自然観察大学ブログ

中山道和田宿にて-3

本沢渓谷の巨木

和田宿のはずれの本沢渓谷というところに入ってみた。
5月だというのに、新緑はまだだいぶ先のようである。

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林業の町で名木に出会った。札書きに『トチノキの巨木』と記されている。 岩と樹が一体となって、奇怪な姿。どこがトチノキで、どの部分が岩なのか、写真ではわかりにくい。

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これは少し離れたところにあった別の巨木。すごい力感。
観ているだけで力が湧いてくる。
残念ながら樹種は不明。

3種のトビケラ

本沢渓谷の支流の、緩やかな小さな流れで川虫を探してみた。

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石の裏を返してみると、枯れ葉を綴った巣を発見。
トビケラの仲間で、長さは7-8mmというところ。
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シャッター音に驚いたか、中の一頭が顔を出した。
チャンスとばかりに撮りつづけると、なんと巣からはい出してしまった。
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カメラを意識してサービス精神を発揮してくれたのだろうか?
そこまでしなくてもいいのに…
親が見たら泣くぞ!

トビケラの仲間は毛翅目(トビケラ目)と言って、鱗翅目(チョウ目)の幼虫に似ているが、腹部には気管鰓(和田宿-1を参照))があって水中生活に適応している。
幼虫だけでなく成虫も鱗翅目に似ている。両者は分類的にも近いらしい。

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隣では、別のトビケラの一種が動き出した。巣の長さは5mm弱と小さい。
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筒巣の材料は砂粒。重たい棲家を背負っているだけあって、小さい体にしてはしっかりした脚だ。

3つ目のトビケラはとび切り面白い。
ヒモのようなもので岩に固定した奇妙な巣を見つけ、岩を陸に揚げてようすを見ていると、中から顔を見せてくれた。
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写真を撮られて身の危険を感じたのか…
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自分でヒモをかじって切ろうとしている。ヒモが切れ、落ちると思ったら…
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クモのように糸を出して、クルクルと優雅に回転しながらゆっくりと降りて行った。
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威嚇しているのだろうか? 凶暴そうな尖った脚は、脚というよりも大あごのように見える。
そういえば昆虫の口器と脚は、どちらも体節から進化したという話を聞いたことがある。脚があごに似ているのは当然のことなのかもしれない。
吹き流し状態の筒巣の開口部でこの脚を広げて、流れてくる獲物を捕らえるのだろう。ちょっと恐ろしい光景が頭に浮かぶ。

後日、例の 『原色川虫図鑑』 を見ると、筒巣をヒモで石に固定するのはキタガミトビケラの仲間とわかった。同書には “脚を広げて獲物を待つ”とある。さらに“水中で探すとよい”とあった。
そうか、今度は水中メガネか何かで観てみよう。

………………………………………………………
キタガミトビケラでOKだそうです(2011.5.23追記)
《キタガミトビケラのような巣を作る種は、日本では他にありませんので、はっきりキタガミトビケラとしてよいと思います。》
以上、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長(?)からご教示いただきました。ありがとうございました。
高井支部長は 『原色川虫図鑑』 の撮影をされた方です。
………………………………………………………

参考までに…
“キタガミトビケラ”で検索すると、動画の掲載されたサイトがあったので紹介させていただく。
キタガミトビケラの筒巣装飾』 http://zoo2.zool.kyoto-u.ac.jp/ethol/showdetail.php?movieid=momo080331un01b&embed=on 

2011年5月12日、報告:自然観察大学 事務局O


つくば市:けんぞうさんへ(2011年5月20日追記)
コメントありがとうございます。以下、質問への返答です。
………………………………………………………
撮影は植物も含めて現場で撮るのを基本としています。
とくに生息地に戻せない渓谷の川虫などはその場で撮っています。
(家で撮影セットを組むのが面倒というのも大きな理由です)

写真をほめていただき光栄ですが、腕よりもカメラの進歩が大きいです。
デジタルカメラを高感度にすると、絞り値22や32にしても、日陰の渓谷で自然光を使ったデイライトシンクロができて、自然な仕上がりになります。
(ストロボ光だけだと背景が真っ暗になります)
ハエやハチなどの動きの早い小さな昆虫も、高感度にして撮影しています。

ブログでは図鑑と違って好きな写真を掲載できるのがイイですね。
図鑑だと “形態がわかる” 写真を優先するので、面白い写真は掲載できなくなります。
『原色川虫図鑑』でも、残念ながら掲載できなかった面白い写真、迫力のある写真がたくさんあるはずです。

疑問など、またいつでも遠慮なく申し付けください。
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by sizenkansatu | 2011-05-12 21:14 | 昆虫など | Comments(3)
Commented by りりねこ at 2011-05-13 09:30 x
わぁ~~立派な老木ですねえ。まるで自然の力の作品です。精霊が宿っていそう。
とびげらって、こんな生活してるんですね。砂とか、木の葉を寝袋みたいな巣にしてるんですかー。川に行くことがあまりないのですけれど、出会ってみたいです。(親が見たらなくぞ、って、おかしい~)
Commented by ミルフイユ at 2011-05-14 01:19 x
トビゲラの巣ってアースカラーでカラフルでオシャレですね。
そして、親から泣かれそうな子はカワイイ~!
3つ目の子はちょっとコワイですけど。
Commented by つくば市:けんぞう at 2011-05-20 12:29 x
毎回楽しい写真をありがとう。植物のことは知らないことだらけでとても勉強になります。昆虫写真家はプロアマ含めて数多いが、さすがに水の中はみなさんゲンゴロウやタガメ、ヤゴ止まり、トビケラにまでは手を出していなようです。今回のトビケラは素晴らしい写真でした。よくこんな写真が撮れるものと感動しました。すべて現地撮影ですか、持ち帰ってのスタジオ撮影ですか、差し支えなければ教えてください。

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