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自然観察大学ブログ

セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)

コアオハナムグリ
花に潜るから “ハナムグリ”というそうだが“潜る”を“むぐる”というのはどこかで転訛したのだろうか。そういえば私も子供のころ、潜水で泳ぐのを“むぐる”といっていたような記憶がある。
コアオハナムグリは意外に敏感で、危険を察知すると頭を埋めるようにしてじっと動きを止める。一度警戒体勢に入ると5分から10分は起動しない。気長に待って撮った。
セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)_d0163696_16511699.jpg

コアオハナムグリはミカンの花に潜って、頭や脚でミカンの子房表面に傷を付ける。成長したミカンは果実の表面に傷が残るので、商品価値がなくなるので、この虫はミカンの訪花害虫といわれている。味は変わらないと思うのだが、商売となると難しいのだろう。

テントウムシ
訪花昆虫ではないが、テントウムシの話をさせていただく。
セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)_d0163696_16531778.jpg
ナナホシテントウの飛び立つ瞬間の撮影にチャレンジしてみた。前翅が少し開いた直後にシャッターチャンスが来るのだが、そう何度も繰り返すことはできないので、けっこう難しい。
飛んでる姿をテーマに撮り続けている http://geocities.yahoo.co.jp/gl/tanatinsan 鎮さん に、秘訣を伝授いただきたいものだ。
(鎮さんは自然観察大学の学生です)

セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)_d0163696_1655188.jpg
ナナホシテントウは、擬死(偽死とも書くらしい)を撮るつもりで持ち帰った。ご存知の方は多いと思うが、昆虫が死んだふりをすることである。擬死はハムシやタマムシ、ゾウムシなど小さな甲虫類に多く観られる。葉の上の虫を採ろうとして、ポロリと落ちて逃してしまった経験は皆さんにもあると思う。
擬死は、野外では普通に体験できるが、撮影用に採集した昆虫は意外にも擬死しないようだ。環境の変化のためか、持ち帰った虫たちは興奮してしまって擬死どころではない。みなクモの子を散らすように逃げるのだ。
この写真は7,8頭のテントウムシをぶちまけて、何度目かの試技でやっと死んでくれたものである。

テントウムシの黄色い汁
擬死を撮るつもりが、思いがけずに黄色い汁が撮れた。
撮影中は気づかなかったのだが、写真の仕上がりをチェックしていて “擬死から復活したテントウムシ” の中にの中に次の写真を発見した。
セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)_d0163696_17402870.jpg
両肩(胸部と翅の境界部分)に黄色い汁が見える。ウィキペディアには関節から出るとあるが、どこの関節なのだろう。
なお、黄色い汁には呼び名がないようなので、“黄毒汁(きどくじる)” と呼ばせていただくことにする。黄痰、黄粘液、黄臭毒… ほかに良い名前が思いつかない。
セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)_d0163696_1725664.jpg
けっこう大量に出るものだ。その後もたらしながら歩いていたらしい。
汁に気づいていたら、臭いをかいだり、ちょっと舐めてみたりできたものを… 

黄毒汁も野外では普通に体験できるが、いざ撮影しようと思うと困難であった。
以前、試行錯誤したあげくに自然観察大学のY先生に黄毒汁撮影の秘訣をうかがったことがある。
Y先生いわく “カメラを構えた状態で奥さんに刺激を与えてもらうのがいいでしょう。だから秘訣は夫婦円満であることです。ちなみに私も撮影を試みていますが、いまだに成功していません。”

余談ですが…
黄毒汁の臭いと毒のおかげで捕食者に襲われることはない、というのは広く言われている話なので、ホントは正式な呼称があるのかもしれない。ご存知の方がいらしたら、ぜひ教えていただきたい。
しかし、もしも名前がないとしたら情けない話だ。
以前 『イモムシの眼は筋肉袋』 : http://sizenkan.exblog.jp/12032640/ でも呼称がないらしいことを記した。
昆虫学にかかわる先生方にお願いです。ぜひ適切な名称を付けていただきたい。
そうでないと、日常会話が困難になってしまうマニアックな人々がいるのです。

2010年11月23日、報告:事務局O

【11/26追記:反射出血と言うそうです】
南十字星さんから、これは “反射出血” と言う、というコメントをいただきました。本稿の右下の “Comments” をクリックするとコメントを読むことができるので、ぜひどうぞ。
「反射出血 テントウムシ」で検索してみましたが、DNA解析に利用されているそうですね。
南十字星さん、ありがとうございました。今後ともご指導よろしくお願いいたします。



by sizenkansatu | 2010-11-23 17:50 | 昆虫など | Comments(2)
Commented by 南十字星 at 2010-11-26 07:10 x
この現象は反射出血(reflex bleeding)と呼ばれています。テントウムシを大量にいじっていると手が黄色くなってくるほどです。同時に青臭い臭いもしてきます。もちろんある程度は捕食者による被食を防ぐと思いますが、それも捕食者の種類と、捕食者の腹の空き具合にかかってくると思います。
Commented by りりねこ at 2010-12-14 20:28 x
そう!ナナホシテントウを手に採ると、死んだ振りされた後、必ず黄色い汁が手のひらに付きました!臭いもしました。なかなか黄色なシミが落ちないで後で困る。子どものころよくありました。
あれは、テントウムシの血なんですか!反射っていうことは、意識的ではなく、困ったときに出ちゃうんですね?
人間もそういうことができたとしたら・・・怖いですが。
こんなふうに写真のように黄色な「出血」してたんですねー、ナナホシテントウ。子どものころの記憶をおもしろく辿ることができました。

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