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自然観察大学ブログ

クイズ:この写真はなんでしょう?

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まずは写真を見て、少し考えていただきたい。
少し画面を引いてみる。
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さらにもう少し引く。紙粘土かフスマのようにみえる。
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コガタスズメバチの巣だ。植物を噛み砕いて唾液でこねたものだろうか、フスマというよりも和紙のような手触りだ。
色は材料の違いであろう、きれいな紋様ができるものだ。これは立派な職人技だ。

この巣は以前報告させていただいたもので、改めて今回(12月下旬)に見てみるとハチはきれいに消えていた。
前回の報告の後、スズメバチは冬になると女王バチだけが朽木の中などに移動して越冬するということを聞いた。
そうは言っても、もしかしたら何頭かは弱った蜂がいるかもしれないと考えたのだが、案の定、もぬけのカラであった。残念。
クイズ:この写真はなんでしょう?_d0163696_197575.jpg

そういえば、7年ほど前に、スズメバチの越冬を撮影していたことを思い出した。
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Y先生に同行した時に偶然朽木の中で発見した越冬中の オオスズメバチ キイロスズメバチ* の女王である。
めったに観られないものらしいが、さすがY先生と一緒だとおもしろいものが観られる。
冬を越した女王バチは、翌年たった一頭で巣作りをはじめ、家族を増やしていくということだ。前年に交尾を済ませてから越冬に入るのだろうか。

………………………………………………………
【注:2011.2.21訂正】
越冬中のハチはオオスズメバチではなくキイロスズメバチだそうです。訂正します。
判別のポイント等は本項のコメントを見てください。
コメントいただいた伊澤さんは26年間スズメバチ類の生態を研究されている方です。
伊澤さん、ご指摘ありがとうございました。
………………………………………………………

話を巣に戻そう。
何度見てもカラだが、この巣作り技術はすごい。
クイズ:この写真はなんでしょう?_d0163696_199149.jpg
この中で幼虫が育っていたのだろう。
クイズ:この写真はなんでしょう?_d0163696_1995879.jpg
巣は上下二段重ねになっていて、周囲は和紙のようなものを何層も重ね、ふわふわしている。空間がたっぷりあって保温性がよさそう。
さらにばらしてみよう。下の段をはずして、上の段を観てみる。
クイズ:この写真はなんでしょう?_d0163696_19115100.jpg


不思議なことに上段は個室の口がふさがっている。中央部の穴は下段を取り外したときに開いた穴なので、全部の口が閉ざされていたことになる。
もしかするとこの中に幼虫でもいるのかと思って破ってみたが、中はカラであった。
これは不思議だ。
上段は下段よりも先につくられているはずだから、上段の姉たちは下段の妹たちよりも先に羽化し、働き蜂として活躍していたのだろう。しかし、わざわざ羽化後の個室の蓋を閉ざす理由はなんだろうか。
ナゾだ。
どなたかご存知の方がいたらご教示いただきたい。

年末のご挨拶
2010年のブログはこれで終了です。
みなさまよいお年をお迎えください。
新年はおそらく1月11日以降の再開になります。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2010年12月28日、報告:事務局O



by sizenkansatu | 2010-12-28 19:13 | 昆虫など | Comments(6)
Commented by つくばけんぞう at 2010-12-29 18:55 x
コガタスズメバチは最大4段の巣盤を作りますが、秋の終わりには下段の巣盤で大型の♂(王)と新女王を生産し、働き蜂は生産せず、上の段は“空家”なります。一方、巣房蓋は幼虫の繭で、中が空っぽなのは不思議。ただ写真で見る限り、とてもまともな蓋(繭)には見えず、あるいは使わなくなった巣房にコナダニなどが寄生して分解したカスが詰まったのかもしれません。なお、故松浦誠さんの話では、この仲間は、とくに秋に餌が不足すると自分の働き蜂の幼虫を引っ張り出し、ほかの幼虫の餌にするそうです。だから幼虫を育てるのは餌の確保でもあるわけです。
Commented by 南十字星 at 2011-01-03 01:32 x
若い頃にスズメバチ採りにハマったことがあります。たいていの場合は巣を丸ごと採り、きれいに乾燥させて人にあげていたんですが、たまに巣を壊してしまうことがあり、その際にご指摘のような現象をよく見かけました。クロスズメバチやオオスズメバチは幼虫が高く売れるので、外側の巣材は常に壊して、幼虫の詰まった巣板だけを持ち帰りましたが、いつも思ったのは、「スズメバチの巣の中にはいろんな居候がいるなぁ~」ということでした。普段は見ることの稀なオオハナノミなんかもよく入っていました。古い巣板を塞ぐという行為は、もしかしたらこうした居候たちの住処になるのを防いでいるのかもしれません。あくまでも単純な推測にすぎないんですが・・・。それにしてもあの頃はよくスズメバチに刺されました。オオスズメバチに指されるとさすがにダメージが大きかったです。o(T^T)o
Commented by りりねこ at 2011-01-05 14:00 x
この写真を見てびっくり!なぜって、つい数日前に私が作ったモノにまるでそっくりだったんですもの。質感は違う(全体の形はまったく違う)のですが、模様が同じっ。それは・・・
チョコレートとバニラの生地を合わせた、マーブルクッキー!
(バターが入ってるのでこちらは油っぽく質感は違います)
こんなふうにきれいな流れ模様のマーブルにするのには、ちょっと技術が必要でした。すごいなあコガタスズメバチさん。
「色は材料の違い」とありますが、このチョコ・バニラマーブルの色と模様はたまたまなのでしょうか?
けれど、りりねこもこんな色模様の巣を見たことあるような。
と、思い出し、11月9日の「スズメバチの巣を見つけた」のこちらの記事も見直したら、やっぱりチョコバニラマーブル。
スズメバチの巣の標準仕様でしょうか??迷彩色を狙ってるのかなあ。材料も決まっているのでしょうか。
Commented by 南十字星 at 2011-01-06 11:56 x
枯れ木に止まっているスズメバチにそっと近寄ると、枯れ木の表面を削り取っている様子を観察することができます。ただどうやってああいう縞模様の巣が作られるのかは私にも分かりません。恐らく材料の違いだろうとは思うんですが・・・。
ハチもアリも同じ膜翅目(ハチ目)に属するごく近縁の昆虫で、その巣には同じようにいろんな昆虫が居候しています。こういう居候の生活史って奇想天外なものが多いです。
スズメバチの腹部にはネジレバネのメスがよく寄生していますが、ネジレバネのメスには翅も脚もありません。オスには立派な翅と脚がありますが寿命はたったの数時間ほどです。野外でネジレバネのオスを見つけるのは難しく、私もこれまでに4種のオスを見ただけです。どれも飛翔中のものを採集しました。
ネジレバネ以外にもへんてこな居候がたくさんいますので、機会があったら是非観察していただきたいです。なお、アリの居候を研究されている九州大学の丸山宗利先生のホームページは以下のアドレスです。
http://sites.google.com/site/myrmekophilos/
Commented at 2011-02-21 14:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 伊澤裕一 at 2011-02-22 17:51 x
越冬スズメバチの写真を拝見しました。これは「オオスズメバチ」ではなく「キイロスズメバチ」です。左右の複眼の間の「単眼領域」の色がオオスズメバチは橙色、キイロスズメバチは黒褐色というのが主たる区別点です(キイロスズメバチの他にモンスズメバチとチャイロスズメバチの2種も黒褐色ですが体の紋様が大きく異なります)。また、オオスズメバチは土中越冬が多く腐朽木越冬が稀であるのに対し、腐朽木越冬がほぼ100%のキイロスズメバチとは性質を異にしています。

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