裏返して撮ったので、実際の巣はちょうど逆さまの状態である。
この仲間は以前滋賀県でも観察し、『源流と水生昆虫 -滋賀その2- 』http://sizenkan.exblog.jp/11750607/ で報告している。
これは何でしょう?
次は正体不明の虫。
アザミウマの幼虫に近い気がするが、よりがっちりとした印象で、体長はアザミウマより1-2まわりほど大きい。沢の石の裏にいたのだが、凹みの中の乾いた部分にいたように記憶している。体表も乾いているようだ。
どなたかご存知の方、心当たりのある方は、ぜひご教示いただきたい。
(しょうもない写真だがご勘弁ください。ちゃんと撮る前にどこかえ消えてしまったのです)
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ご教示いただきました(2011.5.23追記)
《 多分ヒロバカゲロウ科の1種だと思います。川虫図鑑191ページ最上段の写真を参照してみて下さい。随分小さいようですので、若い齢の幼虫かもしれません。 》
以上、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長(?)からご教示いただきました。ありがとうございました。
高井支部長は 『原色川虫図鑑』 の撮影をされた方です。
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クジャクチョウに遭遇
この時期は越冬成虫なのだろう、ぼろぼろの翅からは彼(彼女?)の乗り越えてきた艱難辛苦がうかがえる。
不思議なことに彼は舗装路の白いラインがお気に入りのようで、飛び立った後には必ずと言っていいほどライン上に戻ってくる。
ごっつい マダラカゲロウ
源流付近を離れ、今度は下流で川虫さがし。甲斐駒ケ岳から流れ出る尾白(おじら)川だ。
さすがに川虫は少なかったが、ゴツイ川虫に出会った。
例の 『川虫図鑑』で 調べると、カゲロウ目のマダラカゲロウ科の一種と思われる。この仲間はごつい体が特徴らしい。
ご存知と思うが念のため…
クサカゲロウやウスバカゲロウは、カゲロウとは全く別のグループで、次のように分類される。
クサカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫は植物体上でアブラムシなどを捕食。
ウスバカゲロウ = 脈翅目(アミメカゲロウ目)、幼虫はアリジゴク。
カゲロウ = 蜉蝣目(カゲロウ目)、幼虫は水中で生活。
カゲロウは不完全変態で、羽化の際に亜成虫を経るという独特の変態をする。はじめて翅を持った原始的な昆虫のひとつと考えられている。
いっぽうクサカゲロウやウスバカゲロウは全く異なるグループで、完全変態のより進化した仲間とされている。
カゲロウとトビケラは今回の川虫探しで観察できた。(ほんの一端ではあるが…)
ほかにカワゲラの仲間を加えて、川虫の御三家と考えられるだろう。
カワゲラについてはいずれまた観察し、ご報告させていただきたい。
………………………………………………………
近所でカゲロウの成虫を観た
ここまでカゲロウやトビケラの幼虫を観てきたが、季節的なものか、成虫にはお目にかかれず心残りであった。
ところが、Uターン後に千葉県市川市でカゲロウの成虫見ることができたので紹介しておく。
カゲロウは清流に住むものと思い込んでいたが、種によっては溜まり水のようなところにくらすものもあるとS先生にうかがって納得した。観察地は国府台緑地というところで、近くには “じゅん菜池” という公園もある。
カゲロウの仲間は羽化後の成虫が短命であることも知られている。
分類のカゲロウ目は Ephemeroptera という名があるが、カタクリのように春の一時期の観に姿を見せる植物をスプリング・エフェメラルというのは、このカゲロウと同じ語源なのだろうか…
2011年5月16日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2011-05-16 18:38
| 昆虫など
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