自然観察大学ブログ

晩秋の雑草観察

11月の半ばに、近くの農道で雑草を観た。
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イヌタデは秋の代表的な雑草だ。道ばたの群生が、光の具合で驚くほど鮮やかに見えることがある。
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一粒一粒がイヌタデの花で、花には花弁(花びら)がなく、赤いのは“がく”。
よく観るとほとんど花が終わっていて、閉じたがくのなかで果実になっている。
薄茶色の粒はもう熟したもので、光沢のある黒褐色の果実がむき出しになった粒もある。

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これはホトケノザ。秋に芽生えたあと、普通は翌春に成長・開花する “越年生(えつねんせい)” とされているが、このように秋に花をつける場合も多い。
唇形花(しんけいか、唇に似ているのでこう呼ぶ)を仏さまに見立てて、その付け根に葉が蓮華座のように着くので“仏の座”と名づけられたそうである。
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拡大してみると、花が終わったところでは、蓮華座に小さく黒い果実が着いているのが観える。仏さまの子供だ。
右下の花は蕾のようだが、ホトケノザには閉鎖花(へいさか)と言って開かないまま実を結ぶものがある。これはその閉鎖花かもしれない。
近年、ほとんど閉鎖花だけのホトケノザが街なかに増えていて、自然観察大学のI先生は “これらのホトケノザは外国から侵入した別系統のホトケノザではないか” と考えておられる。
閉鎖花か通常花(開放花)かの判別は意外に難しく、別系統の閉鎖花と思って撮影したホトケノザが、翌週見ると盛大に開花していた、という経験がある。

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スズメノカタビラの花穂。スズメノカタビラも普通は越年生だが、ホトケノザ同様秋に開花するものがあるようだ。類縁種のツルスズメノカタビラというのがあり、こちらは多年生とされる。両種を見分けるのはかなり難しいようだ。
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上の写真の左下の枝先の小穂(*)のアップ。羽毛のように見えるのは雌しべの柱頭。
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こちらはその上の枝につく小穂のアップ。雄しべが出て花粉を飛ばしたあと。

これらは雄花と雌花というわけではない。
スズメノカタビラなどのイネ科植物は、雄しべと雌しべを備えた両性花(りょうせいか)だが、一つの花からは先に雌しべが出て雄しべはあとから出るものが多い。これを雌しべ先熟(雌性先熟)と言って、これによって同一の花で受粉するのを避けることができる。

* 小穂(しょうすい)について詳しく知りたい場合はこのブログの10/20の『またまたオオエノコロのこと』 http://sizenkan.exblog.jp/12109470/ を見てください。

2010年11月26日、報告:事務局O
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by sizenkansatu | 2010-11-26 17:57 | 植物 | Comments(0)

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