自然観察大学ブログ

話題のヒマラヤスギ

昨秋の野川の観察会以来、自然観察大学ではヒマラヤスギが注目されている。
野川公園でヒマラヤスギの雄花穂が鈴なりについているのを見て “雌花穂はどこか?” と、みんなで探したが見つからなかった(自然観察大学2010年野外観察会:第3回の報告)のが事のはじまりだった。
その後の報告は、自然観察大学トピックス: http://sizenkansatu.jp/index_3.html でご覧いただける。
『ヒマラヤスギの続報』『ヒマラヤスギの雌花を探して…』 である。
とくに後者は2月16日にアップしたばかり、白拍子(しらびょうし)さんという老絵師(?)による、雌花発見までの執念のレポートだ。必見です。

そのヒマラヤスギの球果(きゅうか、松ぼっくりのこと)を2月初めの長野県白馬村で見た話をさせていただく。

その日の朝、スキー場へのバスを待つ間のことだ。
あたり一面、雪の上に種子や種鱗(しゅりん)が散っているのを発見、もしやと思ってみんなで樹上の雌花穂を探したら… あった。
地上4メートルほどのところに、朱色がかった若い球果が散見される。
あいにく双眼鏡はなかったが、仲間うちにマサイ族の眼をもつ人たちがいて、次々に探し当ててくれた。大きさは1-2センチというところか。
この朱色の若い球果は、白拍子さんのレポートによると、昨年の雌花穂ではなく一昨年のものの可能性が高いということだ。だとすると、朱色の若い球果まで1年半かかることになり、ヒマラヤスギは開花から種子散布まで2年半を要することになる。引き続き観察したいテーマである。
これまでに観たことを経時的にまとめておこう。
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上の写真とイラストは白拍子さんからもご提供いただいている。

ところで、先ほどのヒマラヤスギの樹幹下では、件のマサイの面々が 『樹上に別タイプの球果がある』 と言い出した。眼を凝らすと、確かにある。逆光でシルエットになり、色まではわからないが、成熟した球果よりは小さいような気がする。たまたま育ちが悪かった球果か、あるいは下半分の残った球果を仰ぎ見たのだと思うが、もしかすると若い球果が成熟するには2年かかるという可能性も無い訳ではない。そうなると合計3年半ということになってしまうが…

若い球果や雪上に広がる種子、種鱗など、ひととおり撮影したのだが、なんとそのカメラをスキー場で紛失してしまった。カメラも残念だが、撮った写真も無念だ。
そんなわけで今回は文章ばかりで写真がない。おゆるしいただきたい。

せめて、持ち帰った種子と種鱗を紹介しよう。
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真ん中が種鱗で、両脇が種子。種子は落下するまで種鱗に貼り付いている。
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種子には大きな翼があり、落下するときはクルクルと舞う。カエデ類と同じだ。
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種鱗は湿度で開いたり閉じたりするようだ。左は湿った状態で、内側に折れ曲がる。右は乾燥状態で、平らに広がる。松ぼっくり全体が開閉するのだろうが、乾いた状態で種子を飛ばすということだ。

余談ですが…
失ったカメラはスキー場のコインロッカー前に置き忘れたもので、出てきたら連絡をいただくようにあちこちにお願いした。
地元警察には電話で届けたのだが、カメラのメーカーや機種、色などを聞かれ、さらに撮った写真についても聞かれた。
警官:念のため、どんな写真が入ってるか、おうかがいしてよろしいですか?
私 :はい、あのぅ、えーとですね… (球果や種鱗をどう説明すべきか考えている)
警官:話しにくければいいですよ。
私 :いえ、そんなことはないんです。決してアヤシイ写真ではないです。
警官:はぁ (不審に思いはじめるようす)
私 :その、キュウカとかシュリンとか… あっ、植物のヒマラヤスギです。
警官:はい、杉ですね。
私 :いえ、ヒマラヤスギです。名前はスギですが、杉じゃなくて松の仲間です。
警官:はぁ
私 :そのヒマラヤスギの球果とか種子、つまりタネですね。あと、種鱗とかですね…
警官:要するに植物の写真ですね。
私 :……… (つい熱くなった自分を反省)

カメラは1週間たっても出てこないので、新たに購入した。上の種子と種鱗の写真はその筆おろしで、さすがに最新鋭コンパクトデジタルカメラはよさそうだ(若者は“コンデジ”と言うらしい)。リコーのCX-5というモデルで、簡単キレイ。

d0163696_1994615.jpg
佐倉のヒマラヤスギは…
前述のトピックス 『ヒマラヤスギの続報』 で紹介した佐倉城址公園のヒマラヤスギがどうなったか。気になったので見てきた。
樹冠下一面に種鱗を散らし、種子散布はほぼ終わったようだ。足の踏み場も無い。種鱗を踏みつけてもよいのだが…
“肝心の朱色の若い球果はあるか?” 双眼鏡で小一時間探したのだが、とうとう見つからなかった。
なぜ見つからないのだろう。これだけ多くの球果をつけながら、次の世代はどうなるのか? 隔年結果ということもあるかもしれない。


自然観察大学生の活動を紹介します
『はけの森調査隊』 というブログで、ヒマラヤスギの球果によるたのしい工作が紹介されているので、こちらもご覧いただきたい。http://hakenomori.seesaa.net/article/182298683.html
調査隊長の大橋さんは、野川公園を中心に活動しておられる自然観察大学生である。

2011年2月16日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2011-02-16 19:48 | 植物 | Comments(1)
Commented by shirabyoshi at 2011-02-17 19:06 x
張本人の老絵師、白拍子です。
白馬情報有難う御座いました。中でも驚いたのは地上4mもの高さにある1~2㎝の幼い球果を下から覗いて見極めるマサイ族の眼力の凄さでした。
それに、カメラ紛失届け出時の専門用語の通じない地元警官とのいらいら会話のお気持ちはよ~く判ります。実感が籠っていて大笑いしました。

トピックスに掲載いただいた『雌花を探して…』で疑問符のまま「雌花の開花から完熟迄の期間」に対して、納得のいく御意見を読者から教示頂けたらと願っています。

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